秋の立山三山を縦走してきました。雷鳥沢キャンプ場から別山~立山~浄土山と時計回りに歩きました。午前中はお天気に恵まれて、別山からは剱岳の雄姿を眺めたり、立山から色づき始めた室堂平や大日連山を一望できたりと、絶景続きで素晴らしい山行となりました。
雷鳥沢キャンプ場から秋の立山三山を縦走!
2024年9月下旬に、雷鳥沢キャンプ場でテント泊をして、立山三山を縦走してきました。2泊3日の行程で、中日の2日目の朝から一日使って縦走しました。
雷鳥沢キャンプ場のテント泊の様子については、以下の記事をご覧ください。
立山三山は、北アルプス北部の立山連峰に位置する別山(2,874メートル)、立山(雄山 3,003メートル)、浄土山(2,831メートル)の三座です。室堂平や雷鳥沢から眺めると、北から東側を経て南側まで、稜線をぐるっと半周する形になります。
立山は言わずと知れた日本百名山にして、日本三大霊山の一つに数えられる信仰の山です。
立山の信仰の特徴としては、特に「立山曼荼羅」に表されるような、地獄・極楽の世界観と深く結びついている点が挙げられます。立山には「地獄谷」と呼ばれる硫黄臭のする火山地帯があり、これが地獄の象徴とされ、逆に山頂は極楽浄土への入り口とされてきました。山頂や稜線からの絶景に加えて、こんな信仰の山であることも感じることができます。
今回のルートは以下のとおりです。
このルートには、初日の室堂ターミナルから雷鳥沢キャンプ場までと、最終日の雷鳥沢キャンプ場から室堂ターミナルまでも含みますが、大部分は立山三山縦走のルートとなります。
雷鳥沢キャンプ場(雷鳥沢ヒュッテの近く)から剣御前小舎まで登ると稜線に出ます。そこから稜線を歩いて、剱岳の眺めが素晴らしい別山へ。別山からは途中にある真砂岳を経由して、立山の3つのピークの一つである富士ノ折立に登ります。大汝山、雄山と立山のピークを縦走し、いったん一ノ越まで下った後、浄土山に登り返しとなります。浄土山からは室堂平へ下ります。
途中、軌跡が少し飛んでしまいましたが、おおむね距離は13km、累積標高は1,300メートルです。ふだん登山をしている方であれば、十分に一日で歩けるルートです。テント泊でなければ、剣御前小舎や一の越山荘など、ルート上にある山小屋に宿泊するのもいいですね。
今回の主な行程は以下のとおりです。
- 05:50 雷鳥沢キャンプ場 出発
- 06:55 剣御前小舎 到着(トイレ休憩)
- 07:05 剣御前小舎 出発
- 07:35 別山南峰
- 07:45 別山北峰
- 08:40 真砂岳
- 09:15 富士ノ折立 到着
- 09:35 富士ノ折立 出発
- 09:50 大汝山 到着
- 10:40 大汝山 出発
- 10:55 雄山 到着
- 11:15 雄山 出発
- 12:00 一ノ越 到着(トイレ休憩)
- 12:20 一ノ越 出発
- 13:20 浄土山
- 14:40 室堂登山口
- 15:15 雷鳥荘 到着(温泉)
- 16:45 雷鳥沢キャンプ場 到着
山頂や稜線からの眺望が素晴らしく、景色を眺めたり写真を撮ったりしていたら、かなりゆっくりペースになってしまいました。
危険箇所はほとんどなく、登山道もよく整備されているので歩きやすいコースだと思います。別山からの下りや、雄山から一ノ越までの下りはザレ気味の急坂、浄土山からの下りは大きな岩が多い急坂ですが、注意すべきところはこれくらいです。
それでは、立山三山縦走の様子をご覧ください。
別山(雷鳥沢キャンプ場~別山~真砂岳)
雷鳥沢キャンプ場から標高差500メートルを一気に登って稜線にある剣御前小舎へ。剱岳を左手に眺めながら別山に登頂します。別山の北峰まで往復したあと、急坂を下って登り返すと真砂岳です。
早朝の雷鳥沢キャンプ場を出発
午前5時50分、雷鳥沢のテント場を出発します。中腹に雲がかかっていますが、日が昇れば消えるでしょう。
雷鳥沢キャンプ場の北東側に流れる沢を渡ります。木の橋が架けられていますが、表面が濡れていて滑りやすいので、慎重に渡っていきます。沢の水面からかなり高いので、ちょっと怖いです。
木の橋を渡り、少し左側へ行くと分岐があります。この分岐を左側へ行くと大日岳方面、右側を登っていくと剣御前小舎です。右を登っていきましょう。
序盤は緩やかな登りから始まります。やや石や岩が多いですが、登山道はとてもよく整備されています。
標高差500メートルを登りきって剣御前小舎へ
登山道脇にはナナカマドの木。赤い実が鮮やかです。紅葉はまだのようです。
テント場から見上げたときは、直登ルートで急登が続くのかと思っていましたが、登山道が適度につづら折りになっています。それなりの登りが続きますが、斜度が急に変わるようなところや、大きく足を上げないといけないようなところはほとんどなく、一定のペースで登ることができます。
少し登ったところから振り返ると、雷鳥沢(雷鳥平)と室堂平の標高の違いがよくわかります。標高差で100メートル以上の違いがあります。
2,500メートルを超えたあたりから、低木もなくなり、開けた草地の中を淡々と登っていく道になります。
稜線が近くなってくると、傾斜はやや急に。たまにこのような岩場の急登もありますが、危険なほどではありません。
午前7時前、雷鳥沢キャンプ場から1時間ほどで稜線に建つ剣御前小舎に到着しました。稜線はやや風が強くて寒いので、ここでソフトシェルを来ました。
剣御前小舎の前にはトイレもあるので、お借りします。この先、大汝山までトイレはありません。
剣御前小舎前からの眺望です。日本海側から少しガスが上がってきていますが、今朝、雷鳥沢キャンプ場から見えた中腹の雲は消えたようです。そのおかげで、室堂平を一望! 右奥の雲の上に小さく見える山並みは白山でしょうか?
今日は午前中は晴れ予報なので、このあとの稜線からの眺めにも期待が高まります。
尾根を歩いて別山南峰に登頂!
午前7時過ぎに剣御前小舎を出発。別山に向けて、尾根を東側へ歩いていきます。少し登ったところで振り返ると、剱岳がその勇ましい姿を現してきました。写真左下に見える屋根が剣御前小舎ですが、そこから伸びている尾根の先が剱御前でしょうか?
逆光ですが、前方にはこれから登る別山が見えています。手前に見える三角の山を越えた左奥に見えるのが別山南峰、そこから左(北)へ稜線沿いに歩いたところにあるのが別山北峰です。別山の近くまではほぼ平坦な尾根道が続いているようです。
快適な尾根歩き……と思いきや、鞍部は風の通り道になっていて、ガスがものすごい速さで流れていきます。危険を感じるほどの風ではありませんが、さすがに標高が2,800メートル近くになると風が冷たいです。
午前7時半、別山南峰に登頂! 小さなお社があり、「立山別山 2880m」と書かれています。YAMAPの地図によると南峰の高さは2,874メートルなので、この2,880メートルというのは、ここから10分ほど北へ尾根伝いにあるいたところにある北峰の高さのようです。
縦走路から少し外れますが、せっかくですので北峰にも行ってみましょう。
別山北峰、剱岳を目の前に臨む圧巻の景観!
別山南峰から北峰へは、この幅の広い尾根を歩いていきます。起伏はあまりなく、快適に歩けます。
10分もかからずに北峰に到着! 別山北峰の山頂には、ケルンのようなものがあるだけで、山頂を示す標識や看板のようなものはありませんでした。
そして、目の前には剱岳がどーん!! 今回の立山三山縦走コースでは、この別山北峰がもっとも剱岳に近い場所です。そういえば、昨日、室堂から雷鳥沢へ歩いてくる間にも、ヘルメットをザックに付けていた登山者をちらほらと見かけました。きっと、今朝、この剱岳に登っているのでしょうね。
剱岳の奥には、後立山連峰の名峰がずらり。左側(奥)から白馬岳、杓子岳、五竜岳などを一望できます!
しばらく景色を楽しんでから、縦走路へ戻ります。
別山の南峰と北峰の間の縦走路から、少し東側へ下りたところに、小さな池「硯ヶ池」があります。このあたりは草紅葉の紅葉が進んでいるようです。紅葉した草地に静かな池、その向こうに聳える立山の眺めが素晴らしいです。
硯ヶ池から縦走路に合流するところまで戻ってきました。このあたりは尾根が広くて、道もあいまいですが、晴れていれば迷うことはないでしょう。
次に目指す立山がよく見えています。立山のすぐ右下には、本当に小さくですが、富士山も見えていました。
快適な稜線歩きで真砂岳に登頂
立山三山という意味では、別山の次に目指すべきは立山(富士ノ折立)ですが、その間に真砂岳という山があります。写真の立山の手前にあるピークがそれです。そこまでは、この素晴らしい縦走路を歩いていくことになります。わくわくしますね。
ですが、その前に別山からの急な下りが待っています。登山道はジグザグに付けられていますが、ザレ気味で浮石も多いので、足を取られないように注意して下っていきます。
下る方向には室堂平を俯瞰できるのですが、見惚れていると転ぶので注意!
別山から真砂岳へと続く稜線を歩きます。この道も素晴らしいですね。最初は尾根の上を、その後は真砂岳の西側斜面に付けられた登山道を歩いていきます。
途中で振り返ると、先ほど登ってきた別山の全景を眺めることができます。立山三山の一座を占めるだけあって、堂々とした山容の山ですね。
真砂岳の西側斜面をトラバースしていくと、途中で分岐があります。右が巻道で、真砂岳の山頂に寄らずに立山へ向かいます。ですが、山頂もすぐそこに見えているので、寄っていくことにしましょう。
午前8時半過ぎ、真砂岳(2,861メートル)に登頂! 山頂はなだらかで、白砂が広がっています。
山頂からは、室堂平と雷鳥沢、そして右側に奥大日岳と大日岳が見えています。白くなっているところが地獄谷、手前の低いところが雷鳥沢キャンプ場です。この写真では見えませんが、拡大してみると、自分のテントも確認できました。奥には富山の町と日本海まで見えています。
この立山三山縦走コースは、どこからでも室堂平を眺めることができるのですが、歩いていくと少しずつ見える角度が変わっていくのが楽しいですね。
立山(富士ノ折立~大汝山~雄山)
真砂岳から急登を登って、いよいよ立山へ。まずは富士ノ折立に登ります。岩峰の上にある山頂からは360度の大展望! 大汝山の山頂も同様ですが、ここまでくると黒部ダムを眼下に見下ろすことができます。雄山では雄山神社に参拝しました。
3000メートル越え! 富士ノ折立に登頂!
真砂岳の山頂から少し下ったところに分岐があります。右側の登山道は、雷鳥沢から直接登れる大走り登山道です。雷鳥沢から立山の3峰にだけ登りたい場合は、この道を登ると良さそうです。
真砂岳から富士ノ折立に向かう尾根道です。別山や真砂岳とは違って、立山はかなり岩々した険しい山に見えますね。最後の岩場の登りがキツそうです……。
真砂岳と富士ノ折立の鞍部の東面には、日本で7つだけ確認されている氷河の一つ「内蔵助氷河」があります。9月下旬のこの時期に雪が残っていれば、溶けきる前に雪が積もりますね。
富士ノ折立へ続く稜線です。遠くから見ると細くて怖そうでしたが、実際にはこんな感じで、十分は幅があります。
途中で振り返ると、真砂岳から続く見事な稜線を一望できます。
富士ノ折立の山頂直下は急登です。立山三山の縦走ルートでは急登はあまりないのですが、ここは例外。とはいえ、足元にさえ気をつけていれば危険なところはありません。
足はまだ元気なのですが、標高が高くなってきたので、息が切れやすいです。息を整えつつ振り返って景色を眺めると、室堂平のシンボル、みくりが池とみどりが池が見えました。室堂ターミナルや立山室堂山荘が建つ室堂平から、一段低くなったところに2つの池が並んでいる様子がよくわかります。
少し引いてみると、こんな感じ。ひたすら稜線が続く後立山連峰とは違って、立山はコンパクトにまとまった山岳リゾートという感じですね。実際には、立山から五色ヶ原を経て、薬師岳や雲ノ平のほうまで続いているのですが、この室堂平の周りは、これはこれで一つ完成された美しさがあると思います。
富士ノ折立の岩峰上から絶景を満喫!
ようやく立山の最初のピーク、富士ノ折立の山頂下まで到着しました。
山頂はすぐ近くにあるこの岩峰の上です。明瞭な道はなさそうですが、踏み跡っぽいところを登っていきます。左側からまわり込むように行くと良いみたいです。
午前9時半、富士ノ折立(標高2,999メートル)に登頂! 山頂は岩場で狭いのですが、まだ時間が早いせいか、あまり登ってくる人がいないので、ゆっくりと景色を楽しむことにしましょう。
立山の稜線まで登ると、後立山連峰との間に黒部湖が見えるようになります。水の色が少し濁っているような気もしますが、この角度から黒部湖を眺めることができるのは、立山に登った人だけですね。
ここまで歩いてきた方向を眺めると、別山~真砂岳から続く見事な稜線、その奥には堂々とした剱岳の姿を拝むことができます。
室堂平の眺めも見事! 大日連山が正面に見えます。次回は大日岳や奥大日岳にも登ってみたいですね。
南側には、これから歩く立山の稜線がくっきり! 赤い屋根の建物は「大汝休憩所」で、その上にある岩峰が立山最高峰の大汝山です。このあと向かいますが、すぐ近くですね。
それにしても、立山は岩の山ということがよくわかりますね。登山道はよく整備されているため、初心者でも登れるレベルですが、稜線をちょっと外すと大きな岩峰が林立する険しい山です。
大汝休憩所で休憩して大汝山山頂からの絶景を楽しむ!
富士ノ折立の山頂から下りてきて、大汝山を目指します。岩が多い道ですが、大汝山はすぐそこですね。
あっという間に大汝休憩所の近くまでやってきました。赤い屋根の上に見える岩峰が山頂です。
さっそく山頂に……と思いましたが、大汝休憩所が営業していたので中に入ってみることに。
今日が営業最終日だったようで、軽食メニューは種類が少ないとのこと。それでも、せっかくなので、ぜんざいを注文していただきました。冷たい風に吹かれていたので、ぜんざいで体の中から温まりました。
お腹も満たせましたし、トイレもお借りしたので、いよいよ山頂へ。
午前10時20分、大汝山に登頂!
富士ノ折立ほど険しくはありませんでしたが、それでも最後は岩をよじ登る感じになります。大汝山の標高は3,015メートル。立山の主峰は山頂に神社がある「雄山」と言われますが、もっとも標高が高いのはこの大汝山です。
次に向かう雄山のほうを見てみました。やはり立山は険しい山ですね。山頂にある雄山神社がひときわ目立ちます。
黒部湖と黒部ダムをアップで。それにしてもすごいところに大きなダムを造ったものです。こちらの立山連峰側も、向こうの後立山連峰側も、かなり急峻な地形です。ダムの少し手前、中腹にある建物は、立山ロープウェイの黒部平駅ですね。黒部平駅から黒部湖まで、全線が地下の「黒部ケーブルカー」で移動できます。
立山の主峰、大人気の雄山へ
最後のピーク、雄山へ向かいましょう。富士ノ折立から大汝山の間よりも距離があるように見えます。それに、最後は少し登りになりますね。このあたりまでやってくると、登山者がだいぶ増えてきました。
室堂平の見える角度も少しずつ変わってきます。みくりが池とみどりが池が美しいですね。
大汝山から少し下って、最後は登り返しとなります。岩峰のてっぺんにあるのが雄山神社です。この大きな岩を右側からまわり込むようにして登っていきます。
雄山神社の前まで登ってきました。夏季シーズン中は雄山神社での御祈祷が実施されているのですが、もう終わってしまったようです。ただ、鳥居をくぐって、山頂のお社までは自由の登れるようですので、登ってみることにします。
雄山(標高3,0003メートル)に登頂! 山頂の雄山神社で参拝をして、景色を楽しみましょう。
北側には今日歩いてきた稜線や山々を一望できます。大汝山、富士ノ折立の左奥には、真砂山や別山まで見えますね。そして、その奥には剱岳。
少し目を左に移すと、雷鳥沢と地獄谷、その奥には大日連山が見えています。何度見ても素晴らしい眺めです。
山頂から下り、社務所の前まで戻ってきました。社務所の前にはものすごい人! 富士ノ折立あたりまでは人が少なかったのですが、雄山はたくさんの登山客で賑わっています。室堂から雄山だけを登る方も多いのですよね。
残念ながら御祈祷は終わっていましたが、社務所でお守りを購入しました。
社務所の横には展望台がありました。一等三角点もここにあります。奥には槍ヶ岳や穂高連峰まで見えますね。本当に素晴らしい眺めです。
浄土山(一の越~浄土山~室堂平)
雄山から一の越山荘まで下り、軽く休憩を取ってから浄土山へ向かいます。一の越からの標高差は150メートル弱。それほどキツい登りではありません。ただ、午後になってガスが出てきてしまい、山頂からの景色はイマイチ。その代わり、室堂平への下山途中に雷鳥の親子に出会うことができました。
雄山から急坂を下って一の越山荘へ
雄山山頂から下に見える赤い屋根の一の越山荘まで下っていきます。標高差で約300メートル、ザレ気味の急坂が続きます。奥の稜線の左側が龍王岳、右側の平らなほうが浄土山です。
雄山~一の越山荘の間は登山者が多いためか、上りと下りでルートが分かれています。上りは赤いペンキで、下りは黄色いペンキで矢印などの目印が岩にかかれています。
下っている最中にも、たくさんの人たちとすれ違います。おそらく、お昼前に室堂ターミナルに到着して、雄山山頂を目指す方々でしょう。
初心者でも登れると紹介されていますが、こんな岩々しい急登を上り続けないといけないので、まったく登山経験がないと厳しいと思います。
しばらく下ると、平らなところに出ました。三ノ越というところで、ここで休憩を取っている方が大勢いました。一の越山荘まではもう少しなので、一気に下ってしまいます。
一の越山荘の脇にある雄山への登山口です。このように、上りと下りでルートが分かれています。
浄土山への登り返しに備えて、一の越山荘のベンチで小休止。行動食と水分を補給し、トイレをお借りしました。15分ほど休憩して出発します。
一の越山荘からの登り返しで稜線へ
一の越山荘の脇を通って、まずは稜線を目指します。この登山道が稜線に出たところに建物が見えていますが、あれは富山大学立山研究所です。まずはそこを目指します。
最初は緩い登りでしたが、途中からハイマツ帯の中を登っていく道に変わります。このあたりから、少し傾斜が急になりますが、これまでの道と比べれば歩きやすいです。
稜線まであと一息というところまでくると、大きな岩や石が多くなってきます。それでも、淡々と登っていける道ではあります。
休憩がてら振り返ると、今日歩いてきた別山~真砂山~立山の稜線がバッチリ見えています。ただ、登っていく方向、龍王岳や浄土山の稜線のほうから、ガスが流れてきます。
稜線に出ると広場になっていて、富山大学立山研究所の建物がありました。浄土山は南峰と北峰があるようで、このあたりが南峰のようです。
稜線の西側が見えるかと思ったのですが、ガスがどんどん上がってきて真っ白でした。
浄土山 北峰の山頂へ
南側には龍王岳が見えています。穏やかな山容の浄土山とは異なり、険しそうな山です。すぐ近くなのですが、今回はパスします。
こちらが浄土山の稜線です。奥のほうに小さくケルンが見えますが、あの辺りが北峰でしょうか? とりあえず行ってみましょう。
10分ほどでケルンのあるところまでやってきました。特に山頂を示すものは何もないですが、ここが北峰でしょうか? YAMAPの地図ではこの近くが山頂になっていました。
ケルンのあった場所から少し進むと、軍人霊碑があります。手前のに材木が積まれていますが、以前はお社のようなものがあったのでしょうか?
すぐ近くに展望台がありました。少しガスがかかっていますが、目の前に立山がどーんと聳えています。先ほど休憩した一の越山荘の赤い屋根が目立ちますね。
西側はガスで真っ白でしたが、立山を望む東側はまだ視界がありました。
大きな岩がゴロゴロの急坂を下って雷鳥に遭遇!
浄土山から室堂平への下りは、西斜面を下っていきます。ご覧のとおり、大きな岩や石が多い急坂を下ります。今回の立山三山の周回ルートでは、ここの下りがもっとも気を使いました。
おまけに、西斜面がガスで視界が悪く、風が強くて寒いです。慎重に下っていきます。
しばらく下ると、「浄土山登山口」の標柱がある分岐に出ました。ここから先は、それなりに整備された道になるようです。
室堂平まであと15分くらいのところまで下ってくると、観光客や登山客がハイマツにカメラを向けています。雷鳥の親子がいるようです。しばらく見ていると、ハイマツの中から雷鳥が現れました。
おなかのところが白くなっていて、夏毛から冬気に生え変わる途中のようです。
全部で4羽いましたが、そのうちの1羽は大きな岩の上で周囲を警戒しています。この雷鳥が母雷鳥でしょう。雷鳥の親は、子供たちが遊んでいる間は、高いところで周囲を警戒すると聞いたことがあります。以前、大天井岳近くで遭遇した雷鳥の親子もそうでした。
最後はガスってしまって、景色がイマイチでしたが、雷鳥の親子を見ることができたのは幸運でした。
室堂平はガスの中。ガスのあいまに見える建物は立山室堂山荘です。浄土山から下ると、立山室堂山荘の前に出ます。
室堂平は紅葉が始まっていて、特に黄色いイワイチョウが目立ちます。立山室堂山荘の前まで下ったあとは、観光客で賑わう遊歩道を歩いて室堂ターミナルを目指します。
雷鳥荘で温泉に入り生ビールで乾杯!
14時半過ぎ、ようやく室堂ターミナルまで戻ってきました。雷鳥沢まであと45分くらい歩きます。が、その前に、今夜必要な分の水を汲んでいくことにしましょう。
みくりが池にも少しガスがかかっていました。これはこれで幻想的で良いですね。こんなお天気でも、観光客で賑わっています。
雷鳥荘の前まで戻ってきました。室堂ターミナルから歩いているときに、テント泊装備を背負った方をたくさん見かけましたが、ざっと見た感じ、昨日とそれほどテントの数は変わらないようです。
テントに戻ると疲れて寝てしまいそうだったので、テントに帰る前に雷鳥荘で温泉に入っていくことにしました。雷鳥荘の温泉は立派で、お湯もとても良かったです。ボディソープやシャンプーが使えるので、排水設備もしっかりしているのでしょうね。
温泉のあとは、食堂で生ビールを購入して乾杯! 雷鳥荘は山小屋というよりも旅館ですね。部屋は個室ですし、温泉や食堂などの設備も立派です。
ということで、16時半過ぎにようやくテントに帰ってきました。
充実の立山三山縦走、室堂平と北アルプスの絶景を満喫!
ということで、雷鳥沢キャンプ場から、別山~立山(富士ノ折立・大汝山・雄山)~浄土山と、時計回りに立山三山を縦走してきました。
距離は約13km、累積標高は1,300メートル程度で、いつもの日帰り登山くらいの強度でした。目立った危険箇所はなく、登山道もよく整備されていて歩きやすいルートでした。
稜線に上がればそこは絶景! 室堂平や大日連山はもちろんのこと、剱岳の迫力のある姿や、その後ろに並ぶ後立山連峰の名峰たち。立山の稜線からは黒部湖を見下ろすこともできます。稜線を歩いている間は、ずっと室堂平を眺めることができますが、その室堂平の周りを半周するような形で歩くので、見える角度がどんどん変わっていくのも楽しいですね。
今回は一日で立山三山をすべて歩きましたが、その日のうちにアルペンルートを乗り継いで帰宅しようとすると、かなり時間がタイトになります。そのような場合には、雷鳥沢から真砂岳の近くに登れる「大走り」を利用して立山だけを歩くのもアリだと思います。
また、今回のルート上は、いくつか山小屋があります。雷鳥沢から稜線に上がったところには剣御前小舎が、真砂岳の近くには内蔵助山荘が、雄山と室堂の間には一の越山荘があります。ルート上にある山小屋に1泊しての行程でもよいと思います。
今回の主な登山装備
今回も、ふだん小屋泊縦走用に使っているミレーのサースフェー40+5のザックにテント泊装備を詰め込んでいきました。
- ウェア類
- アンダーレイヤ: モンベル ウィックロンの半袖Tシャツ
- ミドルレイヤ: モンベル 化繊 長袖シャツ
- 防寒着: モンベル ライトシェルパーカー(ソフトシェル)
- 防寒着: ユニクロ ウルトラライトダウンコンパクト
- パンツ: ノースフェイス アルパインライトパンツ
- レインウェア上: モンベル レイントレッカージャケット
- レインウェア下: モンベル サンダーパス パンツ
- 靴下: フィッツ メリノウールの登山用靴下
- その他、着替え類(長袖Tシャツ、下着等)
- 登山靴: モンベル アルパインクルーザー2300
- 登山補助: 膝サポータ ザムスト EK-3(両膝)
- 緊急用
- ファーストエイドキット
- ヘッドランプ、予備の電池
- ザック: ミレー サースフェー 40+5 (45リットル)
- テント類: モンベル ステラリッジテント2型
- シュラフ・マット
- シュラフ: モンベル ダウンハガー800 #2
- マット: Zライトソル
- 水
- ナルゲンボトル 1リットル
- ペットボトルの水 0.5リットル
- プラティパス 2L(水場での水汲み用)
- 調理器具
- クッカー(エバニュー Ti570FD Cup)
- バーナー、ガス缶
- Wildo フォールダーカップ
行動中は、ウィックロンの半袖Tシャツの上に、モンベルの化繊の長袖シャツを着て、寒い時間帯はソフトシェルを着て行動しました。登りが続く序盤はソフトシェルは不要でしたが、稜線は風が冷たかったので、ソフトシェルを着用しました。
9月下旬でしたので、テント場での夜は寒いかと思いましたが、それほどでもありませんでした。夕方から翌朝の最低気温は10℃くらい、テント内は12~14℃くらいありましたので、持参した薄いダウンを着てちょうどよいくらいでした。ただ、例年であれば、もう間もなく雪が降ってもおかしくない時期でしたので、もっと寒いのだと思います。
以上、「【立山】雷鳥沢でテント泊して秋の立山三山を縦走! ~立山三山縦走編~」でした。紅葉が始まった秋の室堂平を眺めながらの縦走は素晴らしかったです。お天気にも恵まれて、大満足の山行となりました。
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今回のテント泊登山のうち、雷鳥沢キャンプ場でのテント泊の様子を中心にまとめた記事です。ぜひご覧ください。
立山黒部アルペンルートの混雑を回避する方法をまとめた記事です。
北アルプス北部(後立山連峰、立山連峰)の主要登山口への公共交通機関でのアクセス方法をまとめた記事です。
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