雷鳥沢キャンプ場でテント泊をして、秋の立山三山を縦走してきました。室堂平や雷鳥沢の紅葉は見ごろの少し前といった感じでしたが、夏山とは違う秋の立山の風景を楽しめました。お天気に恵まれ、稜線や山頂からの眺望もバッチリ! 3000メートル級の山々からの絶景を満喫できました。
この記事では、雷鳥沢キャンプ場でのテント泊の様子を中心にお届けします。
2泊3日のゆったりプランで秋の立山をテント泊登山
2024年9月下旬、秋の立山にテント泊登山に行ってきました。雷鳥沢キャンプ場で2泊するゆったりプランで、2日目に立山三山(別山・立山・浄土山)を縦走してきました。
- 1日目: 東京の自宅から富山経由で室堂ターミナルへ、雷鳥沢キャンプ場で幕営
- 2日目: 雷鳥沢キャンプ場から時計回りに立山三山を縦走
- 3日目: テントを撤収してアルペンルートを旅しながら扇沢へ、特急バスと新幹線で帰京
今回は、室堂ターミナルに到着してから、雷鳥沢キャンプ場に向かい、テント泊をする様子を中心にお届けします。雷鳥沢キャンプ場の情報や、実際にテント泊しての感想なども交えながら紹介します。
雷鳥沢キャンプ場の基本情報
雷鳥沢キャンプ場は、立山黒部アルペンルートの室堂ターミナルから徒歩約45分の雷鳥沢にあります。雷鳥沢キャンプ場の概要は以下の表のとおりです。2024年の情報となります。
- 開設期間: 例年4月20日前後~10月末
- 事前予約: 不要
- 水場: あり(塩素消毒済みだが飲用は自己責任)
- トイレ: あり
- 売店: なし(周辺の山小屋を利用)
- 温泉: なし(周辺の山小屋での日帰り入浴あり)
- 料金: 1泊1名につき1,000円
- Webサイト: とやま観光ナビ 雷鳥沢キャンプ場
とても良いキャンプ場ですが、いまどき1泊1名1,000円という良心的なお値段なのがうれしいですね。
最新の情報は、以下の「とやま観光ナビ」のWebサイトをご覧ください。
雷鳥沢キャンプ場へのアクセス
雷鳥沢キャンプ場は、立山黒部アルペンルートの室堂ターミナルから、遊歩道を歩いて約45分のところにあります。
室堂ターミナルへは、富山県側の立山駅か、長野県側の扇沢駅から、立山黒部アルペンルートの乗り物を乗り継いでいくことになります。
- 富山県側からのアプローチ
- 富山駅(富山地方鉄道)立山駅(立山ケーブルカー)美女平駅(立山高原バス)室堂ターミナル
- 長野県側からのアプローチ
- 長野駅・信濃大町駅(バス)扇沢駅(関電トンネル電気バス)黒部ダム(徒歩)黒部湖(黒部ケーブルカー)黒部平(立山ロープウェイ)大観峰(立山トンネルトロリーバス)室堂ターミナル
※太字の部分が立山黒部アルペンルート
首都圏からは、北陸新幹線を利用して、富山県側からアプローチするのがもっとも早いです。今回は、以下の乗り継ぎで、当日朝に東京の自宅を出発して、午前11時過ぎに室堂ターミナルに到着しました。
- 東京駅 06:16発 → 富山駅 08:23着(北陸新幹線 かがやき501号)
- 電鉄富山駅 08:40発 → 立山駅 09:33着(富山地方鉄道 特急立山3号)
- 立山駅 10:00発 → 美女平駅 10:07着(立山ケーブルカー )
- 美女平駅 10:20発 → 室堂ターミナル 11:10着(立山高原バス)
立山黒部アルペンルートでは、乗り物ごとのキャパシティが異なるため、混雑する時期には待ち時間が発生します。あらかじめ「WEBきっぷ」を購入しておくと、最初に乗る乗り物(富山県側からの場合は立山ケーブルカー)の時刻を指定して予約ができます。
今回は立山駅10時発で予約を入れておきましたので、その後の乗り継ぎもきわめてスムーズでした。
立山黒部アルペンルートの混雑を避けて、快適に移動する方法については、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
雷鳥沢キャンプ場の様子
雷鳥沢キャンプ場の様子を紹介します。テント泊したのは2024年9月下旬です。
室堂ターミナルから雷鳥沢キャンプ場へ
室堂ターミナルから雷鳥沢キャンプ場へは、徒歩約45分。ずっと石畳の遊歩道が整備されていますので、登山装備がなくても歩けます。
北陸新幹線「かがやき501号」(東京駅 6時16分発)に乗車し、富山駅から富山地方鉄道、立山駅からアルペンルート(立山ケーブルカーと立山高原バス)と乗り継いで、午前11時過ぎに室堂ターミナルに到着しました。
室堂ターミナル内で軽くお昼を食べたあと、雷鳥沢に向かいます。
その前に、室堂ターミナルの前にある「立山玉殿の湧水」を汲んでいきます。環境省の「名水百選」に選定されていて、立山の冷たい湧水を汲むことができます。
雷鳥沢キャンプ場にも水場はありますが、塩素消毒はされているものの、生水の飲用は自己責任(推奨しない、煮沸推奨)ということなので、翌日の登山用にあらかじめ汲んでおいたのでした。
室堂平は多少ガスが出てきたものの良いお天気。紅葉も始まっていて、イワイチョウが黄色く色づいているのが目立ちました。
室堂ターミナルから10分ほどでみくりが池に到着。碧い湖面が周囲の山並みに映える美しい池です。みくりが池のほとりの遊歩道を歩いて、左奥に見えるみくりが池温泉に向かいます。
観光客で賑わうみくりが池温泉の脇を抜けていくと、地獄谷がよく見えるエンマ台へ。この先、雷鳥荘までの間は、火山ガスの濃度が高まると通行止めとなる区間です。遊歩道の脇には、火山ガスの濃度を示すランプが設置されています。危険なレベルでなくとも、目に違和感を感じたり、軽い咳が出たりと、火山ガスの存在を何となく感じられます。
エンマ台から右手に赤い池「血の池」を眺めながら歩きます。この赤色は紅葉ではなく、酸化鉄の成分のせいで赤く見えるのだそうです。火山らしい景観の一つです。
雷鳥荘への登りにかかるあたりから、右手に赤や黄色に色づいた雷鳥沢が見えてきました。このあたりがもっとも紅葉が進んでいたようです。とても美しいですね。
雷鳥荘の前までやってくると、眼下に雷鳥沢キャンプ場を俯瞰できます。こちらのほうが室堂平より少し標高が低いのですが、色づきは進んでいるように見えます。
雷鳥荘から石の階段を延々と下っていきます。下るのは良いのですが、登るのは結構大変です。テント撤収後、帰宅するときには、テント泊装備をかついで石段を登ることになります。
雷鳥沢キャンプ場は、管理棟から延びる歩道と、その歩道と交差する歩道で区分けされたキャンプ場です。写真右側の建物が管理棟で、トイレと水場があります。
ということで、室堂ターミナルから約45分。雷鳥沢キャンプ場に到着しました。ここまでは、室堂ターミナルからの遊歩道が続いているため、とても歩きやすいです。周りの景観も素晴らしいので、景色を楽しみながら、ゆっくりとキャンプ場に向かうのがおすすめです。
雷鳥沢キャンプ場のテント場・トイレ・水場
雷鳥沢キャンプ場の様子です。テント場はフラットで、凸凹がまったくありません。ペグも刺さりますので、設営はとても楽ですし、テント内でも快適に過ごせます。テント場には大きな石が転がっているので、ペグの代わりに利用することもできます。
テント場は空いていて、場所も選び放題でしたので、管理棟から見て奥のほうの区画の、通路から一張分くらい開けたところに張りました。この場所で2泊しましたが、とても快適に過ごせました。
テントを張ってから受付をするようにとの案内があったので、テント設営後に管理棟へ。入口の前にある用紙に記入し、管理棟左側の受付へ。2泊分の2,000円を支払って、テントに付けるタグをもらいました。
管理棟の右側はトイレと水場になっています。トイレは紙をそのまま流せるタイプのもので快適です。また、水場の水量も多いです。
ただ、前述のように、塩素消毒はされているものの、生水の飲用は自己責任でという掲示があります。登山に来てお腹を壊してもつまらないので、そのまま飲用する分は、室堂ターミナル前の「立山玉殿の湧水」を汲んでおくとよいと思います。
雷鳥沢キャンプ場周辺の売店・日帰り入浴
雷鳥沢キャンプ場には、売店や温泉はありませんが、すぐ近くにある山小屋の売店や日帰り入浴を利用することができます。
キャンプ場から一番近い温泉が、徒歩10分ほどのところにある雷鳥沢ヒュッテです。写真左側のかまぼこのような形をした屋根が特徴的です。右奥の建物は「ロッジ立山連峰」です。
初日はここの日帰り入浴を利用させていただきました。入浴料は900円。内湯と外湯があり、外湯が源泉かけ流しとのことでしたので、外湯へ。脱衣場から扉を開けるとすぐに湯舟があります。51℃以上の源泉をそのまま引いているらしく、そのままでは熱くて入れないので、水はじゃばじゃば入れて適温にしてから入りました。灰白色のにごり湯で、とても良いお湯でした。
「雷鳥沢ヒュッテ」には売店や軽食もあります。入浴後、コーヒー牛乳を購入して喉の渇きを潤したあとは、缶ビールを購入してテント場に戻りました。
2日目は、立山三山縦走からの帰りに、雷鳥沢キャンプ場の上にある雷鳥荘で温泉に入りました。雷鳥荘の日帰り入浴料は1,000円。営業時間は11時~20時と長めです。
雷鳥荘の温泉も湯量が豊富なかけ流しで、とても良いお湯です。シャンプーやボディソープを利用することができます。
館内には食堂や談話室があり、入浴後に生ビールを飲むことができるのもいいですね。立山でお会いしてから一緒に歩いてきた方と、談話室で話をしながら過ごしました。
雷鳥沢キャンプ場から雷鳥荘へは、ひたすら石の階段を登る必要があり、結構疲れます。ですが、それを差し引いても、とても良い温泉だと思います。
雷鳥沢キャンプ場で絶景を眺めながらキャンプ
今回は2泊3日の行程でしたので、初日の雷鳥沢キャンプ場に到着したあとや、2日目の立山三山縦走のあとは、雷鳥沢キャンプ場でまったりと過ごす時間を取れました。
初日、テントを設営して、雷鳥沢ヒュッテの温泉に入ったあとは、テントに戻って缶ビールを飲みながらまったり。
このテント場、最高!
登山しなくても、アルペンルート観光+キャンプもありですね。 pic.twitter.com/k79k1pti1l— ひさ@乗り鉄/登山ブログ (@kz_hisa) September 25, 2024
こんな絶景を眺めながら、過ごすことができるキャンプ場なんです。
雷鳥沢キャンプ場から東側(テント場から見て管理棟とは反対側)には、別山~真砂岳とつづく山並みを一望できます。翌日は、キャンプ場から目の前に見える稜線まで標高差500メートルを登り、立山三山を縦走したのでした。
手前に少し雲がかかっていますが、立山もバッチリ! 周囲の他の山とは違い、灰色の岩肌が目立ちます。
夕方になると急に冷え込んできました。この日は富山で30℃くらいになる、9月下旬としては暑い日でしたが、標高の高い雷鳥沢では、夕方になると15℃以下に。コーヒーを淹れて温まりました。
ちなみに、2日目、3日目の朝の気温は、テント内で11~12℃くらいでした。標高2300メートルの雷鳥沢では、この時期、一桁まで下がってもおかしくありませんので、やはり気温が高い日だったのだと思います。
夕方は少しガスが出てきてしまいましたが、夕陽の照らされてほのかに赤く染まる立山の姿を眺めることもできました。
そんな絶景を眺めつつ、簡単に夕飯を済ませました。明日の登山に備えて早めに就寝しました。こんな感じで、特に初日の夕方~夜は雷鳥沢キャンプ場でゆったりと過ごすことができました。
2日目、立山三山の縦走からテント場に戻ってきたあと、30分ほど雨が降りましたが、その夜の星空がすごかったです。まさに満点の星空で、一瞬で頭の真上を横断する天の川が判別できるほどでした。
以前、室堂にあるホテル立山に宿泊したことがありますが、室堂平からは富山市街地の明かりが気になるのですが、一段低いところにある雷鳥沢は周囲を山に囲まれていて、街の明かりがまったく入ってこないようです。
登山だけでなくキャンプも楽しめる雷鳥沢キャンプ場
立山三山縦走登山のうち、雷鳥沢キャンプ場での様子を中心にお届けしました。
室堂ターミナルからみくりが池を経由して、みくりが池温泉までは観光客が多いですが、雷鳥荘あたりまでやってくると登山をする人が目立ちます。
それでも、雷鳥沢キャンプ場までは登山装備がなくても行けますし、実際に、キャンプだけを楽しむ人たちもちらほら見かけました。平地のキャンプ場と違って、焚火はできませんが、標高が高く、高山に囲まれたキャンプ場ならではの時間を楽しむことができます。
室堂ターミナルからたった45分、しかも整備された道を歩くだけで到達することができますし、テント場もフラットで設営しやすいため、テント泊初心者にもおすすめできます。ただ、標高は2300メートル弱と高いので、防寒対策だけはしっかりとした方が良いでしょう。
以上、「【立山】雷鳥沢でテント泊をして秋の立山三山を縦走! ~雷鳥沢テント泊編~」でした。登山を始めてから一度はテント泊してみたいと思っていたところですが、期待にたがわず素晴らしいテント場でした。
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