関東地方に大雪が降った翌日、雪の塔ノ岳に登ってきました。一面雪に覆われた山頂から眺める青い空、丹沢の山々の向こうに鎮座する冠雪した富士山、そして、陽光を受けて輝く相模湾。最高の景色を眺めることができました。
大倉尾根を登って雪の塔ノ岳へ!
当初、別の山への登山を計画していたのですが、予想以上の大雪となってしまい、どんな状況かよくわからなかったため、前日に計画を変更。登り慣れた塔ノ岳へ登ることにしました。
塔ノ岳の雪景色は素晴らしいと聞いていましたが、自分の休暇と降雪があうタイミングなどめったにないでしょうから、このチャンスを逃してはならん! ということで。
実は、塔ノ岳には、1ヶ月半ほど前、丹沢主脈縦走のときに登ったばかりでした。
こんなに短期間の間に同じ山に登るのも初めてですが、季節が違えば景色も全く違うでしょうし、今回は雪景色が期待できるということで、再び塔ノ岳に登ることに決めたのでした。
今回のコースは以下のとおりです。
大倉バス停から大倉尾根をピストンするシンプルなコースにしました。基本的に雪山登山をしない(できない)ので、滑り止めを着けて長時間登ったことがありませんでした。そんなこともあり、登りなれたコースを選択しました。
大倉尾根は階段が続くコースですが、階段であれば多少雪が積もっていても歩きやすいでしょうし、何度も登っているので、ペース配分もつかみやすいです。
コースタイム的にはそれほど急ぐ必要はないのですが、当日は晴れ予報でしたので、雪が溶けないうちになるべく早く山頂へ、ということで、朝から登り始めることにしました。
今回の行程は以下のとおりです。
- 08:10 大倉バス停 出発
- 09:30 駒止茶屋 到着(チェーンスパイク装着)
- 09:45 駒止茶屋 出発
- 11:15 塔ノ岳 到着
- 12:10 塔ノ岳 出発
- 13:05 堀山の家 到着(チェーンスパイク取り外し)
- 13:15 堀山の家 出発
- 14:20 大倉バス停 下山
大倉を出発、雪が少ない序盤の大倉尾根を登る
午前8時前に大倉に到着。渋沢駅からのバスは、道路が一部凍っているところがあるようで、ゆっくりゆっくり走っていました。大倉のレストハウスやバス停の前は、きれいに除雪されていて、雪がほとんどありませんでした。ありがたいことです。
トイレを済ませて、支度をして出発します。雪が積もっているでしょうから、ゲイターを着けていきます。
寒いかと思ったのですが、それほどでもなく、ここまで着てきた薄手のダウンを脱いで、メリノウールの長袖シャツ、化繊の長袖シャツ、フリースの3枚でスタート!
大倉バス停から登山口までの道路は、ところどころに雪が残っていましたが、それほど問題ありませんでした。路面に雪がついていても、ガチガチに凍っているわけではなさそうです。
ということで、登山口へ。
登山道に入ると雪が多いのかと思いきや、登山道が針葉樹で覆われているところは、雪がほとんどありません。その代わり、頭上からハラハラと雪が舞い落ちてきます。この状況なら、まだ滑り止めは必要なさそうなので、そのまま登っていくことにします。
大倉高原テントサイトとの分岐に到着。トイレ新設工事のため、大倉高原テントサイトへは立ち入り禁止となっていました。新しいトイレができるのはありがたいですね。
木に覆われていないところは多少雪がありますが、ほとんど影響はありませんでした。
見晴茶屋に到着。ここから見下ろす街並みは白くなっていて、屋根に雪がついているのがわかります。
ここまではウォーミングアップみたいなもの。ここから先は、階段が連続するエリアに入ります。
次第に雪が増えていく大倉尾根を登る!
階段が続くエリアに入りましたが、まだ階段にはそれほど雪は積もっていません。特に問題なく、ふつうに歩けるレベルです。
1ヶ月半前に登った時には紅葉がきれいだったところです。もともと階段が広めで木がまばらなのと、葉っぱが落ちてしまっているので、少し雪が多くなってきました。とはいえ、先行する登山者が踏み固めてくれた跡をトレースすれば、特に滑ることもなく登っていけます。
ひとしきり階段を登りきって、平坦な道に出ました。登山道一面が雪に覆われていましたが、雪質が良く、サクサクと踏みしめながら歩けるので楽しいですね。これが凍っていたりすると、滑り止めがないと危ないのでしょうけれど……。
再び急な階段が連続して、登りきると「駒止茶屋」に到着です。このあたりまでくると、階段の上にもそれなりに雪が多くなってきたので、チェーンスパイクを着けることにしました。
小腹が空いてきたので、ついでに行動食を食べます。風がないので寒くはなく、ずっと登りが続くのでむしろ暑いくらいです。少し休憩していると、クールダウンして、汗がひいてきました。
チェーンスパイクで大倉尾根の急な階段を登る!
木道の上にも雪が積もっています。足を置く場所が平らな階段よりも、傾斜がついている木道のほうが滑りやすいので、注意しながら登っていきます。
堀山の家に到着しました。ここから先は急な階段や岩がゴロゴロした道が続くので、いつもは堀山の家で休憩していくのですが、先ほどチェーンスパイクを着けるときに休憩したので、今日はスルーします。
堀山の家の前のテーブルやベンチが並んでいるところの奥から富士山を眺めることができます。大倉尾根を登っていると、ここで初めて富士山を目にすることになります。今日も良い天気で、雪をたくさんかぶった富士山が見えました。塔ノ岳山頂からの景色が楽しみです。
堀山の家から少し登ると、大倉尾根では珍しい、階段ではなく、岩がゴロゴロしたエリアに入ります。思ったほど雪が積もっていなくて、岩と岩の間に少し積もっているくらいです。
ですが、その上の階段が連続するところまで登ってくると、かなり雪が増えてきました。階段が雪で埋まるくらいまで積もっています。滑らないように慎重に登っていきます。
南斜面から上がってくる雲と競争しながら山頂へ!
チェーンスパイクを着けたからか、花立山荘手前あたりから、やけに足が重く感じるようになりました。体力的にはまだまだ登れそうなんですが、足がなかなか上がらない、という状況です。少しペースを落として、休み休み登っていくことにします。
花立山荘の手前で、南側の眺望が開けるところまでやってきました。晴れていて、伊豆大島まできれいに見えているのですが、南斜面に小さな雲が湧いてきました。そういえば、今日の塔ノ岳の天気は、午後からは雲に覆われる時間もある、とのことでしたので、先を急ぐことにします。
ただ、やはり足が重いので、花立山荘で少しだけ休憩することにしました。富士山が見えるベンチに座って、水分補給をします。富士山の南側のすそ野から愛鷹山まできれいに見えています。
花立山荘からひと登りすると、ようやく塔ノ岳の山頂が見えてきました。ここから少し下って、山頂に向けて登り返しとなりますが、この下るところから山頂までは、最も雪が多かったと思います。
金冷しに到着。左へ行くと鍋割山稜を経由して鍋割山へと通じています。塔ノ岳山頂へは右へ。あと0.6km、ラストスパートです。
金冷しからはずっと急な階段が続きます。ここはいつもキツイですね。山頂直下の階段を登っていきます。
先ほどは小さな雲が湧いているだけでしたが、徐々に大きな雲が斜面を登ってきました。が、もう山頂は目の前!
塔ノ岳山頂に到着! 山頂の雪景色と青空、富士山の絶景を満喫!
何とかガスに追いつかれずに、塔ノ岳の山頂に到着! 山頂はかなり雪が積もっていて、見事な雪景色。白い雪で覆われた山頂と、澄んだ青空のコントラストが素晴らしいです。
よく踏まれているところは積雪が5cmくらいになっていますが、踏まれていないところはふかふかで、15cmくらいは積もっていたと思います。
そして、塔ノ岳山頂からの景色といえば、やはり富士山です。丹沢の山々の向こうに、すそ野まできれいに見える富士山、最高の景色です。手前の山々も少し白くなっていますね。
昨年の富士山は雪がかなり少なかったのですが、今年は多め。よく見ると、左側(南側)の斜面のほうが雪が多く、下のほうまで白くなっています。昨日の南岸低気圧の影響で、富士山のすそ野でも雪が積もったのかもしれません。
富士山の右側(北側)には、南アルプスの山々がくっきり見えています。上部は冠雪して白くなっています。この空の透明度は、冬ならではですね。
動画でもどうぞ。西風がやや強く、風切り音が耳障りですが、ご覧ください。
富士山を眺めながらお昼にしよう! と思っていたのですが、西風のせいで富士山が見える側は寒かったので、反対側の風を避けられるほうへ。関東平野や都心の景色を眺めながら、カップヌードルをいただきました。いつも使っている100均で買った金属の箸がとても冷たい! 割りばしにしたほうがよさそうです(笑)
山頂で温かいコーヒーを飲みながらの至福のひととき。寒いのでフリースの上にソフトシェルを着ましたが、それで何とか寒さをしのげるくらいの気温と風でした。
塔ノ岳山頂の様子です。休憩している間に、南斜面からかなり雲が上がってきて、相模湾や都心方面は見えなくなってしまいました。途中での休憩を最小限にして、頑張って登ってきてよかった……。
結局、大倉バス停から塔ノ岳山頂までの登りは3時間ちょっと。雪があって、チェーンスパイクを着けて登ったにもかかわらず、これまでで一番短いタイムでした。足が重かった原因は、単純にオーバーペースだったのかも……。
あっという間に雪が溶けてしまった大倉尾根を下る
雲が上がってきたとはいえ、まだ富士山や丹沢の山々を見渡すことができます。この絶景をずっと眺めていたいのですが、そろそろ下山しましょう。
塔ノ岳山頂~花立山荘の間は、もともと積雪が多かったためか、直接日があたらないところが多いためか、下山するときにもかなり雪が残っていました。
下山時は滑ると怖いので、トレッキングポールを使って下っていくことにします。
花立山荘を過ぎると、登山道はこのとおり。登ってくるときはかなり雪があったはずなのですが、山頂で休憩している間にすっかり溶けてしまっていました。直射日光があたるところは、ほとんど雪は残っていなくて、水たまりになっています。太陽のパワーはすごいですね。
土の上もかなりドロドロになっていますが、もともとそこまで雪が多くなかったためか、少し濡れた地面を歩く感覚で下りることができました。
堀山の家に到着。もうほとんど雪は残っていないので、ここでチェーンスパイクを外しました。花立山荘で外してしまってもよかったくらいです。
こんな状態なので、チェーンスパイクを外してもそれほど滑ることはありません。とはいえ、転んでしまうとドロドロになりそうなので、気をつけて下っていきます。
登山口に近いところは、全くと言っていいほど雪は残っていません。雪なんて降ったの?と思ってしまうくらい。
今朝は路面に雪がついていた登山口も、このとおり、すっかり溶けてしまい、路面も乾いていました。標高が300メートルくらいしかないので、晴れて直射日光があたると、あっという間に溶けてしまうのですね。
大倉に到着! 塔ノ岳山頂から2時間半弱、いつもと同じくらいのペースで大倉バス停まで下ることができました。
温泉を求めて「名水はだの富士見の湯」へ
ちょうどバスが行ってしまったので、30分後の次のバスを待ちます。トイレの前の洗い場で、登山靴とゲイターを洗って、ザックの中身を整理してから、大倉レストハウスでアイスクリームを購入。おいしくいただきました。
バスで渋沢駅まで戻り、小田急線の電車で、一つ新宿寄りの秦野駅へ。秦野駅からは徒歩20分ほどで、「名水はだの富士見の湯」に到着します。
駅から離れているためか、ほとんどの方がクルマ利用で訪れるようです。駐車場には結構クルマが止まっているように見えましたが、温泉や食堂は閑散としていました。
「名水はだの富士見の湯」のお風呂は温泉ではなく、名水百選に選ばれている秦野の湧水を沸かしたものだそうです。
早速温泉で温まります。ややぬるめの露天風呂からは、目の前に丹沢や箱根の山々を見ることができます。晴れていれば富士山も見えるようですが、残念ながら雲の中だったようです。
生ビールにおつまみがついた「ちょい飲みセット」(650円)で乾杯! 平日の夕方ということもあってか、食堂には他に2名しかいません。
ざるそば(450円)もいただきました。結構ボリュームがあるわりには安いのがいいですね。1時間ほどくつろいでから秦野駅へ戻り、ロマンスカーで帰宅しました。
青空と雪のコントラストが素晴らしい雪の塔ノ岳
ということで、関東に雪が降った翌日の塔ノ岳に登ってきました。
登山道には思ったほど雪がなく、階段が続くこともあり、登りづらさは感じませんでした。滑り止めを使わずに登っていた人もそれなりに見かけました。
そして、山頂からの素晴らしい景色! 雪景色と青空のコントラストは素晴らしく、寒い中、いつまでも眺めていたくなるほどでした。もともと富士山の眺めの素晴らしい山ですが、雪で白くなった山々の向こうに眺める富士山は、また格別です。
下山するときには、登山道の雪は大半が溶けてしまったので、山頂の雪もそれほど持たないのかもしれません。塔ノ岳に雪が積もるのは、関東南部が雨や雪のときに限られると思いますが、その翌日、できるだけ早い時間に登らないと、雪景色を眺められないのかもしれないです。
それなりに雪が積もった翌日に、登山に出かけられるか。なかなかタイミングが難しいのですが、今回は見事にそのタイミングがあったので、雪の塔ノ岳の登山を楽しむことができました。
今回の登山装備
- メリノウールの長袖シャツ(モンベル)
- 化繊の長袖Tシャツ(ワークマン)
- フリース(モンベル)
- ソフトシェル(モンベル)
- コンパクトダウン(ユニクロ)※登山中は利用せず
- トレッキングパンツ(モンベル)
- メリノウールのタイツ(ワークマン)
- 登山用靴下(FITS)
- 登山靴(モンベル アルパインクルーザー2300)
- チェーンスパイク
- ザック(グレゴリー ZULU30)
- レインウェア上下 ※利用せず
- 膝サポーター(ザムスト EK-3)
- トレッキングポール(シナノ) ※利用せず
- 飲み物(アルパインサーモボトルに入れた熱湯750ml+ペットボトル600ml)
- 行動食
- ランチ(カップヌードル)
- ファーストエイドキット
- ヘッドライト
雪が積もった山に登るとはいえ、登る日は晴れていたので、そこまで寒くはありませんでした。メリノウールの長袖シャツ、化繊の長袖Tシャツ、フリースの3枚で登りましたが、日が当たるところでは暑いくらいでした。
山頂は風がやや強かったので、防風・防寒対策としてソフトシェルを着ました。さらに寒ければ、ダウンやレインウェアも着ようと思っていましたが、そこまでは必要なかったです。
とはいえ、山頂の寒さはなかなかでした。風があったせいですが、もしこれが強風だと、のんびり休憩して、というレベルではなくなると思われます。冬は風が強いことが多いので、防風・防寒は入念に準備しておいた方がよさそうです。
以上、「【丹沢】雪の塔ノ岳へ! 雪景色の山頂から青い空と富士山を眺める雪山ハイク!」でした。登山道は「雪山」というほどではないですが、山頂からの景色は絶景! 見慣れた塔ノ岳からの景色がここまで変わるのか! と驚きました。チャンスがあれば、ぜひ雪の塔ノ岳に登ってみてください。
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2021年秋に、大倉尾根から塔ノ岳に登り、丹沢山、蛭ヶ岳と縦走。蛭ヶ岳山荘に泊って、夜景や御来光を楽しんだあと、檜洞丸を経由して西丹沢ビジターセンターに下山したときの山行記録です。
2020年秋に塔ノ岳の山頂にある尊仏山荘に泊まった時の登山記です。翌日は、表尾根を歩いて下山しました。
コメント
近々、尊仏山荘に泊まって山小屋デビューと思っていたのですが積雪が気になっていました!
登山口近くはそんなにすぐ溶けてしまったんですね。
とても参考になる記事で有り難いです!
さざんか以外の温泉情報もありがとうございます。
MMさん、コメントありがとうございます!
尊仏山荘での山小屋デビュー、いいですね! 私も山小屋デビューは尊仏山荘でした。日曜泊だったので、空いていて快適に過ごせました。山小屋の寝室には暖房がなくて、とても寒いのだけは注意です。
塔ノ岳の雪は、すぐに溶けてしまうので、登られる2,3日前に降っていなければ、それほど問題はないと思います。
名水はだの富士見の湯は、空いていてよかったのですが、駅から遠いのが難点ですね。登山したあとに20分歩くのは大変です(笑)