丹沢山の山頂にある山小屋「みやま山荘」に泊まって、1泊2日で丹沢を歩いてきました。大倉から塔ノ岳経由で丹沢山へ登り、山頂にある山小屋「みやま山荘」に1泊。翌日は宮ヶ瀬へ下りました。初日はお天気に恵まれて塔ノ岳からの絶景や、丹沢山山頂での夕陽や夜景を満喫。みやま山荘のおいしい食事にも大満足でした。
丹沢山に登って「みやま山荘」に宿泊
丹沢山には2回登ったことがあります。最初は夏場に大倉からピストンで、2回目は丹沢主稜縦走の時に通過しました。今回は3回目の丹沢山となります。
丹沢山を目的地にしたのは、山頂にある「みやま山荘」に泊まりたかったからです。丹沢にある主要な山小屋のうち、塔ノ岳にある尊仏山荘と蛭ヶ岳にある蛭ヶ岳山荘には泊まったことがあるので、次はみやま山荘だ! というわけです。
今回のコースは以下のとおりです。
1日目はおなじみの大倉から大倉尾根(通称、バカ尾根)を登り塔ノ岳へ。塔ノ岳山頂でお昼休憩をとってから、丹沢山へ向かいます。丹沢山の山頂にあるみやま山荘に宿泊。2日目は、丹沢山から丹沢三峰という小ピークを超えて、宮ヶ瀬へと下山しました。
2日目の下山ルートは、西丹沢方面へ向かうルートと迷いました。丹沢山から蛭ヶ岳、檜洞丸を超えて西丹沢ビジターセンターへ下山するコースは、かなり距離が長くコースタイムも長め。時間的には暗くなるまでに下山できそうでしたが、このコースは昨年歩いたばかりなのでした。
一方、宮ヶ瀬へのルートは歩いたことがありません。丹沢山~宮ヶ瀬のルートは、みやま山荘に宿泊しないと歩く機会はなさそうだなと思い、今回は宮ヶ瀬に下山するルートにしました。
今回の主な行程です。
- 1日目
- 08:45 大倉 出発
- 10:25 堀山の家
- 11:30 花立山荘
- 12:10 塔ノ岳 到着(お昼休憩)
- 13:20 塔ノ岳 出発
- 14:15 丹沢山 到着(みやま山荘泊)
- 2日目
- 07:10 丹沢山 出発
- 07:50 西峰(太礼ノ頭)
- 08:15 中峰(円山木ノ頭)
- 08:40 東峰(本間ノ頭) 到着(小休止)
- 09:05 東峰(本間ノ頭) 出発
- 10:25 高畑山
- 11:15 宮ヶ瀬 登山口
- 11:20 三叉路バス停 下山
2日間で距離20.1km、累積標高は、上り1,982メートル、下り1,962メートルでした。登山口の大倉と宮ヶ瀬は、いずれも標高300メートル前後でしたので、累積標高の上りと下りが同じくらいになりました。
丹沢山登山口への公共交通機関でのアクセス
今回利用した登山口への公共交通機関でのアクセスをご紹介します。
- 大倉(秦野戸川公園)
- 小田急線 渋沢駅から神奈川中央交通バス(大倉行き)で約15分
- 1時間に2本程度、土休日の朝は1時間に4本程度あり
- 三叉路バス停(宮ヶ瀬)
- 小田急線 本厚木駅から神奈川中央交通バス(宮ヶ瀬行き)で約45分
- 1時間に1本程度あり
大倉尾根の登山口となる大倉バス停へは、渋沢駅から30分に1本以上のバスがありますし、所要時間も約15分とアクセス良好です。
一方、宮ヶ瀬の登山口の最寄りは「三叉路」というバス停です。こちらは本厚木駅から1時間に1本のバスが出ています。今回は下山に使いましたが、1時間に1本のバスがあると、それほどバスの時間を気にしなくて済むのでありがたいですね。
路線バスの時刻表等については、神奈川中央交通のWebサイトをご確認ください。
【塔ノ岳】ひさびさに大倉尾根を登って絶景の塔ノ岳へ!
大倉から、ひたすら階段が続く大倉尾根を登ります。ひさびさに登ったのでかなりキツかったですが、無事に塔ノ岳に登頂! お天気は快晴で、山頂からの富士山や丹沢の山々、相模湾、横浜や都心方面までくっきりと眺めることができました。
大倉を出発して紅葉がわずかに残る大倉尾根へ
大倉を8時45分ごろにスタート。いつもは午前8時前には出発するのですが、今日は丹沢山までの登りのみ。コースタイム的にかなり余裕があるため、いつもより1時間ほど遅めの出発です。
ごらんのように、素晴らしい青空! とても良いお天気に恵まれて、塔ノ岳や丹沢山山頂からの眺望が楽しみです。
見晴茶屋までの1時間弱はウォーミングアップのようなもの。見晴茶屋で水分補給を済ませ、ここから続く階段地獄に備えます。
見晴茶屋から少し登ると、モミジが美しいエリアへ。3週間前にもここを下りましたが、まだ色づきはじめといった感じでした。今日は、紅葉の見ごろが過ぎ、葉が落ちてしまった木も多かったです。それでも、この写真のように、まだわずかに紅葉した葉が残っている木も。
11月中旬にヤビツ峠から表尾根を経由して塔ノ岳に登り、大倉へ下ったときの様子は、以下の記事をご覧ください。
急な階段に備えて堀山の家で小休止
さらに標高を上げていくと、木々の葉はすっかりと落ち、完全に冬の装いに。葉がない分、太陽の光が差し込んでくるため、この時期の登山道はとても明るいのがいいですね。
大倉から1時間45分ほどで堀山の家に到着。ここから先は大倉尾根の核心部ともいうべき区間で、急な階段が延々と続きますので、ここで少し休憩していきます。
堀山の家のベンチとテーブルがあるところから、木々のあいまに富士山が見えています。今日は雲もかかっていなくて、きれいに、そして、くっきりと見えていますね。山頂からの眺めが楽しみです。
小腹が空いたので、行動食のSOY JOYを食べておきます。
階段地獄を登って相模湾の眺望が素晴らしい花立山荘へ
堀山の家から先は、こんな感じの階段が延々と続きます。段差が大きめな階段や段差が小さめの木道のような階段など、緩急を織り交ぜながらも、延々と登りが続きます。
階段と比較的平坦なところが交互に出てくる堀山の家より下までと違い、基本的にずっと登りです。
疲れたときには、富士山を眺めたり、写真を撮ったりして息を整えます。それにしても見事な富士山! 丹沢からは富士山の東斜面を正面に見ることになりますが、南東斜面のかなり下の方まで雪が積もっていますね。
樹林帯を抜けてもまだまだ階段が続きますが、振り返るとこの絶景! 疲れて立ち止まっても、この絶景を眺められるなら文句はありません(笑)
相模湾に突き出た真鶴半島や伊豆半島、初島まで一望です。相模湾に浮かぶ大きな島は伊豆大島。かすかに島影が見えるのは利島と新島でしょうか。
何度もここからの景色を眺めたことがありますが、晴れていても空気が霞んでいるとぼんやりとしか見えないのですよね。ここまでくっきり、はっきりと見えるのは久しぶりです。
ようやく花立山荘に到着して、少しベンチで休憩します。目の前にきれいな富士山を眺めながら水分補給をします。
ここまで、メリノウールのアンダーシャツと化繊の長袖Tシャツの2枚で登ってきましたが、12月だというのに汗だくですね。さすが、大倉尾根です……。
最後のひと踏ん張りで塔ノ岳に登頂!
花立山荘からザレた道を少し登ると、ようやく目の前に塔ノ岳が見えてきました。花立山荘までほどには急ではないとはいえ、まだまだ登りは続きます。
花立山荘から5分ほど登ったところから眺める富士山も素晴らしいです。花立山荘からだと北側のすそ野が山影に隠れてしまいますが、ここからは両側ともきれいに見えますね。
最後の急な階段を登りきって、12時10分ごろに塔ノ岳山頂に到着! 素晴らしいお天気で、富士山もとてもきれいに見えます。
コースタイムには余裕があるので、ゆっくり登ったのですが、それでもしんどいのが大倉尾根ですね。
塔ノ岳山頂で絶景を眺めながらお昼休憩
幾重にも重なる低い山並みの向こうに、きれいにすそ野を引く富士山がとても美しいです。塔ノ岳よりも富士山に近い山はたくさんありますが、このバランスの良い眺めがお気に入りです。
塔ノ岳は、富士山だけでなく、南側の眺望も素晴らしいです。手前の丹沢表尾根の奥には相模湾と江の島がきれいに見えました。海がすぐ近くに見えるのも、表丹沢の魅力の一つですね。
少し東側に目を向けると広大な関東平野が広がっています。都心方面はやや霞んでいますが、夜になると夜景がとてもきれいなのです。尊仏山荘に泊まると夜景を見ることができます。
さて、お昼休憩にしましょう。持参したマルタイ棒ラーメンを作って食べます。が、風がやや強く、なかなかお湯が沸きません。バーナーの火が消えるほどではないのですが……。周りを見ていると、風が当たらないように工夫してお昼の準備をしている方がたくさんいました。
何とかラーメンを食べて一休み。といっても、冷たい風で体が冷えてしまいますので、休憩もそこそこに出発することにしましょう。じっとしていると寒いですし。
【丹沢山】雪解けの泥濘が続く尾根道を歩いて丹沢山へ
塔ノ岳から丹沢山へは眺望が良い尾根道が続きます。数日前の雪のせいか、登山道はドロドロになっているところが多く、慎重に歩きます。
雪が残る北斜面を下って尾根道へ
13時20分ごろに塔ノ岳を出発します。塔ノ岳山頂から丹沢山への登山道は、尊仏山荘の横にあります。距離は2.6km、コースタイムは1時間ちょっとです。
塔ノ岳山頂から、いったん木の階段で下っていきます。階段の上には雪はありませんが、階段脇にはわずかに残雪があります。大倉尾根では全く雪を見かけませんでしたが、南斜面と北斜面の違いでしょう。
木の階段を下り切ると、目の前に丹沢山が見えてきます。手前のピークが目的地の丹沢山です。奥に見えるのは、丹沢最高峰の蛭ヶ岳ですね。
ここから先は、眺望が開けた尾根道を歩いていきます。西側が開けたところからは、このとおり! 富士山を眺めながら歩くことができます。標高は1400メートルそこそこで森林限界には達していないので樹林帯が全くないわけではありませんが、大倉尾根に比べると眺望がかなり優れています。
雪融けの泥濘が続く登山道を慎重に進む
いったん下ったあとは、尾根に沿って多少のアップダウンがあります。それほど長い登りや下りが続くわけではなく、比較的緩やかなアップダウンです。大倉尾根に比べると楽ですが、大倉尾根の登りでだいぶ体力を削られているので、ゆっくり歩いていきます。
ただ問題が一つ。登山道がドロドロです。季節を問わず、塔ノ岳から丹沢山を経て蛭ヶ岳へと続く尾根道は泥が発生しやすいのですが、今日はさらにひどい状況になっています。数日前に雪が数センチ積もったからでしょう。雪は溶けてしまいましたが、その水分が残っていて、夜間に凍結→日中の日差しで溶けてドロドロに、ということのようです。
塔ノ岳と丹沢山の間には小ピークがいくつかありますが、ここがそのうちの一つ「日高」です。道標がないとピークとは気づかずに通り過ぎてしまいそうなところですが、確かに周囲よりはやや高くなっています。
足元は要注意なのですが、この尾根歩きは眺望に優れていて素晴らしいです。大倉尾根から塔ノ岳をピストンするだけでは味わえないですね。
竜ヶ馬場手前の休憩場所からの素晴らしい眺望
丹沢山手前のもう一つの小ピーク「竜ヶ馬場」に登る手前に、ベンチがいくつか設置された休憩場所がありますので、ここに立ち寄りました。
ここは南~東側の眺望が開けていて、相模湾や関東平野の眺望が素晴らしいです。大山の向こうに相模湾とその手前の街並みがくっきりと見えました。江の島や、その向こうの三浦半島もよく見えています。
塔ノ岳山頂から見た時よりもはっきりと見えています。14時前になって日が傾いてきて、東側の景色が立体的に見えるようになってきたせいでしょう。
横浜方面の眺望です。中央の高いビルはランドマークタワー、その向こうにベイブリッジまで見えています。奥に見える海は東京湾、その奥には房総半島まで見えますね。
丹沢山の山頂は、関東平野の方向に樹木があってすっきりと見渡すことができないので、ここで見ていくといいですね。
最後の階段を登って丹沢山に登頂!
竜ヶ馬場を過ぎてわずかに下ったあと、最後の登りが待っています。木道や木の階段が続きますが、それほど長くはありません。
14時15分頃、丹沢山に到着! 午後になってもほとんど雲が出ることはなく、山名板の奥に富士山が見える、素晴らしい景色でした。
丹沢山の山頂はそれなりに広く、広場の奥の方にはベンチがいくつかあります。ですが、この時期、14時をまわると日帰りの人は下山済みで、閑散としていました。
【みやま山荘】富士山横に沈む夕陽を眺めおいしい夕食に大満足!
丹沢山の山頂に到着したあと、みやま山荘で宿泊の手続きをします。夕食の時間まで、ビールを飲んだり、夕陽を眺めたり。夕食は鉄板焼き! 山小屋とは思えないおいしい夕食に大満足でした。
みやま山荘で宿泊手続き、室内は暖かくて快適!
今日の宿、みやま山荘は、丹沢山の山頂にあります。先ほどの山名板や広場のすぐ横です。
山小屋としてはこじんまりとしていて、定員は30名だそうです。ただ、2004年に建て替えられたこともあって、中はとてもきれいでした。
引き戸を開けて入り、受付をして料金を支払います。1泊2食付きで8,600円。北アルプスの山小屋と比べると安いです。
受付後は、とりあえず荷物を置きに2階の寝室へ。基本的に大部屋ですが、簡易的な仕切りがある2名用の部屋が2つあります。
私の布団は写真のザックが置いてあるところです。
2段になっているところもありました。この日は私を入れて9名だけでしたので、上の布団を割り当てられた人はいなかったようです。
2名用の簡易個室です。つくりは大部屋と同じで、両側に板で、廊下側はカーテンで仕切りがされているだけです。
荷物を整理して、持参したおつまみを持って1階へ。1階は共用スペースと食堂、トイレがあります。この土間になっているテーブルでは、混雑していなければ火を使ってもいいそうです。
缶ビールを購入してささやかに乾杯! 山小屋は室内が寒いことが多いのですが、この土間にはストーブがあってとても暖かいです。2階の寝室もそれほど寒くなく、快適に過ごせました。
ちなみに、みやま山荘ではビール、コーラ、ポカリスエット、水などの飲み物を売っていますが、おつまみやお菓子などの食べ物はないようでした。お酒を飲む方は、おつまみを持参しましょう。
水場もないので、水をたくさん持参するか、ペットボトルの水(400円)を購入しましょう。
富士山の横に沈む素晴らしい夕景を眺める
16時10分ごろ、夕陽を眺めようと外へ出ました。ほんの1時間半前、到着した時はドロドロだった地面は、もう凍り始めていました。外気温はマイナス2℃。
夕陽は富士山の南側に沈んでいくようです。派手に焼けたわけではないですが、それでも見惚れるほどの景色です。
夕陽を受けてほんのりと赤く染まる丹沢山の山頂です。
雲に隠れて沈んでいく夕陽。富士山のシルエットがとても美しく、幻想的な光景でした。山頂で泊まる人だけが見られるご褒美です。
みやま山荘の上には、満月が昇ってきました。
完全に日が沈んでも、しばらく山頂で富士山を眺めていました。もう、この夕陽を眺められただけで、泊まりで来たかいがあったというものです。
夕食の焼肉を満喫して就寝
18時から夕食です。夕食は焼肉! 固形燃料にマッチで火をつけて、自分で焼いていただきます。山頂にある山小屋とは思えない豪華なメニューです。
お肉と野菜を焼いて、ご飯と一緒に食べるととてもおいしい! ご飯がどんどん進みます。ご飯とお味噌汁はお代わり自由なので、遠慮なくお代わりをしました。
あっという間に完食! 大満足でした。
夕食後は部屋でのんびりしていましたが、一度だけ夜景を見に外へ。スマホのカメラではうまく撮れずに、盛大にぶれていますが、小屋の南側の木々のあい間からきれいな夜景が見えました。
20時半には消灯で就寝。お布団は厚みがありますし、毛布もふかふかで、まったく寒い思いをせず、ぐっすりと休むことができました。
1日目はここで終了です。2日目は、朝食を食べたあと、日の出を眺めてから午前7時過ぎに出発。宮ヶ瀬方面へと下りましたが、その様子は以下の記事でお届けします。ぜひご覧ください。
以上、『【丹沢】みやま山荘に泊まり丹沢山からの絶景とおいしい食事を満喫する山旅 ~丹沢山登頂編~』でした。素晴らしいお天気に恵まれたうえに、みやま山荘ではゆっくりと過ごすことができて、最高の1日でした。
関連記事
7月下旬の猛暑の中、大倉から丹沢山に登ったときの記録です。北アルプスや八ヶ岳に登る前のトレーニングとして挑戦しましたが、暑さにやられました。夏場はあまりおすすめしません。
コメント