奥多摩の奥地にある天目山~蕎麦粒山~川苔山(天目背稜)を日帰りで歩いてきました。奥多摩随一の眺望がある天目山(三ツドッケ)や、天目山~川苔山の気持ちの良い尾根歩きを楽しめました。平日とはいえ、ゴールデンウィーク真っ只中だったにもかかわらず、すれ違ったのは数人のみ。静かな山歩きも楽しめました。
奥多摩の最奥部、都県境に沿う天目背稜を歩く!
今回歩いてきたのは、奥多摩と秩父(奥武蔵)の境界、東京都と埼玉県の都県境に沿う「天目背稜」です。天目背稜は、一般的には、天目山(三ツドッケ)から棒ノ折山までのことを指すことが多いようです。天目背稜の西側は「長沢背稜」と呼ばれ、雲取山の近くにある芋の木ドッケ~天目山の尾根筋を指すようです。
そんな天目背稜ですが、奥多摩の中でもかなり山深い場所。山頂や尾根筋でも、携帯電話の電波が届かないか、届いても3Gという、奥多摩では珍しいエリアです。
今回は天目背稜のうち、天目山(三ツドッケ)~蕎麦粒山~川苔山の区間を歩いてきました。具体的には、以下の地図のコースになります。
スタートは東日原バス停です。日原の集落からヨコスズ尾根を登り、一杯水避難小屋を経由して天目山(三ツドッケ)山頂へ。天目山からは天目背稜の尾根道を、蕎麦粒山~川苔山と歩きました。川苔山からは鳩ノ巣駅へ下山。
特に危険なところはないコースですが、全長で約20kmとなかなかのロングコースです。山深い場所であるのに加えて、東日原バス停から天目山までは標高差で900メートル以上登ることになるので、歩く人が少ないコースです。それでも、ヨコスズ尾根の上部や、天目背稜の尾根歩きは、アップダウンが少なめで、快適な山歩きを楽しめました。
今回の主な行程は以下のとおりです。
- 08:45 東日原バス停 出発
- 10:30 一杯水避難小屋
- 10:55 天目山(三ツドッケ) 到着
- 11:15 天目山(三ツドッケ) 出発
- 12:15 蕎麦粒山 到着
- 12:35 蕎麦粒山 出発
- 13:10 日向沢ノ峰 到着
- 13:20 日向沢ノ峰 出発
- 14:15 川苔山 到着
- 14:50 川苔山 出発
- 16:40 鳩ノ巣駅 到着
前述のとおり約20km、累積標高は上り1,740メートル、下り2,035メートルと、日帰りにしてはかなりのロングコースとなりました。
天目背稜(天目山・蕎麦粒山・川苔山)登山口への公共交通機関でのアクセス
天目背稜の主要な登山口への公共交通機関でのアクセスを紹介します。
天目山、蕎麦粒山、川苔山へは、奥多摩駅から路線バスでアクセスします。
- 天目山 登山口(東日原)
- JR奥多摩駅から西東京バス「東日原行き」または「鍾乳洞行き」で約25分、東日原バス停で下車
- 蕎麦粒山・川苔山 登山口(川乗橋)
- JR奥多摩駅から西東京バス「東日原行き」または「鍾乳洞行き」で約15分、川乗橋バス停で下車
東日原バス停から天目山へはヨコスズ尾根を、川乗橋バス停から蕎麦粒山へは鳥屋戸尾根を登ります。ヨコスズ尾根の様子はこのあと紹介しますが、鳥屋戸尾根はひたすら急登が続くとのこと。登ってこられた方の話では、急坂&道迷いのリスクが高いので、下りに使うのはおすすめしないとのことでした。
川苔山へは、上記の川乗橋バス停から登るルートが一般的ですが、JR青梅線の鳩ノ巣駅から登るルートもあります。
バスの時刻については、西東京バスのWebサイトでご確認ください。
【東日原~天目山】ヨコスズ尾根を登り眺望が素晴らしい天目山(三ツドッケ)へ
東日原バス停を出発し、ヨコスズ尾根を登ります。前半は植林帯、後半は広々とした尾根道を登って一杯水避難小屋へ。最後の登りはかなり急登ですが、登り切れば、奥多摩随一と言われる眺望が待っています。
東日原バス停を出発してヨコスズ尾根へ
ゴールデンウィークの中日(平日)の奥多摩駅は、ふだんの週末かと思うくらいの人! 8時10分の鍾乳洞行きのバスの前に、川乗橋行きの臨時バスまで出ていました。
満員の鍾乳洞行きのバスに乗車して約25分、8時半過ぎに東日原バス停に到着しました。下車したのは年配のグループ数名以外に、私を含めてソロが3名。
東日原バス停のベンチで支度を済ませ、トイレをお借りしてから出発です。
バスが走っていった道路を少し歩いたあと右折して、YAMAPの地図に従って集落の生活道路へ。登山口はこの写真の場所ですが、最初、間違って車道の方へ行ってしまいました。すぐの電柱に「この道は登山道ではありません」との掲示があり、慌てて戻りました(笑)
石垣の上の狭い道を歩いていきます。日原の集落のあたりは、春から初夏へと季節が進んでいるのか、新緑が美しいですね。
やがて植林帯の歩きやすい道になりました。ここからしばらくは、植林帯を登っていくことになります。
斜面は傾斜が急に見えますが、登山道はジグザグに付けられているので、それほど急登という感じではありません。それでも、初っ端からそれなりに登らされる感じです。
植林帯の薄暗い道を黙々と登っていくのは、いかにも奥多摩の山らしいですね。
瑞々しい新緑を眺めながら尾根道へ
しばらく登ると、低山ではありがちな植林帯と自然林の境目に。自然林のほうは新緑が鮮やかで明るいですね。
新緑の葉が美しいです。この時期と紅葉の時期だけは、眺望のない樹林帯も気持ちよく歩けます。
自然林だけの道もところどころに出てきて、新緑のトンネルを歩いているようです。
植林帯の中に不思議な杉の木がありました。幹が途中でひとひねりしているようです。どうするとこのように育つのでしょうかね……。
バス停から天目山までの中間地点くらいまで登ってきましたが、このあたりで登山道の雰囲気が変わりました。斜面のジグザグ道から、尾根の上を歩く道へ。傾斜も緩くなってきます。
気持ちの良い尾根歩きで一杯水避難小屋へ
この尾根道の両側は自然林で、新緑が芽吹いています。標高が上がってきたせいか、まだ葉は少なめです。
そしてこの開放的な尾根道! 吹き抜けていく風がやや冷たいですが、傾斜は緩やかで、とても快適に歩くことができます。天目背稜の尾根道は気持ちよく歩けそうだと期待していましたが、ヨコスズ尾根の上部も素晴らしいです。
地図を見ると「横篶山」というピークがあったようですが、どこだったのかよくわかりません(笑) よく地図を見ると、登山道は山頂を通っていないので、少し西側に巻くような道があったところかもしれません。
そして、その横篶山を過ぎた少し先からは、尾根道の道幅が広くなり、とても開放的です。
尾根道の登山道脇には、サクラが咲いていました。もう葉がかなり出ていて終わりかけのようでした。東京の平地では1か月以上前にサクラは終わっているので、季節の移ろいの違いを感じますね。
尾根が狭くなっているところでは、アセビの花が咲き始めていました。
10時半過ぎ、一杯水避難小屋に到着しました。ここまで休みなしで登ってきたので、水分と行動食を補給して5分ほど休憩。
天目山山頂への道は、一杯水避難小屋の裏側から続いています。ちなみに、この写真に写っている扉はトイレです。お借りしてみましたが、まあ、よくある山中のトイレといった感じです。
急登を登りきって天目山(三ツドッケ)に登頂!
一杯水避難小屋から天目背稜の尾根に上がるまでの道は、かなりの急登です。長くはないですが、ここまで比較的緩やかな登りが続いていたので、少し足に堪えます。
急登を登りきって天目背稜の尾根に出ると、小刻みなアップダウンが続きます。岩が多く、急なところもあるので少し注意しながら進みます。
天目山は「三ツドッケ」とも呼ばれていますが、「ドッケ」とは尖った場所という意味。山頂付近に3つの尖ったところが並んでいる山なのです。このアップダウンは、そのうちの一つを超えているところなのでしょうか。
ひときわ大きな登りが、天目山山頂への登りです。ここはかなり急ですが、頑張って登りましょう。
11時少し前に天目山に到着! 山頂は狭いですが、誰もいません。この先も長いので、あまりゆっくりはできないのですが、しばし眺望を楽しむことにしましょう。
天目山からいわくつきの眺望を楽しむ!
まず見ておきたいのはやはり富士山ですね。富士山の手前に見える山並みは石尾根で、右側に見える三角の山が鷹ノ巣山です。
以前、奥多摩湖から鷹ノ巣山に登り、石尾根を奥多摩駅まで下山したことがありますが、とても気持ちの良い尾根歩きを楽しめます。ただ、奥多摩駅まではかなり長いですが……。
東側には、これから歩く天目背稜の山並みが見えます。写真の右手前から左へ続く尾根を歩き、三角形が特徴的な蕎麦粒山を目指します。そのあとは、右側に見える川苔山を目指す予定です。こうして見てみると、まだまだかなり距離がありそうですね……。
西側には、東京都の最高峰、雲取山(写真中央)が見えています。その右側に見えるのが、雲取山に続く東京都で第二の高峰「芋の木ドッケ」です。この芋の木ドッケから、手前側に続く山並みが長沢背稜~天目背稜でしょう。
北側には奥武蔵の山々を一望! 左端の山が武甲山ですね。
天目山山頂からの眺望はこのように素晴らしく、奥多摩随一と言われるのも納得です。ただ、実はこの眺望はいわくつきなのです。この山をこよなく愛するおじさんが、チェーンソーで山頂の木々を違法に伐採してしまったのだそうです。
違法伐採は褒められるものではありませんが、この眺望は見られるうちに見ておくのがよいと思います。いずれ木々が成長してきたら、また見られなくなる可能性もありますし……。
持参してきたランチパックを食べながら眺望を眺めていました。ずっと見ていたいほどの素晴らしい眺望ですが、まだ先は長いので、名残惜しいですが出発しましょう。
【天目山~蕎麦粒山】天目背稜の快適な尾根道を歩いて蕎麦粒山へ
天目山の眺望を楽しんだあとは、天目背稜の尾根道を歩いて蕎麦粒山を目指します。天目背稜の尾根道はアップダウンが少なく快適! 三角の山容が特徴的な蕎麦粒山まではあっという間でした。
天目山から下って天目背稜の快適な尾根道へ
天目山の山頂から、一杯水避難小屋のほうへ少し戻ります。途中に尾根道の縦走路へ直接下ることができる道が分岐していますので、ここを下っていきます。上の写真にある場所で左側へ下ります。「一杯水避難小屋」という木に括りつけられた道標が目印です。
分岐から縦走路までの道は、ところどころ急斜面もありますが、踏み跡はしっかりしているので、迷うことはないと思います。10分ほど下ると、一杯水避難小屋からの道と合流しました。
天目山から蕎麦粒山への道は、終始こんな感じの快適な尾根道です。道の両側には木があるため、すっきりとした眺望はないものの、明るくて開放的です。
尾根の登山道脇に咲く黄色いお花です。キジムシロかな? 黄色の花は総じて判別が難しいです……。
スミレもあちこちに咲いていました。標高が高いせいか、まだ芽吹き始めたばかりの木々が多いですが、足元から春がやってきているようです。
しばらくこんな快適な道が続きます。とても良い道だと思うのですが、ゴールデンウィークなのに歩く人は少なく、天目山から蕎麦粒山まで、すれ違ったのは2人だけでした。
尾根上の小ピーク「棒杭ノ頭」にチャレンジ!
尾根上にはこのような小ピークがありますが、登山道は巻道があります。ここも、写真の右側に巻道があるのがわかると思います。この先の小ピーク「棒杭ノ頭」への道は実線ルートになっていたので、登ってみることにしました。
登り始めた瞬間、先ほどまでの快適で歩きやすい尾根道とは一線を画す道になります。危険を感じるようなところはありませんでしたが、岩が多めで、小刻みなアップダウンが続きます。
これはなかなかの登り。この上がピークでしょうか?
棒杭ノ頭のピークっぽいところに出ましたが、何も目印がないのでよくわかりません。YAMAPを見る限りはこのあたりがピークになっています。周りを見渡しても、ここが最も高そうなので、おそらくここがピークなのでしょう。
棒杭ノ頭のピークから、やや急な道を下って、巻道と合流しました。棒杭ノ頭からの下りは、やや道がわかりづらいところがあったので、地図をよく見ながら下ったほうが良いでしょう。まあ、眺望があるわけではないので、あえて登る必要もなさそうではありますが。
山頂直下の急坂を登りきって蕎麦粒山に登頂!
蕎麦粒山が近くなってくると、尾根の南側に付けられた狭い道が多くなります。崩落しかけているところもあるので、注意が必要です。この木の橋も怪しいので、左の山側のほうを通りました。
ここも少し削れてしまっていますね。危険を感じるほどではありませんが、谷側に滑り落ちないように足元に注意したほうが良さそうです。
尾根上にある「仙元峠」への分岐です。先を急ぎたいため、ここはスルーしました。
蕎麦粒山への登りにかかります。右側に巻道があるようですが、今は通行止めになっていました。先ほども崩落しかけていたところがあったので、そのようなところがあるのかもしれません。いずれにせよ、ここまできて主要なピークの蕎麦粒山を巻くようなことはしません。
やや急なところを登っていきます。それほど登りは長くはなく、すぐに山頂に到着します。
蕎麦粒山山頂でお昼休憩
12時15分、蕎麦粒山の山頂に到着しました。山頂は狭く、大きな岩がゴロゴロしていますが、大勢が押し寄せるような山ではないので問題ないでしょう。この日も、先客が2名いただけでした。
ここで軽くお昼休憩にします。持参したおにぎりを食べながら、この先の行程を検討します。時間的あるいは体力的に厳しければ、蕎麦粒山から川乗橋へ下ることも考えていましたが、まだ12時過ぎ。体力的にもまだまだ歩けそうなので、川苔山を目指すことにしました。
蕎麦粒山の山頂は、東側だけが開けています。天目背稜の尾根が続いていて、左側に見えるのが日向沢ノ峰、そこから右側へ尾根づたいに登り、右側に見えている川苔山を目指します。川苔山は近そうに見えますが、尾根がややカーブしているのと、川苔山を東側から周り込むように登る必要があるため、まだだいぶ距離があります。
蕎麦粒山の山頂付近の岩陰には、スミレがたくさん咲いていました。
20分ちょっと休憩したので、川苔山を目指しましょう。
【蕎麦粒山~川苔山】防火帯の広々とした尾根を歩いて川苔山へ
蕎麦粒山からは、引き続き天目山稜の尾根道を歩いていきます。蕎麦粒山から川苔山までは防火帯になっていて、木が切り払われているため、広々とした開放的な道が続きます。途中、シロヤシオの花を見ることもできました。
防火帯尾広々とした尾根道を行く
蕎麦粒山山頂からは急な斜面をジグザグに下っていきます。下り切ったところで振り返るとこんな感じです。あの特徴的な三角形の山容を形成する急斜面ですね。
いったん下ったあと、急坂を登り返します。ここの登りはかなりの急登ですが、長くはないので、焦らずにゆっくりと登ります。
登山道脇には例の黄色のお花があちこちに咲いていました。キジムシロか、ミツバツチグリか、はたまた別の花か……。
急登を登りきると道標がありました。ぶら下がっている木の板に、おそらくこの場所の地名が書かれていると思うのですが、消えかかっていて読めません。まあ、気にせず先に進みましょう。
ここから先、しばらくは防火帯の広々とした道が続きます。アップダウンはあるものの、全般的に緩やかというかおおらかという感じで、快適に歩くことができます。
尾根道のやや出っ張っているところにつきました。特に地名を示すものはなさそうですが、地図を見ると「柱谷の峰」のようです。
モミジかカエデかわかりませんが、新緑のきれいな木がありました。紅葉もきれいですが、新緑も鮮やかできれいなんですよね。
緑色か赤茶けた大きな葉の上に、白いきれいな花を咲かせている木がありました。ムシカリの花でしょうか? ここ以外では見かけませんでした。
いろいろな植物を眺めながらの楽しい尾根歩きが続きます。
富士山ビューの「日向沢ノ峰」
再び尾根道の高まりのようなところにつきました。道標には「オハヤシノ頭」と手書きで書かれています。ここも特筆するような場所ではありません。
棒ノ折山への分岐がありました。天目山稜は天目山~棒ノ折山とするのが一般的なようなので、厳密には天目背稜に沿ったハイクはここまで。ですが、この先も川苔山までは同じような尾根道が続いています。
棒ノ折山への分岐を過ぎてすぐのところが「日向沢ノ峰」です。ここは尾根道の他の「峰」や「頭」よりもピーク感が強く、手前にやや急な登りがありました。
そして、この日向沢ノ峰からは富士山をきれいに見ることができます。蕎麦粒山の山頂からは見えなかったので、天目山山頂以来の富士山ビュースポットですね。
ここで水分補給の小休止をとりました。この先、踊平まで一気に下り、その後は川苔山に向けての登り返しとなります。ここまでのような緩いアップダウンではなくなりそうですね……。
急坂を下って踊平へ
少し下ったところから日向沢ノ峰を振り返ってみると、それなりにピークっぽく見えますね。もっとも、日向沢ノ峰は岩がゴロゴロしているだけですが。
少し登り返したところから振り返ってみると、蕎麦粒山と天目山が見えました。右側の蕎麦粒山は三角形が特徴的です。左側の天目山は、このアングルから見ると「三ツドッケ」と呼ばれる理由がよくわかりますね。見事に3つのコブが並んで見えています。
踊平への急坂の上までやってきました。眼前には川苔山が見えていますが、このまま真っすぐは登ることができず、左側に見える曲ヶ谷北峰を経由して登る必要があります。東側から周り込むように登るわけです。
これから登る山を目の前にして、急坂を下っていきます……。
下り切ったところが、日向沢ノ峰と川苔山の鞍部になっている「踊平」です。蕎麦粒山からの巻道があるのですが、今は通行止めになっています。巻道の入口には「土砂で道が消失危険 DANGER」と書かれています。「消失」しているとは大事ですね……。
咲き始めたシロヤシオを眺めながら川苔山への急登に挑む
踊平から先は川苔山に向けて、登り基調に変わります。踊平と川苔山山頂の標高差は約200メートル。後半戦になってこの登り返しはなかなかにキツイものがあります。
そんなキツイ道のりを癒してくれたのが、登山道脇に咲くシロヤシオでした。有名な「白いツツジ」ですが、天目山稜でもところどころで見られるようです。時期的にはまだ早いかなと思っていましたが、日当たりの良いところにある木は、かなり咲き始めていました。
白い花が美しく咲き誇っています。全く期待していなかっただけに、思わぬ収穫となりました。しばし、足を止めて、休憩がてらシロヤシオの花を眺めたり、写真を撮ったりを楽しみました。
近くに何本かシロヤシオの木がありましたが、ほとんどつぼみの木から、この木のように咲き始めているもの、先ほどの写真のように満開に近いものまでありました。まだつぼみの木が多いようでしたので、見頃自体はこれからでしょう。
川苔山への本格的な登りに差し掛かりました。川苔山へは川乗橋から百尋の滝を経由して登ったことがあります。あちらのルートは樹林帯をひたすら登る感じでしたが、天目山稜からのルートは防火帯の開けたところを登っていきますので、雰囲気は全く違いますね。
しばし登ったところで息を整えながら振り返ると、蕎麦粒山からの天目山稜の山並みを一望できました。蕎麦粒山は目線より上に見えますが、川苔山のほうが標高が100メートルほど低いのですよね。
見覚えのある場所に出ました。川乗橋からの道との合流点です。ここまでくれば、山頂まではあと5分足らず。
川苔山で景色を眺めながらのんびり休憩
14時15分、川苔山に到着しました。今朝、川乗橋バス停には大勢の登山者がいましたが、14時を過ぎているためか、ほとんどの方は下山してしまったようで、山頂には数名のみ。
15時に川苔山に到着すれば、17時までには鳩ノ巣駅に下山できると計画していましたが、予定よりだいぶ早く到着できたので、川苔山山頂でゆっくりしていくことにします。
川苔山山頂は西側の眺望が開けていて、正面に雲取山が見えます。雲取山から左側へ伸びているのが石尾根でしょう。左側の三角の山は鷹ノ巣山でしょうか。石尾根の奥に見えるのは飛竜山かな?
雲取山の右側の山が芋の木ドッケ。そのから手前に向かって伸びるのが長沢背稜でしょう。
樹木のあい間から蕎麦粒山も見ることができました。
ゆっくり景色を楽しんだり、写真撮影をしたりしたあとは、このあとの下りに備えて行動食と水分補給です。
山頂にはカナダから来られたという方がいて、少し話をしました。日本の山がとても美しいと言っていて、川苔山山頂の岩に腰かけて、30分以上も雲取山のほうの山並みを眺めていました。
カナダの方がよほどアルペン的な景観があるのでは? と思いましたが、奥多摩のような緑に覆われた急峻な山並みは少ないのでしょうね。山に登りなれてくると、これがあたりまえの風景に思えてきますが、日本の温暖湿潤な気候が形作った芸術品なんですよね。
樹林帯を黙々と下って鳩ノ巣駅へ下山
川乗橋方面への分岐まで戻り、鳩ノ巣駅へと下っていきます。
しばらく下ると分岐があります。まっすぐ登り返すと、本仁田山を経由して奥多摩駅へ下ることができますが、もう15時過ぎですので、今日はおとなしく鳩ノ巣駅へ下ります。
川苔山から鳩ノ巣駅への登山道は、基本的に眺望がほとんどない植林帯です。川乗橋からの道に比べると面白味はありませんが、急坂や危険箇所がほとんどないので、安心して下ることができます。
山の中腹あたりには、ごく一部ですが、植林帯ではなく自然林の道もありました。新緑が美しいですね。
ただ、もう日が傾いてきたのか、木々の上部にしか日が当たらず、登山道は暗くなってきました。
特筆すべきこともあまりないので、一気に登山口の熊野神社まで下ってしまいます(笑) 川乗橋から川苔山に登ったときの登山日記には、鳩ノ巣駅への下りの様子もちゃんと書いていますので、よろしければご覧ください。
16時40分頃、無事に鳩ノ巣駅に下山できました。17時00分の電車に乗りたかったので、最後の方はやや急ぎ足になりましたが、十分に間にあいました。
駅前のベンチで荷物を整理し、トイレを済ませてから、コカ・コーラで水分補給。山の上は涼しかったものの、下ってくるとやはり暑いですね。
その後は、おなじみの河辺温泉 梅の湯に立ち寄って、汗を流し、ビールで乾杯! 夕飯も食べて大満足で帰宅したのでした。
奥多摩屈指の眺望と快適な尾根歩きを楽しめる好ルート!
ということで、天目山稜の天目山~蕎麦粒山~川苔山と歩いてきました。天目山山頂からの眺望は素晴らしいですし、一杯水避難小屋手前のヨコスズ尾根の尾根道や、天目山稜の尾根道は開放的で快適に歩けます。
登山口から尾根に上がるまではずっと登りが続き、標高差も800~900メートルあるので、楽な山ではありませんが、奥多摩の主要な山に登ったら、挑戦してみると良いと思います。
今回歩いてきた天目山稜は、奥多摩の山深いところにあるせいか、ゴールデンウィークの晴天にもかかわらず、歩く人は多くありませんでした。アクセスが良くないという理由も聞きますが、奥多摩駅からバス1本で登山口に行けますので、他の山域とそれほど変わらないでしょう。
奥多摩三山や石尾根の山々に比べるとかなりマイナーな存在ではありますが、その分、静かな山歩きを楽しめます。
今回歩いたルートは、危険箇所はほとんどありません。ただ、かなりのロングコースになるので、時間配分には気を使いました。コースタイム通りに歩いていたら明るいうちに下山できませんので。もう少しコンパクトにまとめるなら、川乗橋バス停から鳥屋戸尾根で蕎麦粒山へ登り、天目山まで歩いて、東日原に下山するコースも良さそうです。
前述のとおり、天目山稜のほとんどの場所では携帯電波の電波が通じないか、通じたとしても3Gがやっとという状態でした。地図やエスケープルートの情報、バスや電車の時刻などは、オフラインでも見られるようにして持参したほうが良いでしょう。
今回の主な登山装備
- 長袖の化繊Tシャツ(ワークマン)
- 化繊の半袖シャツ(モンベル)
- 薄手のシェル(ワークマン)
- トレッキングパンツ(モンベル)
- 登山靴(モンベル アルパインクルーザー2300)
- ザック(グレゴリー ZULU30)
- レインウェア上下 ※利用せず
- 膝サポーター(ザムスト EK-3)
- 飲み物(ポカリスエット1000ml+ペットボトル500ml×2本)
- お昼ご飯(パン1個、おにぎり1個)、行動食
- ファーストエイドキット
- ヘッドライト
行動中は、ずっと長袖の化繊Tシャツ+半袖シャツの2枚でした。ヨコスズ尾根上部(一杯水避難小屋の手前)の尾根道や天目山稜の尾根道では、やや冷たい北風が強めに吹いていた時間帯もあって、少し寒いかなと感じることもありましたが、行動中にシェルを羽織るほどではありませんでした。
後半、気温が上がってくると寒く感じることはなくなり、蕎麦粒山や川苔山山頂での休憩時も、シェルは不要でした。ほぼ快晴ながら、北風が吹く爽やかな日でしたので、それほど暑く感じることもなく、快適な登山となりました。
電波がずっと通じないせいか、スマートフォンの電池の消耗がいつもに増して激しかったです。モバイルバッテリーを忘れないように持参しましょう!
以上、「【奥多摩】奥多摩随一の眺望と気持ちの良い稜線歩きを楽しむ天目背稜縦走(天目山~蕎麦粒山~川苔山)」でした。奥多摩のマイナーエリアながら、登山道はよく整備され、快適な尾根歩きを楽しめるルートでした。奥多摩にもこんな山があるのかと新たな発見があった登山でした。
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