2月下旬の平日、御岳山からロックガーデンを周回し、日の出山へ至るルートでハイキングを楽しんできました。ロックガーデンの滝や奇岩、日の出山山頂からの絶景の両方を楽しむことができる欲張りなコースです。
御岳山~ロックガーデン~日の出山 ルートと行程
御岳山は、言わずと知れた奥多摩を代表する山。山頂近くまでケーブルカーがあり、登山やハイキングだけでなく、観光でも気軽に訪れることができます。
そんな御岳山から、沢沿いに大小さまざまな岩が転がるロックガーデンを周回したあと、御岳山のお隣の山、日の出山まで至るコースを歩いてきました。
今回の登山コースと行程は以下の通りです。
- 08:20 青梅駅到着(バスに乗り換え)
- 08:40 ケーブル下バス停到着
- 08:50 御岳山 登山開始
- 09:33 御岳ビジターセンター到着(トイレ休憩)
- 10:00 長尾平
- 10:15 七代の滝
- 10:30 ロックガーデン入口
- 10:50 ロックガーデン内休憩所(ランチ)
- 11:30 綾広の滝
- 12:00 長尾平
- 12:10 神代ケヤキ(日の出山のルートへ)
- 12:45 日の出山山頂(小休止)
- 13:30 つるつる温泉へ下山開始
- 14:30 日の出山 登山道入口
- 14:50 つるつる温泉到着
今回は、登りが少ないと思い、御岳山をケーブルカーを使わずに登ってみました。それも含めて、約13km、累積標高は登り下りともに約1,300メートルでした。
思ったよりも距離がありましたが、御岳山に登るのにケーブルカーを利用すれば、初心者でも十分に歩けるコースです。
御嶽駅からの路線バスは貸し切り!
今回はひさびさに平日の登山。2月下旬ということで、御岳山への観光客が多い時期でもないので、きっと空いているだろうと考えながら、中央線・青梅線経由で御嶽駅へ。
御嶽駅で青梅線の電車を降り、駅前のバス乗り場へ。すでに御岳登山鉄道(ケーブルカー)の滝本駅への路線バスが止まっていました。
急いで乗車すると、車内には誰もいません。まだ発車まで数分あるからかな、と思っていたら、貸し切り状態のまま発車。ここまで空いているとは思いませんでした。
10分ちょっとで終点の「ケーブル下」バス停に到着。少し坂を登り、ケーブルカーの滝本駅を過ぎたところに、御岳山への登山口があります。左に写っている赤い橋はケーブルカーの線路です。
杉並木の御嶽神社参道を登る
御岳山山頂への道は、御嶽神社の正式な参道になっています。自動車も通れるアスファルトの道ですが、傾斜はかなり急。
参道の入口には「滝本の大スギ」と呼ばれる巨大な杉の木が立っていました。途中から太い幹が二つに分かれていて、根元の部分はものすごい太さです。
そして、参道の両側には杉並木が続きます。樹齢300~400年の杉の木が755本、参道に沿って並んでいるそうです。よく見ると、杉の木に番号が振られていました。山頂のほうから順に振られているようで、参道を登っていくと、だんだん数字が小さくなっていきます。最初は700番台から始まるわけですが……。
急勾配のつづら折りの参道をゆっくり登っていくと、「ろくろっ首」に到着。道がくねくねと曲がっているので、昔の人はこの場所を「ろくろっ首」と呼んでいたそうです。
参道のあちこちに通称のようなものが付けられていて、このような立て札に説明書きがあります。参道の登り坂はかなり急なので、この立て札が出てきたら、立ち止まって、休憩がてら説明を読むことをおすすめします。
大きな杉の木に圧倒されながら登っていきます。花粉症の筆者は、別の意味で杉を恐れているわけですが、2月下旬のこの時期、まだ花粉はあまり飛んでいないようでした。
少し傾斜が緩くなってくると、ケーブルカーの線路の下をくぐります。その手前で、ちょうどケーブルカーがやってきました。あれに乗れば、1時間ほどかけて登る参道を、6分ほどで登り切ってくれます(笑)
ケーブルカーの線路をくぐると、「だんごどう」に到着。参道のほぼ中間地点で、ベンチもあるので、少し休憩していきます。昔はここにお堂があり「団子堂」と呼ばれていたそうです。
休憩している間にも、軽自動車が参道を下っていきました。御岳山の山頂付近には集落があり、人が住んでいます。この参道は、御岳山の人々にとっては貴重な生活道路なのでしょうね。道幅が狭いので、見かけた車はみな軽自動車でした。
ここまでくると、かなり勾配が緩やかになります。このあたりだけ少し下り坂になっていて、盲目のあんま師が頂上だと勘違いして引き返してしまったことから、「あんまがえし」と呼ばれているそうです。
山頂の集落まで、最後のつづら折りの急坂を登っていきます。
滝本駅から約3km、45分ほどでようやく御岳ビジターセンターに到着しました。ここでトイレを借り、ロックガーデンへの行き方を教えてもらいました。
御岳山山頂付近の集落は、道が結構入り組んでいるので、地図を見ながら歩いたほうがいいでしょう。
御岳ビジターセンターから、ロックガーデン方面への入口がある長尾平まで、山頂の集落を歩いていきます。
途中には、立派なケヤキの木があります。「神代ケヤキ」と呼ばれる国指定の天然記念物です。幹の周囲は8メートル以上、樹齢は600年ともいわれています。
長尾平から七代の滝へ
御岳山の山頂は「武蔵御嶽神社」にあるのですが、結構階段を登らなくてはならないので今回はスルー。昨年12月に大岳山に登った時に参拝したので、よしとしましょう。
ここからは登山道になるため、長尾平の分岐のベンチで靴紐を結びなおし、トレッキングポールも準備して、いざ、七代の滝へ。かなり急な坂を下っていきます。
危険なところはないですが、先ほどまでのアスファルトの整備された道とは異なり、登山道になります。ぬかるんでいなければスニーカーでも大丈夫そうですが、トレッキングシューズか登山靴のほうがよさそうです。
急な下り坂をおりること15分ほどで、七代の滝に到着しました。あわせて8段の滝があるようですが、ここから見られるのは下から4段目です。
動画でもどうぞ。
下のほうを見ると、さらに滝が流れ下っていくのがわかります。豪快さはないけれど、冬の静寂に包まれたロックガーデンで、滝の流れ落ちる音だけが響く雰囲気も良かったです。
なお、滝周辺の岩の上は濡れていて、とても滑るので、注意が必要です。
冬のロックガーデンを歩く!
七代の滝から先は、先ほど下ってきた分を登り返します。このような急な階段が続きます。が、それほど長くはないので、ゆっくりと息を切らさないように登れば大丈夫です。
10分ほどでロックガーデンの入口に到着します。長尾平の分岐からは、七代の滝を通らずに、このロックガーデンの入口まで行けるルートもあります。登山装備がない場合には、七代の滝を通らないルートのほうが安心です。
ロックガーデン入口の看板から少し歩くと、沢沿いのルートに出ます。大小たくさんの岩がゴロゴロとしている沢沿いに遊歩道が整備されています。雨のあとは水量が増えるようですが、2月のこの時期は水量が少なく、スニーカーなどの軽装でも十分に歩けそうでした。
苔むした岩と沢の流れが特徴のロックガーデンですが、真冬のこの時期は枯れ葉が多く、苔も少なめでした。初夏の5月くらいにもう一度歩いてみたいですね。
途中、トイレやベンチがある休憩所でランチにします。冬の平日だからでしょうか、誰もいませんでした。
例によってカップヌードルのランチです。この日は、2月にしては比較的暖かかったのですが、休憩しているとさすがに冷えてきます。そんな時に熱々のカップヌードルは最高ですね。食後のインスタントコーヒーも満喫しました。
再び、ロックガーデンを歩いていきます。沢を上流にさかのぼるように歩いていくので、多少登りになっています。この写真のように、両側に岩がせり出して沢の幅が狭くなっているところもあります。
ロックガーデンの最も上流までたどり着くと、「綾広の滝」(あやひろのたき)があります。落差は約10メートル。ロックガーデン下流側の七代の滝と比べると、全体の高さは低いのですが、一段の落差が大きいので、迫力があります。
滝のすぐ近くまで行って見上げてみると、なかなか迫力があります。冬の雨量の少ない時期ですので、おそらく水量も少ないのでしょうけれど、見ごたえがあります。
動画でもどうぞ。
周囲は崖や岩に囲まれて、幽玄な空気が流れています。武蔵御嶽神社のみそぎにも使われるとのことで、修行の場でもあるようです。
綾広の滝からは、ロックガーデンのコースで最も急な登り坂。綾広の滝の上に回り込むようにして登っていくのです。そして、登り切ったところには、大岳山への分岐があって、休憩所があります。ロックガーデンはここで終わりです。
ここからは、12月に大岳山に登ったときとは逆のルートで長尾平の分岐まで戻ります。この写真の休憩所の奥のほうへ進むと、大岳山への急な登りになります。
長尾平分岐までは、ほぼ平坦な歩きやすい道が続きます。途中、奥之院への分岐の近くには、「天狗の腰掛け」と呼ばれる杉の木があります。腰掛けのように幹が曲がっていますね。その右側の鳥居を進むと奥之院を経て、鍋割山方面へと続いています。
ということで、ちょうどお昼の12時ごろに、長尾平分岐にあるお茶屋さんまで戻ってきました。
冬のロックガーデンは、緑や苔が少なく、ちょっと物足りない感じでしたが、七代の滝と綾広の滝、二つの滝を眺めることができたのは良かったです。
御岳山のお隣の山、日の出山へ
次は、御岳山のお隣の山、日の出山を目指します。日の出山への登山道は神代ケヤキの近くから分かれているので、そちらのほうへ少し戻ります。
神代ケヤキの前に黄色いロウバイの花が咲いていました。ロックガーデンではあまり感じませんでしたが、御岳山にも春が近づいているようです。
御岳山から日の出山へは、最初は平坦かやや下りの歩きやすい道が続きます。樹林帯に入っても、このようにとても歩きやすい登山道です。
神代ケヤキから20分弱で鳥居があるところまでやってきました。この鳥居、反対側には「武蔵御嶽神社」と書かれています。距離的には、神代ケヤキと日の出山山頂の中間点ですが、ここから先は登りに転じます。
先ほどの鳥居から日の出山の山頂までは1km弱。この階段のように、ところどころに急な登りがありますが、距離は短いので、ゆっくり登っていきます。
階段を登りきると、小さな広場のようなところにベンチとトイレがあります。「東雲山荘」という山荘もありました。日の出町のWebサイトの情報によると、4月下旬~12月中旬には泊まることもできるそうです。
神代ケヤキから45分ほどで日の出山の山頂に到着! 山頂はちょっとした広場になっていて、東屋やベンチがあります。
ちょうど山頂に誰もいなかったので、しばしこの絶景を独り占め! 日の出山の山頂からは360度の眺望を楽しむことができますが、一番開けているのは東側の都心方面です。
関東平野を一望! ちょっと霞んでいますが、この眺望は素晴らしいです。日の出山山頂の標高は902メートルとそれほど高くはないのですが、関東平野の方向に高い山がないので、眺望が開けています。
中央のちょっと光っている白い丸い建物は所沢の西武ドーム(メットライフドーム)。ドームの周りには、よく見ると狭山湖や多摩湖が見えます。ドームの右側、町並みが細長く途切れているところが横田基地だと思います。
関東平野とは反対側の西側を見ると、御岳山山頂付近の集落が見えます。左端には、武蔵御嶽神社も見えました。この写真には写っていませんが、さらに左側には大岳山など、奥多摩の山々を見渡すことができます。
日の出山を下山、つるつる温泉へ
日の出山の山頂でコーヒータイム。天気はすっかり回復して、青空の下、この絶景を眺めながらのコーヒーは最高ですね。
結局、コーヒーを飲んだり景色を眺めたりしながら、45分ほども山頂に滞在していました。この絶景を眺めていると帰りたくなくなりますね……
そうも言ってはいられないので、つるつる温泉(日の出山登山口)方面へ下山を開始します。山頂直下は整備された階段が続きます。
山頂付近はあちこちに分岐がありますが、標識がしっかりしているので、迷うことはないでしょう。ひたすら「つるつる温泉」のほうへ下りていきます。
次第に木々に覆われた登山道になりますが、それほど急なところや危険なところはありません。途中からは眺望もないので、どんどん降りていきます。
日の出山の山頂から1時間ほどで、日の出山の登山口に到着。ここから先は車道になるため、ここでトレッキングポールをしまいました。つるつる温泉まではあと1.2km、20分ほどです。
沢に沿って道路を歩いていきます。ここへきて、花粉症の症状が少し出てきました。山の中にいるときはほとんどなかったのですが。
しばらく歩くとバス通りに出ます。ここを左に曲がります。
ようやく温泉施設「つるつる温泉」に到着しました。
「つるつる温泉」で汗を流して乾杯!
「生涯青春の湯 つるつる温泉」は、日の出町にある日帰り温泉施設です。温泉だけでなく、休憩所やレストランも充実しています。日の出山登山口から近いので、週末になると下山後のハイカーや登山客でにぎわいます。
入館料は860円ですが、この日は金曜日限定の入館料+食事で1,500円のプランを購入。食事はいくつかの定食のなかから選ぶことができます。
ロビーも広々としています。受け付けの横に荷物置場がありました。ロッカーが小さく、ザックは入らないとのことだったので、貴重品と入浴に必要なものだけを取り出して、2階の大浴場へ。
平日ということもあり、お風呂はかなり空いていました。
「つるつる温泉」の名前のとおり、アルカリ性のお湯に入ると肌がつるつるとします。のんびりとお湯につかって、登山の疲れを洗い流しました。
クラフトビール「多摩の恵 明治復刻地ビール」と、肴になりそうな「モツ煮定食」を注文。
レストランは、テーブルと椅子が並ぶ「パノラマ食堂」と108畳の大広間がありますが、足を伸ばして休みたかったので、大広間へ。先客はなく、108畳を独り占め! とはいえ、端っこの方で小さくなっていましたが(笑)
「多摩の恵 明治復刻地ビール」は、福生市にある石川酒造がつくるクラフトビールです。明治期に生産していたビールを、1998年から復活させたのだそうです。
香り豊かなエール系のビールを、モツ煮とともにおいしくいただきました。
つるつる温泉から武蔵五日市駅へは路線バスで。「青春号」とかかれた、珍しいトレーラーバスです。機関車を模した「青春号」は、運転席の部分が独立していて、客室部分をけん引していきます。
客室部分はこんな感じで、中央部分に出入口があります。
通常の路線バスは運転手が運賃を徴収しますが、トレーラーバスではそれができないため、客室の出入口の横に乗務員に乗っています。
車内はレトロ風のデザインになっていますが、SuicaやPASMOなどの交通系ICカードを利用できます。
20分ほどで終点の武蔵五日市駅に到着。当たり前ですが、ちゃんと車道を走ります。
武蔵五日市駅からは、五日市線、青梅線などを乗り継いで帰宅しました。
登山初心者におすすめのコース! 「つるつる温泉」もおすすめ!
御岳山からロックガーデンを一周して、その後、日の出山へ。山頂で休憩してつるつる温泉方面へ下山するというコースでした。
今回はケーブルカーを使わないで御岳山を歩いて登ったため、約13km、累積標高1260メートルとなりましたが、ケーブルカーを利用すればだいぶ楽になるはずです。
ロックガーデンは、七代の滝前後くらいにしか急坂はありませんし、御岳山~日の出山~日の出山登山口・つるつる温泉のルートも、とても歩きやすく整備された登山道です。
下山後につるつる温泉で疲れを流し、食事もとれますので、このルートはおすすめです。
ただし、天気の良い週末はつるつる温泉は混雑するようなので、可能であれば平日が望ましいですね。
今回の登山装備
- ヒートテック(ユニクロ)
- 長袖Tシャツ(モンベル)
- フリース(モンベル)
- トレッキングパンツ(モンベル)
- ウルトラライトダウン(ユニクロ)
- タイツ(ヒートテック)
- スキー用靴下
- トレッキングシューズ(AKU)
- ザック(グレゴリー ZULU30)
- レインウェア上下
- チェーンスパイク(モンベル)
- トレッキングポール(シナノ)
- アルパイン サーモボトル 0.75L(モンベル)
いつもの冬の低山用装備です。2月下旬という寒い時期ですが、天気が良く風も穏やかだったので、全く寒くはありませんでした。
昼食時や休憩時は、ユニクロのウルトラライトダウンが大活躍。体を冷やさないようにします。歩くときはザックに丸めて入れておけますし、自宅から登山口への移動中に着ることもできるので、なかなか便利なアイテムです。
以上、「【奥多摩】冬の御岳山~ロックガーデン~日の出山 日帰り登山! 滝と奇岩、山頂からの絶景を楽しむハイキング!」でした。ロックガーデンは初夏などの季節のほうがよさそうですが、日の出山山頂からの眺望は冬のほうがいいでしょうね。何度でも訪れたくなる山でした。
関連記事
同じ奥多摩の初心者向けハイキングコース「高水三山」の記事です。高水三山は、御岳山とは、多摩川や青梅線を挟んで反対の北側にあります。最高峰の岩茸石山からの眺望が素晴らしいです。
コメント