奥多摩で人気の山の一つ、川苔山に登ってきました。川に沿った登山道は渓谷美が美しく、その奥にある百尋ノ滝は迫力満点! 2月ということもあって半分ほど凍っていました。そして、山頂からの奥多摩の山々の眺めも素晴らしいです。
川苔山(川乗山)とは?
川苔山(「川乗山」とも表記するようです)は、奥多摩にある標高1,363メートルの山です。
奥多摩でも人気の山の一つですが、その理由の一つが、登山道の途中にある「百尋ノ滝」(ひゃくひろのたき)です。落差40メートルと、東京都内でも有数の素晴らしい滝です。川苔山山頂へは登らず、百尋ノ滝だけを見に行くトレッキングでも十分満足できそうなレベルです。
そして、登山口から百尋ノ滝へと至る登山道では、日原川の支流が造る渓谷美が美しいのです。木の橋で川のすぐ上を渡ったり、場所によっては、かなり高いところから渓谷を一望できたり。とにかく、歩いていて楽しい山でした。
川苔山は、奥多摩駅のちょうど北側に位置します。奥多摩駅から直接登るルートもあるのですが、今回は百尋ノ滝を経由する「川乗橋バス停」からスタートしました。奥多摩駅前から路線バスで15分ほどです。
その後、百尋ノ滝を経由して、川苔山山頂へ、下山は、鳩ノ巣駅へ下りるというコース。川苔山登山の最も一般的なコースです。
今回の行程は以下のとおりです。
- 08:35 川乗橋バス停 出発
- 09:20 川苔山登山口(細倉橋)
- 10:05 百尋ノ滝 到着
- 10:20 百尋ノ滝 出発
- 11:45 川苔山山頂 到着
- 12:45 川苔山山頂 出発
- 15:05 鳩ノ巣駅 到着
川苔山登山口への公共交通手段でのアクセス
青梅線で奥多摩へアクセスする場合、川苔山への登山コースは主に以下の3つです。
- 川乗橋バス停~細倉橋(登山口)~川苔山山頂
- 奥多摩駅~本仁田山~川苔山山頂
- 鳩ノ巣駅~川苔山山頂
川乗橋バス停へは、JR青梅線の終点、奥多摩駅から、西東京バス「日原鍾乳洞・東日原行き」に乗車して、約15分です。
バスの時刻は、以下の西東京バス(京王バス)のWebサイトをご確認ください。
この路線バスは、1時間に1本程度しかありませんので、あらかじめバスの時刻を確認しておきましょう。
おすすめは、百尋ノ滝を経由する川乗橋バス停からのルートを登りに使い、鳩ノ巣駅へ下山するコースです。百尋ノ滝と渓谷美を満喫できるコースです。下山は、本仁田山を経由して奥多摩駅へ下るルートを選択しても良いですが、鳩ノ巣駅へ下るルートのほうがアップダウンが少なく、歩きやすいようです。
川乗橋バス停から川苔山へ出発!
自宅最寄り駅を午前5時台の電車で出発、奥多摩駅には午前8時過ぎに到着しました。
奥多摩駅前を8時10分に出発するバスに乗り、15分弱で川乗橋バス停に到着。マイクロバスのような小さなバスでした。2019年の台風19号による道路崩落と、その復旧工事の影響で道路幅員制限があるため、小型のバスでの運行となっているということです。
この日は平日だったので、小型のバスでも余裕で乗車できるほどの乗客数。川乗橋バス停では私も含めて4名ほどが下車。
ここで簡単に準備をして午前8時35分頃に出発! ここは登山口ではなく、しばらくアスファルトの林道が続いています。本格的な登山道に入る前のウォーミングアップにぴったりですね。
日原川の支流沿いに道が続いています。アスファルトの道ですが、一般の車は入れないようで、沢の流れる音だけが聞こえてきます。
緩やかな登りの道ですが、道の横に見える沢の眺めがなかなか素晴らしいです。1時間近く道路を歩くことになるのですが、ところどころで見られる渓谷を眺めながら歩いていればあっという間です。
9時20分、川苔山の登山口がある細倉橋に到着です。アスファルトの道路はさらに先まで伸びていますが、川苔山へは、この登山口から登っていきます。
ここで登山靴の紐を締め直し、トレッキングポールを出して、登山の準備をします。
写真にはバイオトイレが写っていますが、鍵がかかっていて使えなくなっていました。事前情報で知っていたので問題はありませんでしたが、この先も下山するまでトイレはないので、気を付けたほうがいいですね。
渓谷が美しい沢沿いの登山道を歩く!
登山口を入ると、すぐに沢沿いの道になります。登山道は、歩きにくくはないですが、ちょっと狭いのと、沢側が崖のように切れ落ちているところもあるので、滑落しないように注意が必要です。
沢沿いを淡々と歩くだけでなく、木の橋で何度も沢を渡ります。沢をはるか上から見下ろすようなところを歩いたり、沢を流れる水に触れられそうなところを歩いたりと、変化に富んだ登山道で、なかなか楽しいです。
岩場を流れる水が凍って、小さなつららがたくさんできていました。ここ数日、夜はかなり冷え込んだようです。この日も、登山口では氷点下でしたが、歩き始めたらそれほど寒くなくなりました。
ところどころ、かなり狭くなっていたり、岩が露出したところは、部分的に凍っていたりして、滑らないように慎重に歩きます。かなり高いところに架かっている橋もあるので、落ちないように気を付けて歩きます。
いったん、沢のところまで下ってきて、岩伝いに沢を渡ります。
そのまま沢沿いに歩いて百尋ノ滝があるのかな、と思ったら、再び、沢の横を登っていく道に。あれ、滝への道を見逃したかな、と思っていると……
滝の流れ落ちる音が聞こえてきて、このような分岐に。この分岐の奥から歩いてきましたが、この手前側に階段を下っていくと、百尋ノ滝があります。
半分凍った迫力のある「百尋ノ滝」を堪能!
10時05分、「百尋ノ滝」に到着しました。冷え込んでいたせいでしょうか、半分くらいは凍っています。水の流れる量が少ないのかもしれませんが、それでも落差40メートルの滝を間近からみると、かなり迫力があります。
動画でもどうぞ。
「百尋ノ滝」の近くで15分ほど眺めていましたが、その間に、何度か氷が溶けて崩落してきました。夜間は冷え込むとはいえ、日中になると気温がそれなりに上がりますので、ずっと凍っているわけではないようです。
ちなみに、「百尋ノ滝」の滝壺のすぐ近くまで行けますが、岩伝いに沢を渡っていく必要があります。一部、岩が凍結しているところもあったので、要注意です。
滝壺も、水が流れ落ちているところ以外は、氷が張っていました。薄い氷なので、すぐに溶けてしまいそうです。
冬でも、暖かい日には凍っている様子を見ることができないようなので、半分とはいえ凍った「百尋ノ滝」を見ることができてラッキーでした。その分、寒いわけですが……
百尋ノ滝を後にして川苔山山頂へ本格的な登りへ
百尋ノ滝から階段を登って分岐まで戻り、今後は山頂へ向かいます。
登山口から百尋ノ滝までは、多少のアップダウンがありつつも、全般的には緩やかな登りといった感じでしたが、百尋ノ滝から山頂までは本格的な登りになります。
百尋ノ滝分岐の階段をあがった直後から、沢の横をどんどん登っていきます。鎖がありますが、使わなくても問題ありません。ただ、右側は崖なので、落ちないように注意です。
その後は、急登が何か所かあります。いずれも、長くは続かないので、それほどキツくは感じないのですが、何度も繰り返されると徐々に体力が奪われていきますね……
急登の登り終えると、斜面につけられた登山道へ。樹林帯の中を通る快適な道ですね。
午前11時ちょっと前、分岐に到着。どちらからでも川苔山山頂へ行けます。ただ……
足毛岩の肩を経由して、西側から川苔山へと至る登山道は通行止めとなっています。自動的に、川苔山の北斜面を登る道を選択することになります。
残雪の残る登山道を登って川苔山山頂へ
分岐から少し歩くと、再び沢沿いの道へ。百尋ノ滝までの沢のさらに支流のようです。
少し登っていくと、次第に登山道に雪が増えてきました。雪、というより、かちかちに凍った氷といったほうが近いでしょうか。
かなり滑るので、ここでチェーンスパイクを装着しました。
谷になっているところは日当たりが悪いのか、かなり雪が残っていました。積雪が多いわけではないですが、かなり凍って固くなっているので、ものすごく滑ります。完全にアイスバーン状態。チェーンスパイクが大活躍です。
雪で登山道が覆われているためか、ちょっと道がわかりにくくなっています。木に結びつけられたリボンを頼りに、登山道から外れないように登っていきます。
谷筋から、山頂への最後の登りに入ると、再び傾斜が急になってきます。登山道も狭くなって、その狭いところに凍った雪がかぶさっているという状況です。ここは、何らかの滑り止めがないと厳しかったですね。下山してくる人とすれ違いましたが、滑り止めをつけていなかったようで、恐る恐る下っていきました。
急登を登り終えると、山頂への分岐に。ここまでくると雪はあまりありません。広い尾根道を山頂へ登っていきます。
最後の登り! ここを登り切れば山頂です!
冬の快晴の川苔山山頂! 奥多摩の名峰を一望!
11時50分、川苔山の山頂に到着! 雲一つない快晴で、奥多摩の山々を見渡すことができます。川苔山は山頂までの登山道で眺望が効くところがほとんどないため、その分、山頂からの眺めは格別です。
川苔山の山頂は、西側の眺望が良く、奥多摩の名峰を一望できます。真ん中の山が東京都最高峰の雲取山。
少し引いてみると、雲取山の左側に鷹ノ巣山も見えています。写真左端、奥多摩の山々の奥にちらっと見えているのは、大菩薩嶺ですね。
南西側は木が多くてすっきりとは見えないのですが、富士山も見えます。木に葉っぱがつく季節になると、見えなくなってしまうのかもしれません。
ということで、おなじみの山頂カップラーメン! この日はカップヌードル「SiO」。別添のオリーブオイルが良い味を出してくれます。
山頂到着時には2名ほど先客がいましたが、しばらく景色を眺めている間に下山されていきましたので、少しの間だけ山頂独り占めです。
山頂は風もなく、日当たりが良くて、全く寒くはありませんでした。山頂コーヒーも淹れて、まったりと過ごします。いや、これは最高ですね!
川苔山山頂の様子です。山頂は広場になっていて、ベンチが3つほどあります。それほど広くはないですが、この日は平日だったためか、人が少なかったです。
あまりにも居心地がよく、結局、1時間くらい山頂でのんびりしてしまいました。あまり遅くなってもいけないので、そろそろ下山しましょう。
樹林帯の緩やかな登山道を鳩ノ巣駅方面へ下山
山頂から、先ほど登ってきた分岐まで下ります。その少し先に、鳩ノ巣駅へと下る登山道があります。
登山道はそれほど急ではないのですが、大量の落ち葉で道が見えません。階段すら隠れてしまっているので、一歩一歩、足元を探りながら下っていきます。
登りに使った川乗橋バス停からの沢沿いの登山道とは、全く様子が違います。同じ山なのに、登山ルートでここまで様相が異なるとは、面白いものですね。
落ち葉の道を何とか下ると、しばらくは快適な道になります。鳩ノ巣駅への登山道は、全般的に緩やかで歩きやすい道が多いのですが、ひたすら長いです(笑)
鋸尾根、本仁田山を経由して、奥多摩駅へと下るルートとの分岐です。奥多摩駅へと下るルートは、アップダウンがかなりあるそうなので、中級者向けです。ここはおとなしく鳩ノ巣駅への道(写真の左側)を進みます。
前述のように、基本的に難しくないコースですが、この沢っぽいところだけは、登山道がちょっとわかりづらくなっていました。水が流れていないので、沢なのか道なのかわからないのですよね。木にリボンが結んであるので、それを頼りに下っていきます。
下山開始から45分ほど。樹林帯の歩きやすい道に出ました。このあとは、ひたすらこのような道が続いています。登りに使ったルートが沢や滝などの変化が多かったのに対して、鳩ノ巣駅方面への登山道はちょっと単調です。こちらの登山道から川苔山に登ると、全く違った印象を持ちそうです。
途中、少しだけ北西側の眺望が開けているところがありました。山がいくつか見えますが、何という山かはわかりません(笑) 川苔山は、この写真のずっと左奥のほうです。
急坂を下って鳩ノ巣駅に到着
ひたすら樹林帯の道を歩いていくと、砂利の道路に出ました。この階段の上から下りてきて、少し砂利道を歩きます。
車が走れる幅の道路ですが、この道を歩くのは少しだけ。
少し登ると、再び登山道への入口がありました。ちょっとわかりにくいですが、要所には道標があるので、それを確認しながら歩いていきます。
先ほどまでの緩やかな道とは異なり、明確な下りとなります。それほど急ではないにしても、岩や石がゴロゴロした道なので、滑らないように注意が必要です。
とはいえ、急な下りは長くは続かず、20分ほどで分岐に到着。真っすぐでも右でも、どちらでも鳩ノ巣駅に着くようですが、ここは直進します。
分岐から10分もしないうちに、登山口まで下山しました。ここから鳩ノ巣駅までは、急な道路を下っていきます。登山道より急なのではないかと思うくらいの道路ですね。
途中、公園のようなところに、「鳩ノ巣登山口トイレ」があります。ここに立ち寄ってトイレを済ませましたが、鳩ノ巣駅まで下っても5分もかかりませんでした(笑) 鳩ノ巣駅にある公衆トイレのほうが広くて良いでしょう。
青梅線の踏切を渡ります。踏切の奥には鳩ノ巣駅が見えていますね。
鳩ノ巣駅の公衆トイレ。立派できれいなトイレです。こちらから登る場合には、ここでトイレを済ませておくのがよいと思います。
15時ちょっと過ぎ、鳩ノ巣駅に到着! 下山開始から2時間ちょっとかかりました。
河辺温泉「梅の湯」で温泉&ビール!
電車まで少し時間があったので、鳩ノ巣駅横にある奥多摩町障害者地域活動支援センター「かもんみーる」でクッキーを買って、いただきました。奥多摩町内に暮らす障害のある方々がつくる手作りパンとクッキーが有名だそうです。オートミールのクッキー、おいしくいただきました。
青梅行きの電車がやってきましたので、これに乗ります。
青梅駅で乗り換えて、2つめの河辺(かべ)駅で下車。駅前の「河辺タウンビル」に入っている日帰り温泉施設「河辺温泉 梅の湯」に立ち寄ります。
「新応援キャンペーン」という、入浴料+3種類から選べるお食事で1,380円というセットがあったので、それを購入。温泉に入って汗を流したあと(というか、温まったあと)、食堂へ。
生ビールで乾杯! なんと、夜7時までは半額の270円! そして、お食事は、スタミナチキン丼(冷奴、味噌汁付き)をチョイス。おなかいっぱいになったのでした。
渓谷美と百尋ノ滝、山頂からの眺望が魅力の川苔山
ということで、奥多摩の川苔山に登ってきました。
川乗橋バス停から登ると、山頂までの標高差は900メートル以上。それなりに登り応えのある山なのですが、登山道がバラエティに富んでいるので、あまりきつさを感じませんでした。
前半は沢沿いの渓谷美、ちょうど中間点あたりに百尋ノ滝。後半戦は急登が何か所かありますが、ひたすら長い急登がないので、比較的登りやすかったのだと思います。それに、今回は、残雪があったためにチェーンスパイクを装着しての登山になりましたが、これも変化になりました。
百尋ノ滝は、必見ですね! この滝を見に行くトレッキングでも十分に満足できそうです。
技術的には初心者でも問題なさそうですが、前半の沢沿いの道は、幅が狭かったり、谷側に切れ落ちているようなところもあるので、注意が必要です。体力的には、低山をいくつか登ってからのほうがいいかな、という感じです。
奥多摩には、御岳山や大岳山など、魅力的な山が多いですが、この川苔山も負けていませんでした。
今回の登山装備
- メリノウールのインナー(モンベル)
- 長袖シャツ(ワークマン/Field Core)
- クリマプラス100 ジャケット(モンベル)
- トレッキングパンツ(モンベル)
- メリノウールのタイツ(ワークマン)
- 登山用靴下(FITS)
- 登山靴(モンベル アルパインクルーザー2300)
- ザック(グレゴリー ZULU30)
- レインウェア上下
- ウルトラライトダウンコンパクト(ユニクロ)
- 膝サポーター(ザムスト EK-3)
- トレッキングポール(シナノ)
- チェーンスパイク(モンベル)
- スパッツ(モンベル)※使用せず
- お湯を入れたサーモボトル 750ml(モンベル)
- 飲み物(ペットボトル600ml×1本)
朝はかなり冷え込んでいて、登山を開始するまではかなり寒かったのですが、歩き始めたら寒くなくなりました。メリノウールのインナー、化繊長袖シャツ、フリースの3枚で十分でした。休憩中にユニクロのダウンを羽織ったくらいでしょうか。
記事中でも触れましたが、途中、残雪がカチコチに凍ったアイスバーン状のところがあったので、久々にチェーンスパイクを使いました。やはり、安定感が全く違いますね。
以上、「【奥多摩】凍った百尋ノ滝と渓谷美の川苔山へ! 山頂からの眺めも抜群!」でした。川苔山に登るのでしたら、ぜひ百尋ノ滝を経由する川乗橋バス停からのルートをおすすめします。渓谷沿いの登山道も歩いていて楽しいです。
関連記事
奥多摩周辺の山の登山記です。御岳山~日の出山や、高水三山、御前山の記録があります。
コメント
[…] 【奥多摩】凍った百尋ノ滝と渓谷美の川苔山へ! 山頂からの眺めも抜群!奥多摩で人気の山の一つ、川苔山に登ってきました。川に沿った登山道は渓谷美が美しく、その奥にある百尋ノ […]