2020年9月下旬の四連休に、奥多摩三山の一つ「御前山」に登ってきました。奥多摩湖からの急登、大ブナ尾根を登り、下山は鋸尾根を経て奥多摩湖へ。奥多摩湖からの登りは標高差900メートル以上の登りごたえのあるコースでした。
奥多摩三山の一つ「御前山」へ
2020年9月の四連休。関東地方は天気がイマイチでしたが、月曜日だけは晴れ間がのぞくとの予報。それなら近場の山へ、と急遽思い立ち、まだ登ったことのない奥多摩の御前山へ行くことにしました。
御前山は奥多摩湖の南東側に位置する標高1,405メートルの山。大岳山、三頭山とともに「奥多摩三山」と呼ばれていますが、その中でも最も標高が高いのが御前山です。
御前山といえば「花の百名山」にも選ばれています。早春のカタクリが有名で、登山客で賑わうそうです。
今回の登山コースは、御前山では一般的な奥多摩湖バス停から大ブナ尾根と呼ばれる急登を登るコースにしました。下山は、奥多摩湖へピストンで降りてもよいのですが、鋸尾根を経由して奥多摩湖まで歩くことにしました。全長13.5km、下りがかなり長いコースです。
おおまかな行程は以下のとおりです。
- 09:10 御前山登山口
- 10:07 サス沢山
- 11:27 惣岳山
- 11:48 御前山 到着
- 12:45 御前山 出発
- 14:25 鋸山分岐
- 16:05 愛宕山(愛宕神社)
- 16:40 奥多摩駅
登りは急登の連続、下りはひたすら長い樹林帯を歩くコースです。
電車とバスを乗り継いで観光客で賑わう奥多摩湖へ
奥多摩への登山にはおなじみの「ホリデー快速おくたま1号」に乗車します。新宿発車時点で座席はほぼ埋まり、立ち客もちらほら、という混雑具合。例年に比べればまだ乗客は少ないのかもしれませんが、一時期の自粛モードからはだいぶ回復してきた印象です。
終点の奥多摩には8時21分に到着。8時35分のバスがあるのですが、この日は観光客が多く、満員になったバスからどんどん発車していく状態になっていました。
ちょうど、立ち客多数のバスが出るところでしたので、乗せてもらいました。奥多摩湖までは15分ほどなので、座れなくても問題ありません。
8時40分頃、奥多摩湖バス停に到着しました。大半の乗客とともに下車します。
どんよりとした曇り空。今日は晴れ間は期待できない予報ですが、雨が降らなければ良しとします。
奥多摩湖の湖畔にあるベンチにザックを置いて、登山の準備をします。その間にも、続々とバスがやってきて、奥多摩湖に到着したときには閑散としていた湖畔が、ものの15分ほどの間に観光客で賑わってきました。
登山口はダムの向こう側。堤体の上を歩いて渡ります。奥多摩湖の向こうには、最初のピークとなるサス沢山と、その向こうに今回の目的地、御前山が見えています。
小河内ダムと奥多摩湖を眺めながら御前山登山口へ
久々に奥多摩湖にやってきたので、登山口まで、小河内ダムと奥多摩湖を眺めながらのんびり行くことにしました。
奥多摩湖バス停のすぐ横にある入口から、ダムの堤体の上を歩いていきます。
小河内ダムは多摩川の上流域に造られたダムで、堰き止めててきた湖が奥多摩湖です。東京都の水がめの役割を果たしていますが、都民には観光地としても有名ですね。
堤体の真上から見下ろしてみます。堤高148メートルのダムから多摩川へ放流されています。真下に見える建物は、多摩川第1発電所。発電に使われたあとの水は、多摩川の下流にある取水堰で取水されて、浄水場へ。最終的には水道水となります。
ダムを渡り終えると広場があり、左側の階段を登ると登山口がありました。
本格的な登山道に入る手前に、「展望広場」なる場所がありました。ここまでは観光客でも入れそうなところで、少し高いところから奥多摩湖を一望できます。先ほど渡ってきた小河内ダムの堤体も全体を見渡すことができます。
ということで、いよいよ本格的に登山を開始します。
急登を登り奥多摩湖の展望が素晴らしいサス沢山へ
本格的な登山道に入ると、いきなり木の根っこが張り出した急登が始まります。大小さまざまな大きさの石や岩が登山道に転がっていて、滑らないように慎重に、ゆっくりと登っていきます。
とはいえ、ずっと急登が続くわけではなく、ところどころでこのように歩きやすい道になります。ほっと一息つきながら、次の急登に備えます。まあ、急登の割合が高いことは間違いないのですが。
登山口から急登を登ること約1時間、少し開けた場所に出ると、そこが「サス沢山」です。標高は940メートル。登山口の標高が540メートルくらいなので、1時間で約400メートル登ってきたことになります。
サス沢山にはベンチや展望台があるので、休憩にぴったり。ということで、ここで10分ほど休憩することにしました。
サス沢山の展望台からは、奥多摩湖とその周囲の山々を一望できます。この日は曇り空でしたが、この高さには雲がなく、奥多摩湖を見渡すことができました。晴れていれば、遠く、大菩薩嶺までも見えるそうですが、この日は残念ながら雲の中でした。
急登再び! さらに400メートル標高を上げて惣岳山へ
さて、まだ先は長いので出発しましょう。
サス沢山からしばらくは、平坦な歩きやすい樹林帯の道が続きます。途中、登山道が少しわかりにくい場所がありました。
登山道の途中に栗がたくさん落ちています。中の実だけきれいに取り出されたものも。味覚の秋、動物が食べているのでしょうか? 奥多摩で動物といえば、熊を思いつくのですが……
そんなことを考えながら歩いていると、再び急登が現れました。危険なところはないですが、急登には変わりないので、息を切らさないようにゆっくり登っていきます。
急な斜面をトラバースするようなところもありました。写真ではわかりにくいのですが、かなり急な登りになっているんですよね。ザレているところもあるので、斜面にずり落ちないように気をつけながら歩きます。
幅の広い斜面をジグザグに登っていきます。
ここを登っていると、風もないのに木の枝がガサガサと揺れる音が……。と振り返ると、猿の群れが、木の上で、枝をゆすっているようです。
そう、登山道にたくさん落ちていた栗は、この猿たちが落としたものだったのです。かなり大きな猿で、襲われると怖いので、カメラを向けるのはやめておきました。
最後の急登を登りきると、惣岳山のピークです。標高1,348メートル。サス沢山から約1時間で、標高を400メートルほど上げたことになります。
惣岳山の山頂は広場になっていて、ベンチがいくつかありましたので、休憩するのによさそう。ですが、ここから10分ちょっとで御前山の山頂に着くので、ここで休んでいる人はいませんでした。軽く水分補給だけして、先を急ぎましょう。
ガスで眺望のない御前山山頂
惣岳山から先は、整備された登山道になります。いったん下り、すぐに登り返すと、御前山の山頂に到着します。
御前山の山頂。標高は1,405メートルですので、登山口から900メートルほど登ってきたことになります。
山頂は広場になっていて、ベンチがいくつか置いてあります。まだ空いているベンチがあったので、そこに陣取ります。
御前山の山頂は、あまり眺望が開けていないのですが、唯一開けている北側はガスで真っ白。この曇り空では仕方がないですね。
山頂ランチは、尾西の白飯に、アマノフーズの「畑のカレー」。お湯を沸かして尾西の白飯に投入。10分ほどしたら、再びお湯を沸かして、今後はアマノフーズのカレーを溶きます。白飯が完成したらカレーを投入して、フリーズドライのカレーが完成。フリーズドライとは思えないほど美味しかったです。最近のフリーズドライはすごい!
御前山避難小屋を経由して大ダワ峠へ
御前山の山頂で1時間ほど休憩したので、下山開始です。下山は、鋸尾根を経由して奥多摩駅まで歩くことにします。これが結構長いのです……。
栃寄大滝方面への分岐を少し入って2分くらいところに、御前山避難小屋があります。トイレもここにありますので、ありがたく使わせていただきました。
分岐まで戻ります。「大ダワ」とある方へ向かいます。奥多摩の山は登山者が多いせいか、こういった案内がしっかりしているので助かります。
すぐに次の分岐があります。右のほうへ行くと湯久保尾根、左の方へ行くと大ダワ経由で鋸尾根へ。鋸尾根経由で奥多摩駅まで歩くので、左へ進みます。
霧の中を歩いているようで、神秘的、というより、ちょっと怖い感じでした。このコースはマイナーなのか、奥多摩湖から御前山へ登山道にたくさんいた登山者を、全く見かけなくなりました。熊に遇わないことを祈りながら進みます……。
13時29分、クロノ尾山というピークに到着。眺望はなく(あったとしてもこのガスでは何も見えないですが…)、ベンチが一つあるだけでした。ちょっと休憩して先を急ぎます。
御前山から大ダワ峠までは、ひたすら樹林帯の中を歩いていくことになります。ところどころ、岩や砂利が多くて滑りやすいところもありますが、危険なところはなく、歩きやすい道です。ただ、ひたすら樹林帯で、眺望が全くないので、長く感じます。
御前山山頂から1時間半歩いて、14時15分頃、大ダワ峠に到着。標高994メートルで、車道も通っています。トイレがありました。
御前山方面から歩いてくると、上の写真のトイレの裏側に見えるところから下りてきます。
車道を渡った反対側に登山道が続いていますので、ここを入っていきます。「クマ出没注意」ですね……。
トイレ休憩を経て、再び歩き始めます。
鋸山には寄らずに愛宕山方面へ
大ダワ峠から10分ほど登ると、鋸尾根の登山道にぶつかります。右へ行くと鋸山ですが、下山する奥多摩駅方面とは逆方向なので、ここはスルーします。鋸山は標高1,100メートルくらいのはずなので、結構登るんですよね。
とはいえ、奥多摩駅方面へ下るしても、ここはかなり登り返すのですよね。岩が多い急登がしばらく続きます。ここまで10km弱歩いてきて、疲労も溜まっている中でのこの急登は、かなりキツイです。
いったん登り返してしまえば、そこから先はひたすら鋸尾根を下っていきます。鋸尾根の登山道は、眺望が効くところがあまりないのですが、一か所だけ、見渡せるところがありました。ここで水分補給の小休止です。
ここから先は、短いはしごや岩場が連続しています。それほど危険はないのですが、すでにかなり疲れているので、ゆっくりと慎重に進みます。
はしごを登ると小さな祠がありました。軽く手を合わせます。
16時過ぎ、ようやく登山道が終わり、林道のような道に出ました。御前山からここまで3時間もかかっています。この写真の右側の登山道から降りてきて、手前側に向かいます。
林道を抜けると、広場に出ます。この先の階段を登っていくと、愛宕山です。手前側に車道が続いていて、車道を歩いても奥多摩駅に下りることができますが、せっかくなので、愛宕山を経由していきます。
愛宕神社から奥多摩駅への急な石段を下りてゴール!
愛宕神社は、愛宕山の頂上にあります。「山」というくらいですから、先ほどの広場から少し登ります。ここへきての登りはツライ……。
この階段を登ると、愛宕神社のお社があります。
お社のある山頂から反対側へ下りると、広場になっていて、立派な五重塔がありました。
全国にたくさんある愛宕神社の本家は、京都にある愛宕神社だそうです。江戸時代に、ご神体を京都から分けてもらって、江戸に愛宕神社を開いたそうですが、それが新橋駅の近くにある愛宕神社です。
奥多摩にある愛宕神社は、そのさらに分家ということになるそうです。
愛宕神社を過ぎて奥多摩駅の方へ少し下っていくと、長い石段があります。ものすごく急な石段で、手すりにつかまりながらゆっくりと降りていきます。
奥多摩駅から愛宕神社を参拝しようとすると、この階段を登らなくてはいけません。階段の上で、どう見ても普段着の若いカップルとすれ違いましたが、結構バテていましたね。
石段を下り、さらに登山道を少し下ると、東屋やベンチがある広場に出ます。ここまでくれば、ほぼ下山したようなものですので、トレッキングポールをしまい、街に出るためにマスクを着用しました。
16時35分、御前山の山頂から3時間半かけて、ようやく奥多摩駅近くの登山口まで下山しました。長かった……。
登山口から奥多摩駅へは10分ほどですが、途中、多摩川を渡る橋の上から、キャンプを楽しんでいる様子を見かけました。奥多摩の氷川キャンプ場です。駅から近いキャンプ場なので、電車で来ても楽しめそうですね。
このあと、奥多摩駅近くの飲み屋で軽く乾杯しました。下山後のビールはうまい!
奥多摩三山の一つ「御前山」は急登続きの登りごたえのある山!
というわけで、奥多摩三山の最高峰、御前山に登ってきました。
奥多摩湖から大ブナ尾根の急登を登るわけですが、なかなかに登りごたえのある山でした。眺望が優れている山ではないですが、中間地点のサス沢山からの奥多摩湖の眺めはなかなかのものです。
下山は鋸尾根経由で奥多摩駅へ下りるルートを選択しましたが、ひたすら眺望のない樹林帯を歩くことになるので、あまりおすすめしません。唯一の利点は、バスを使わずに、直接、奥多摩駅に下山できることでしょうか。
御前山登頂後は、奥多摩湖へ戻るか、栃寄ノ大滝を経由して境橋バス停へ下りるルートがよいと思います。時間と体力が許せば、鋸山から大岳山を経由して、御岳山に抜けるルートもありますね。
個人的には、2月に大岳山に登っているので、今回の御前山とあわせて、奥多摩三山のうち二つの山に登ったことになります。残りの三頭山も早めに登っておきたいですね。
今回の登山装備
- 長袖Tシャツ(モンベル)
- ポケッタブルパーカー(ユニクロ)
- トレッキングパンツ(モンベル)
- 登山用靴下(FITS)
- トレッキングシューズ(AKU)
- ザック(グレゴリー ZULU30)
- レインウェア上下
- 膝サポーター(ザムスト EK-3)
- 飲み物2リットル(ペットボトル500ml×2本+ナルゲン1リットル)
9月下旬の登山でしたが、いきなり急登が続くコースだったため、長袖Tシャツ1枚で十分でした。というか、すぐに汗をかきました。
ただ、休憩しているとすぐに冷えてくるため、薄手のパーカーが役に立ちました。山頂での休憩中は、ガスが出ていたこともあって、かなりひんやりとしていました。
以上、「【奥多摩】奥多摩三山の一つ「御前山」へ! 奥多摩湖からの急登と鋸尾根の長い下り」でした。登山口から急登続きなので、脱初心者を目指すトレーニングにもよいコースです。
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