シーズン終盤となった北アルプスの白馬岳に登ってきました。好天を狙って、稜線歩きを満喫したかったため、栂池からのピストンで白馬山荘泊というコースにしました。初日はほぼ一日中快晴で、2日目の下山時も高曇りながらガスがかかることはなく、両日とも絶景の稜線歩きを楽しめました。
この記事では、今回の登山計画の概要と、栂池自然園から白馬乗鞍岳までの登山の様子をお届けします。
栂池からのピストンで白馬岳へ
白馬岳は登山を始めたころから登ってみたかった山の一つです。実は、昨年も計画していたのですが、休暇と天候が合わずに断念。今年も8月に大雪渓~白馬岳~栂池の縦走を計画して、山小屋の予約等も済ませたのですが、再び天候が悪くキャンセルに。
来年、再びチャレンジしようかと思っていたのですが、10月上旬の週末はお天気が良さそうということで、急遽、計画をして登ることにしました。大雪渓は秋道に変わってしまい、雪の上を歩ける距離がとても短いとのことだったので、稜線歩きを優先して栂池からのピストンにしました。
ということで、今回のコースは以下の地図のとおりになります。
栂池高原から、栂池ゴンドラリフト「イヴ」と栂池ロープウェイを乗り継いで、栂池自然園(正確には栂池ロープウェイの自然園駅)からスタート。天狗原から白馬乗鞍岳への急登を登り切り、いったん、白馬大池に下ります。白馬大池から船越の頭まで登り返すと、いよいよ稜線へ! 小蓮華山を経由して、白馬岳まで、絶景を眺めながらの稜線歩きを楽しみます。白馬岳山頂から10分ほど下って、白馬山荘に宿泊。下山は逆コースを下っていきます。
このコースは、スタートとなる栂池自然園の標高が1,900メートルもあるので、白馬岳に登るルートの中では、比較的楽に登れるコースです。とはいえ、白馬岳の標高は2,932メートル。標高差は1,000メートル以上ありますし、稜線歩きですので、アップダウンもあります。累積標高は片道で1,300~1,400メートルになりますし、距離も10km以上ありますので、それなりに歩きます。
今回の行程は以下のようになります。
- 1日目
- 07:45 栂池ロープウェイ 自然園駅出発
- 08:05 栂池自然園 登山口
- 09:00 天狗原
- 09:50 白馬乗鞍岳 到着(小休止)
- 10:00 白馬乗鞍岳 出発
- 10:20 白馬大池山荘 到着(お昼休憩)
- 10:50 白馬大池山荘 出発
- 11:30 船越の頭 到着(休憩)
- 11:50 船越の頭 出発
- 12:30 小蓮華山 到着(休憩)
- 12:55 小蓮華山 出発
- 13:35 三国境
- 14:10 白馬岳 到着(休憩)
- 14:45 白馬岳 出発
- 14:55 白馬山荘 到着(宿泊)
- 2日目
- 06:25 白馬山荘 出発
- 06:35 白馬岳 到着(休憩)
- 06:55 白馬岳 出発
- 07:50 小蓮華山 到着(休憩)
- 08:15 小蓮華山 出発
- 08:50 船越の頭
- 09:30 白馬大池山荘 到着(休憩)
- 09:50 白馬大池山荘 出発
- 10:15 白馬乗鞍岳
- 11:50 栂池自然園 登山口 下山
休憩込みで(休憩してばかりですが)、登りは約7時間、下りは約5時間半でした。このコースを歩くのであれば、普段よりも長めに時間を見積もっておいた方が良いです。あまりに絶景で、なかなか進まないので(笑)
白馬岳登山口への公共交通機関でのアクセス
白馬岳の登山口となる栂池自然園と猿倉(大雪渓コースの登山口)への公共交通機関でのアクセス方法を紹介します。
栂池自然園へのアクセス
栂池自然園へは、前述のとおり、栂池高原から栂池ゴンドラリフトと栂池ロープウェイを乗り継いで行きます。まず、栂池高原までのアクセスです。
- 東京駅 → 長野駅(北陸新幹線)
- 長野駅東口 → 白馬八方バスターミナル → 栂池高原(アルピコ交通 特急バス 長野−白馬線 2,400円)
長野駅からアルピコ交通の特急バスを利用するのが早くて楽です。長野駅から栂池高原までの所要時間は1時間40~50分ほどです。
アルピコ交通の特急バス 長野-白馬線は、白馬八方バスターミナル止まりの便と、栂池高原・白馬乗鞍行きの便があります。いずれも予約は不要ですが、事前に時刻表を調べて、栂池高原まで行く便に乗るようにしましょう。
車両によるかもしれませんが、今回乗車したバスには、コンセントとWiFiがありました。
特急バス 長野-白馬線については、アルピコ交通のWebサイトをご確認ください。
栂池高原から栂池自然園へは、栂池ゴンドラリフトと栂池ロープウェイを乗り継ぎます。所要時間はゴンドラリフトが20分、ロープウェイが5分です。
時期や曜日によってゴンドラとロープウェイの営業時間が異なります。事前に確認しておきましょう。
今回は、栂池高原の宿に前泊して、朝イチのゴンドラで上がりました。日曜日で、栂池自然園の紅葉が見ごろだったため、午前7時の営業開始時には長蛇の列。混雑する時期には早めに並ぶことと、Webチケットを購入しておくことをおすすめします。チケットカウンターが開くのは営業時間の少し前らしいのですが、Webチケットを事前に購入しておくと、チケットセンターにある機械にQRコードをかざすことで受け取れます。当日、チケットを買う人よりも先に並べます。
栂池ゴンドラリフトと栂池ロープウェイについては「つがいけロープウェイ」のWebサイトをご確認ください。
猿倉へのアクセス
大雪渓コースの登山口となる猿倉へは、白馬駅から路線バスを利用します。
- 東京駅 → 長野駅(北陸新幹線)
- 長野駅東口 → 白馬駅 → 白馬八方バスターミナル(アルピコ交通 特急バス 長野−白馬線 2,200円)
- 白馬駅 → 白馬八方バスターミナル → 猿倉(アルピコ交通 路線バス 白馬駅前~猿倉 1,000円)
長野駅からの特急バスを、白馬駅または白馬八方バスターミナルで下車して、猿倉行きの路線バスに乗り換えます。
白馬駅~猿倉間の路線バスは季節運行です。例年、4月下旬(GW)~10月上旬の運行です。時期や曜日によって、運休となる便もありますので、あらかじめ時刻表で確認しておきましょう。
白馬駅~猿倉間の路線バスについては、アルピコ交通のWebサイトをご確認ください。
【栂池自然園】栂池高原に前泊して翌朝のロープウェイで栂池自然園へ
登山の前日に栂池高原の宿に前泊し、翌朝、朝イチのゴンドラリフトとロープウェイを乗り継いで、午前8時前に栂池自然園に到着しました。
長野駅から特急バスで栂池高原へ
登山前日の土曜日、長野駅を14時に出発するアルピコ交通の特急バスに乗車。このバスは白馬乗鞍行きですが、これよりあとの便は白馬八方ターミナル止まりなので、このバスにしました。
運賃は車内で支払うこともできますが、長野駅東口にあるお土産屋「科の木」で乗車券を買うことができますので、事前に購入しておきました。
ザックをトランクに入れて、身軽になって車内へ。出発間際まで、ぽつぽつと乗客がやってきましたが、時間が中途半端なせいか、乗客は12~13名ほどでした。車内でゆったりと過ごせたのでよかったですが。
白馬八方ターミナルで大方の乗客は下車してしまい、車内はガラガラに。定刻より5分ほど遅れて、栂池高原に到着しました。
今日は、栂池ゴンドラリフトの乗り場から徒歩5分ほどの宿に前泊します。やはりスキーの町なのでしょう。土曜日だというのに、「今日はお客さん1名だけです」とのことでした。
朝イチのゴンドラリフトとロープウェイで栂池自然園へ
翌朝、とても良い天気で、ホテルの窓を開けると、白馬三山が朝日に染まっていました。ちょっと電線が邪魔ですが……。
ホテルをチェックアウトして、栂池ゴンドラリフトの乗り場へ。今日は午前7時から営業開始ですが、午前6時半の時点で、チケット売り場には行列ができていました。その行列を横目に、事前にWebで購入しておいたチケットを、チケットセンターにある機械で受け取りました。
チケットを受け取ったらゴンドラリフトの乗り場へ。おかげで、かなり早く列に並ぶことができました。
チケット売り場が開いたのでしょうか。続々と登山やハイキングの装いをした人たちがやってきて、営業開始前に長蛇の列に。登山客と観光客の割合は3:7くらいでしょうか。栂池自然園を観光する人もこんなに朝早くからやってくるのかとびっくりしました。
ゴンドラリフトは6人乗りですが、4人くらいに制限しているようでした。私は、ソロの方々とあわせて3人で乗車。
ゴンドラの窓からはこの絶景! ゴンドラに乗り合わせた方々と、「お天気最高ですね~」「景色スゴイですね~」と。これからの登山にも期待が高まります。
ゴンドラリフトは、途中の白樺駅を経由して、終点の「栂の森駅」へ。ここから栂池ロープウェイの栂大門駅まで3分ほど歩きます。
ゴンドラはどんどん発車していきますが、栂池ロープウェイは時刻表に従って発車していきます。始発の便が7時30分発だったのですが、これには間に合わず、次の7時40分の便になりました。それ以降は20分毎の発車となっていますが、混雑時は臨時便も出るようです。
栂池ロープウェイは5分ほどで終点の自然園駅に到着。そこからアスファルトの坂道を5分ほど歩くと、栂池山荘や栂池ヒュッテ、ビジターセンターがある栂池自然園の入口に到着しました。
栂池山荘の近くで登山の支度をします。栂池自然園を散策する観光客・ハイカーの方々と、登山者といろいろです。
登山道に入ると、コースタイムで約4時間の白馬大池山荘までトイレがありませんので、事前に済ませておきましょう。また、ペットボトルの飲み物なども購入できます。
【栂池自然園~白馬乗鞍岳】天狗原から岩の急登を登って白馬乗鞍岳へ
栂池自然園から1時間ほど樹林帯を登ると、湿原が広がる天狗原へ。天狗原からは岩場の急登を登って、山頂部分が平坦な白馬乗鞍岳に到着します。
栂池ビジターセンター横の登山口から樹林帯の登りへ
登山口は、栂池ビジターセンターと栂池山荘の間にあります。白馬大池まで4時間半、白馬岳まで7時間半とあります。実際にはそこまでかからないと思いますが、それでもなかなかの長丁場。気合を入れていきましょう!
樹林帯の道を登っていきます。ところどころに階段も整備されていて、歩きやすい道ではありますが、最初からそれなりに登りますし、ずっと登りです。
天狗原までは基本的に笹と樹林帯の道ですが、ところどころで樹林帯が途切れて眺望があります。そんなところからは白馬三山が目の前に! 右側の山が、今日の目的地となる白馬岳です。
こんな感じの登山道をどんどん登っていきます。日曜日でこの好天、それに、朝イチのゴンドラ・ロープウェイで栂池自然園に到着した人たちが一斉に登り始めるので、このあたりは結構混んでいます。それでも渋滞になるようなことはありませんでした。
白馬の街並みも一望できます。ロープウェイの駅や栂池ビジターセンターも見えていますね。山腹の紅葉も進んでいます。
急登とまではいかないものの、結構な登りが続きます。この先、白馬岳までは長い道のりなので、オーバーペースにならないように気をつけて登ります。
山腹の平坦地に広がる天狗原へ
次第に樹木が少なくなると、視界が開けて、正面に白馬乗鞍岳が見えるようになってきます。このあたりが森林限界のようです。
栂池の登山口から約1時間で天狗原に到着しました。ベンチが整備されているので、ここで少し休憩していくことにします。
天狗原の向こうには白馬乗鞍岳が見えます。白馬乗鞍岳の山腹はかなり紅葉が進んでいました。天狗原の草紅葉もきれいです。
天狗原は、白馬乗鞍岳の火山活動で形成された平坦地に、湿原が発達したところだそうです。栂池自然園とともに、二つの平坦地が標高差300メートルで階段状に形成されたのだそうです。
天狗原には木道が整備されています。植生保護のためだと思いますが、おかげで歩きやすいです。
正面に見える山が白馬乗鞍岳です。アルペン的な白馬三山と比べると、とても穏やかな山容の山です。写真中央より少し右側に、山腹を直登する登山道が見えますが、あそこを登っていくのです。穏やかそうな山容とは異なり、登山道はなかなか険しいです。
大きな岩がゴロゴロした急登を登って白馬乗鞍岳へ
平坦な天狗原の木道が終わると、いきなり大きな岩がゴロゴロとした登りが始まります。とても歩きやすい木道から、いきなりこんな道になるので、ちょっと面食らいます。
最初は緩やかでしたが、徐々に傾斜は急に。斜面全体に大きな岩や石が広がっているところもあります。岩にペンキで付けられた〇印や矢印を目印に、登山道から外れないように登ります。
危険というほどではないですが、これまでの樹林帯の道や木道とは明らかに様子が異なり、足を大きく上げたり、手を使って登ったり。
ひたすら急登が続くので、ところどころだ立ち止まって休憩。後ろを振り返ると、天狗原を一望できます。
白馬乗鞍岳の山頂まで一気に登るのはキツいので、景色の良いところでは、あちこちで休んでいる方がいました。
上のほうまで登ってくると、こんな感じになります。印がないと、もはやどこが登山道かわかりません……。
ちなみに、栂池自然園から白馬岳までのルートでは、この白馬乗鞍岳の登りが最もキツかったです。手を使って登るようなところも、ここだけですね。
岩場の急登を何とか登りきると、視界が開けてきます。正面には、これから歩く稜線が見えてきました。そして、左奥には白馬岳。素晴らしい景色です。
白馬乗鞍岳の山頂付近は、ハイマツに覆われたなだらかな平坦地になっていて、その中に石の登山道が通っています。大きなケルンのところが山頂?のようです。
が、周囲にはどう見てもここより高いところがあります。山頂を示す道標を見ると、消えかけた文字で「2436.4m」とあります。あとで調べてみると、白馬乗鞍岳の最も標高が高い場所は2,469メートルだそうです。三角点はこのケルンの場所にありますが、厳密には山頂は別の場所のようです。
まあ、そんな細かいことはともかく、この絶景を眺めながらしばし休憩します。なだらかな山頂付近はハイマツに覆われていて、その向こうには、これから歩く船越の頭~小蓮華山の稜線が見えています。
白馬乗鞍岳の山頂付近のなだらかな平坦地も、火山噴火によってできたものだそうです。
白馬大池を眺めながら白馬大池山荘へ
白馬乗鞍岳からは、白馬大池までいったん下ります。下りに入ると、すぐに視界に白馬大池が飛び込んできます。青い湖面が、緑色のハイマツや、黄や赤に色づいた草紅葉の中で良く映えています。白馬大池の奥に見える赤い建物が、白馬大池山荘です。
白馬大池は、白馬乗鞍岳の噴火でせき止められてできた池なんだそうです。この白馬大池も、栂池自然園や天狗原と同じく、白馬乗鞍岳の火山地形ということですね。
白馬大池の向こうには、これから歩く小蓮華山への稜線。このお天気の下、あの稜線をこれから歩くのだと思うとワクワクしますね。
白馬乗鞍岳から白馬大池の近くまで下ると、白馬大池の北岸に建つ白馬大池山荘までは、池の脇の大きな岩がゴロゴロとした道を通っていきます。天狗原から白馬乗鞍岳の登りもそうでしたが、大きな岩がゴロゴロしている斜面は、火山由来のものなのでしょう。
白馬大池山荘の裏側までたどり着きました。賑わっているのはベンチやテント場がある側ですが、こちら側で白馬大池を眺めながら休憩するのも良さそうですね。
白馬大池山荘に到着です。日曜日の午前11時前、前日に白馬岳で泊まって下山してきた人たちと、私のようにこれから白馬岳に登る人たちがいて、賑わっています。
ちょうどお昼時でおなかも空いてきたので、ここでお昼にします。白馬大池山荘の喫茶営業がやっていたので、カルボナーラ(1,000円)とミニッツメイドのジュース(500円)を注文。おいしくいただきました。他にはカレーやカップ麺がありましたが、売り切れが多いようでした。
ちなみに、白馬大池の周りは電波の不感地帯のようで、全く電波が入りませんでした。くぼ地になっている関係で、電波が届かないようです。
栂池自然園から天狗原を経由して、白馬乗鞍岳、白馬大池までで、白馬岳までの距離の半分弱といったところ。ここまでは白馬乗鞍岳の火山によってできた、変化に富んだ地形を楽しめましたが、ここから先は、いよいよ絶景の稜線歩きです。
船越の頭~小蓮華山~白馬岳の稜線歩きと、白馬山荘での宿泊の様子は、以下の記事でお届けします。ぜひご覧ください。
以上、「【北アルプス】白馬山荘泊で白馬岳の絶景稜線歩きを楽しむ山旅! ~白馬乗鞍岳登頂編~」でした。平坦な天狗原や白馬乗鞍岳の山頂、それとは対照的な大きな岩が転がる急登など、ここまででも変化に富んだ登山を楽しめました。
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