北アルプス南部、主に槍・穂高連峰、常念山脈、笠ヶ岳・双六岳などの登山口への公共交通機関でのアクセス方法のまとめです。鉄道駅からの路線バスを中心に、バスの運行がない登山口へはタクシーでの所要時間と運賃を掲載しています。北アルプスの登山計画作成の際に、ご活用いただけましたら幸いです。
※各バスの情報は、2024年夏山シーズンの情報が公開され次第、更新していく予定です。
北アルプス南部 主要登山口へのアクセス
北アルプス南部の主要登山口としては、槍・穂高エリアへは上高地、常念山脈へは安曇野側の中房温泉や一ノ沢・三股、笠ヶ岳や双六岳へは西側の新穂高温泉(新穂高ロープウェイ)があります。
この記事では、下表に示す登山口への公共交通機関でのアクセス方法を紹介します。
山域 | 登山口 | 主な山 | 最寄駅 | 路線バス | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
槍・穂高 エリア |
上高地 (別記事で紹介) |
槍ヶ岳 穂高連峰 焼岳 |
松本駅 | 〇 | - |
常念山脈 エリア |
中房温泉 |
燕岳 大天井岳 |
穂高駅 | 〇 | 中房線乗合バス |
一ノ沢 |
常念岳 | 穂高駅 | × |
タクシー利用 約6,000円 |
|
三股 |
蝶ヶ岳 常念岳 |
穂高駅 豊科駅 |
× |
タクシー利用 約7,000円 |
|
笠ヶ岳 双六岳 エリア |
新穂高温泉 新穂高ロープウェイ |
西穂高岳 双六岳 |
高山駅 松本駅 |
〇 |
濃尾バス アルピコ交通 |
乗鞍岳 |
畳平 |
乗鞍岳 | 松本駅 | 〇 | アルピコ交通 |
なお、上高地への公共交通機関でのアクセスについては、別記事で詳しく紹介しています。東京、名古屋、大阪・京都からの鉄道・バスでのアクセス方法も紹介していますので、ぜひご覧ください。
以下では、上高地以外の北アルプス南部の主要登山口への公共交通機関でのアクセス方法を紹介します。
常念山脈エリアへの公共交通機関でのアクセス
常念山脈は、槍・穂高連峰の東側、安曇野との間に連なる山脈です。主要な登山口は、中房温泉(燕岳)、一ノ沢(常念岳)、三股(常念岳・蝶ヶ岳)の3つです。
いずれも、常念山脈の東麓にあたる安曇野側の登山口です。起点となる鉄道駅は、JR大糸線の穂高駅と豊科駅です。
- JR大糸線各駅へのアクセス
- 新宿駅から特急「あずさ」で約2時間40分の松本駅で下車、大糸線の普通列車に乗り換え
- 名古屋駅から特急「しなの」で約2時間10分の松本駅で下車、大糸線の普通列車に乗り換え
なお、1日に1往復だけ大糸線に乗り入れる特急「あずさ」があります。2024年3月改正ダイヤでは、新宿駅を8時ちょうどに出発する「あずさ5号」です。豊科駅には10時54分、穂高駅には10時59分に到着します。
前泊する場合には、穂高駅・豊科駅近くのビジネスホテルに泊まるか、中房温泉の近くにある有明温泉、または、松本駅周辺に宿泊することになります。
中房温泉(燕岳)
燕岳への登山口となる中房温泉へは、穂高駅前から「中房線乗合バス」に乗車します。
- バス路線名: 中房線乗合バス
- 運行会社: 中房線乗合バス
- 運行経路: 安曇野の里・穂高駅~中房温泉
- 運行期間: 2024年4月26日(金)~11月4日(月)
- 運賃(最寄駅から): 1500円
- Webサイト: 中房線乗合バス 中房線乗合バス
- 概要: 中房線乗合バスは、安曇野の里・穂高駅から中房温泉までのバス路線です。2024年4月26日(金)から11月4日(月)まで運行されます。運行期間中でも運行日によってダイヤが異なりますのでご注意ください。
「中房線乗合バス」は、例年ゴールデンウィークから11月上旬まで毎日運行しています。日にちによって運行される便数が異なります。登山のハイシーズンには臨時便も運行されます。事前に時刻表で確認しておきましょう。
「中房線乗合バス」は予約なしで乗車できます。ただし、公共交通機関利用の登山者だけでなく、穂高駅前の駐車場にクルマを停めて、中房温泉までバスでアクセスする方も利用しますので、早朝の便は混雑します。ハイシーズンに利用する場合には、早めにバス停に並んでおくことをおすすめします。
2023年7月下旬、穂高駅からバスで中房温泉にアクセスし、パノラマ銀座を縦走してきたときの記録です。「中房線乗合バス」乗車の様子も掲載していますので、ぜひご覧ください。
一ノ沢登山口(常念岳)
常念岳の主要な登山口となるのが「一ノ沢登山口」です。一ノ沢登山口へは路線バスや登山バスが運行していませんので、穂高駅からタクシー利用となります。
- 登山口: 一ノ沢登山口
- アクセス: JR大糸線 穂高駅からタクシーで約35分(6,000円程度)
- タクシー会社: 安曇観光タクシー
穂高駅からタクシーに乗車する場合には、事前に電話で予約しておいたほうが良いでしょう。また、常念岳から一ノ沢登山口に下山したあとにタクシーに乗車する場合には、下山前、常念小屋近くの電波のあるところで予約をしておきましょう。
三股登山口(常念岳・蝶ヶ岳)
常念岳・蝶ヶ岳の登山口となる「三股登山口」へは、路線バスや登山バスは運行していません。そのため、穂高駅や豊科駅からタクシー利用となります。
- 登山口: 三股登山口
- アクセス: JR大糸線 穂高駅からタクシーで約40分(7,000円程度)
- タクシー会社: 安曇観光タクシー
穂高駅や豊科駅からタクシーに乗車する場合には、事前に電話で予約をしておきましょう。また、下山後に三股登山口からタクシーに迎えに来てもらいたいときも、下山前の電波の通じるところで予約をしておくことをおすすめします。
笠ヶ岳・双六岳エリアへの公共交通機関でのアクセス
笠ヶ岳・双六岳は槍ヶ岳の西側、奥飛騨から北アルプス中央部に位置しています。主な登山口として、新穂高温泉(新穂高ロープウェイ)があります。新穂高ロープウェイで登った西穂高口からは、西穂高岳や焼岳に登ることもできます。
登山口へは、JR高山本線の高山駅、JR篠ノ井線の松本駅からバスが出ています。
- JR高山駅へのアクセス
- 名古屋駅から特急「ひだ」で約2時間20分
- 富山駅から特急「ひだ」で約1時間30分
JR高山駅へは、名古屋~富山を結ぶ特急「ひだ」でアクセスできます。北陸方面や中京・関西方面から新穂高温泉へアクセスする場合には、JR高山駅からバスに乗ります。
- JR松本駅へのアクセス
- 新宿駅から特急「あずさ」で約2時間40分
関東からは、中央本線の特急「あずさ」で松本駅まで行き、バスを乗り継ぐ方法がおすすめです。
新穂高温泉・新穂高ロープウェイ(西穂高岳・笠ヶ岳)
新穂高温泉・新穂高ロープウェイへは、JR高山駅・平湯温泉から濃尾バスの「平湯・新穂高線」に乗車します。
- バス路線名: 平湯・新穂高線
- 運行会社: 濃飛バス
- 運行経路: 高山駅~平湯・新穂高温泉~新穂高ロープウェイ
- 運行期間: 2024年4月1日~11月30日
- 運賃(最寄駅から): 2200円
- Webサイト: 濃飛バス 平湯・新穂高線
- 概要: 濃尾バスの平湯・新穂高線は、高山駅から、槍ヶ岳、西穂高岳、双六岳、笠ヶ岳の登山口である新穂高温泉(新穂高ロープウェイ)までを結んでいます。通年運行で、高山駅から新穂高ロープウェイまでの運賃は2200円です。
高山駅から濃尾バス「平湯・新穂高線」に乗車して、新穂高温泉まで約1時間30分、新穂高ロープウェイまでは1時間45分ほどです。
また、松本駅から新穂高温泉へアクセスする場合には、松本駅でアルピコ交通の「松本・高山線」に乗車し、途中の「平湯温泉」で前述の濃尾バス「平湯・新穂高線」へと乗り継ぎとなります。
- バス路線名: 松本・高山線
- 運行会社: アルピコ交通
- 運行経路: 松本駅~平湯温泉~高山
- 運行期間: 通年
- 運賃(最寄駅から): 3710円
- Webサイト: アルピコ交通 松本・高山線
- 概要: 松本・高山線は、松本駅から平湯温泉を経由して高山駅を結ぶバス路線です。途中の平湯温泉で、濃尾バスの「高山・新穂高線」に乗り換える必要があります。松本駅~新穂高温泉を直通するバスは、お盆休みと年末年始のみ運行されます。松本駅~平湯温泉の所要時間は約1時間30分です。松本駅~新穂高温泉の運賃は通しで3,710円です。
松本・高山線は、お盆休みと年末年始のみ、松本駅~新穂高温泉を直通するバスが運転されますが、それ以外は前述のように、平湯温泉での乗り継ぎが必要です。
笠ヶ岳や双六岳、さらにその先の三俣蓮華岳へは、新穂高温泉から登山口となります。一方、西穂高岳や焼岳へは、バスの終点となる新穂高ロープウェイバス停から、新穂高ロープウェイに乗車して、西穂高口を目指します。
- 新穂高ロープウェイ
- 所要時間: 約25分
- 運賃: 片道1,900円(往復3,300円)
新穂高ロープウェイは、第1ロープウェイと第2ロープウェイの2つのロープウェイを乗り継ぎます。乗り継ぎも含めた全体の所要時間は約25分。第2ロープウェイの終点「西穂高口駅」が、西穂高岳への登山口となっています。
乗鞍岳への公共交通機関でのアクセス
乗鞍岳は、北アルプスの最南端に位置する3000メートル峰です。主要な登山口となる畳平バスターミナルへは、松本駅から路線バスを乗り継いでアクセスできます。畳平の標高は2,702メートルで、3000メートルを超える乗鞍岳山頂まで約1時間半で手軽に登ることができます。
松本駅から新島々駅までアルピコ交通上高地線の電車で、新島々駅から乗鞍高原観光センターまでは、アルピコ交通の路線バスが出ています。
- バス路線名: 乗鞍高原線
- 運行会社: アルピコ交通株式会社
- 運行経路: 松本駅~新島々駅~乗鞍高原
- 運行期間: 2024年4月17日(水)~2024年11月15日(金)
- 運賃(最寄駅から): 2060円
- Webサイト: アルピコ交通株式会社 乗鞍高原線
- 概要: アルピコ交通の乗鞍高原線は、新島々駅と乗鞍高原を結ぶ路線バスです。松本駅から上高地線の電車に乗車し、新島々駅で乗り継ぐことができます。途中の乗鞍高原観光センターバス停で、畳平行きのシャトルバスに乗り継ぐことができます。運行期間は2024年4月17日~11月15日で、松本駅から乗鞍高原観光センターまでの運賃(上高地線の電車含む)は2,060円となっています。
乗鞍高原観光センターからは、登山口となる畳平まで「乗鞍高原~乗鞍畳平シャトルバス」でアクセスできます。
- バス路線名: 乗鞍高原~乗鞍畳平シャトルバス
- 運行会社: アルピコ交通株式会社
- 運行経路: 乗鞍高原~乗鞍畳平
- 運行期間: 2024年7月1日~10月31日
- 運賃(最寄駅から): 2050円
- Webサイト: アルピコ交通株式会社 乗鞍高原~乗鞍畳平シャトルバス
- 概要: 乗鞍高原~乗鞍畳平シャトルバスは、麓の乗鞍高原観光センターと畳平を結ぶシャトルバスです。松本駅・新島駅から運行されている「乗鞍高原線」から、乗鞍高原観光センターバス停で乗り継ぐことができます。運行期間は2024年7月1日~10月31日で、乗鞍高原観光センター~畳平の運賃は2,050円です。
なお、シャトルバスの運行は例年7月~10月となっていますが、4月下旬~6月は「乗鞍岳春山バス」が運行されています。運行区間は、4月~5月は「位ヶ原山荘前」まで、6月は「大雪渓・肩の小屋口」までとなります。
- バス路線名: 乗鞍岳春山バス
- 運行会社: アルピコ交通株式会社
- 運行経路: 乗鞍高原観光センター~位ヶ原山荘~大雪渓・肩の小屋
- 運行期間: 2024年4月27日(土)~6月30日(日)
- 運賃(最寄駅から): 2050円
- Webサイト: アルピコ交通株式会社 乗鞍岳春山バス
- 概要: 乗鞍岳春山バスは乗鞍高原観光センターから位ヶ原山荘前・大雪渓・肩の小屋口を結ぶバス路線です。2024年4月27日(土)から6月30日(日)まで運行されますが、運行区間は、4月~5月は「位ヶ原山荘前」まで、6月は「大雪渓・肩の小屋口」までとなります。7月~10月は、乗鞍畳平まで運行される「乗鞍高原~乗鞍畳平シャトルバス」が運行されます。
なお、岐阜県側から乗鞍スカイラインを経由するバスも運行されていましたが、2022年9月の崩落発生により、2024年現在、運休となっています。
乗鞍岳の玄関口となる畳平バスターミナルについては、以下のWebサイトをご確認ください。
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