2月上旬の週末、一度は行ってみたいと思っていた富士山ビューの山「金時山」へ行ってきました。小田急箱根高速バスを乙女峠バス停で下車後、乙女峠から金時山へ登り、足柄峠を経て、足柄駅へ下りました。冬晴れで、乙女峠や金時山山頂から富士山をしっかり眺めることができました。
「金時山」登山のルートと行程
金時山(きんときやま)は、箱根カルデラを囲む外輪山の一つ。外輪山の最高峰で、標高は1,212メートル。
山頂からは、御殿場の街の向こうにドーンとそびえる富士山を眺めることができます。また、南側へ目をやると、芦ノ湖や仙石原、それらを囲むように並ぶ外輪山を一望できます。
そんな金時山ですが、登山口から1時間半~2時間程度で山頂まで登れてしまう初心者向けの山です。登山装備は必要ですが、危険なところは少なく、筆者のように登山を始めたばかりでも十分に登れる山です。
今回は、富士山の景色が良い乙女峠ルートで登ってきました。行程は以下の通りです。
- 06:35 バスタ新宿から小田急箱根高速バス 桃源台行き(1便)に乗車
- 08:35 乙女峠バス停到着
- 08:50 登山開始(乙女峠登山口)
- 09:24 乙女峠(富士山絶景ビュー!)
- 10:23 金時山山頂到着(お昼休憩)
- 11:35 下山開始
- 12:45 足柄峠(休憩)
- 13:35 虎御前古道入口
- 14:35 あしがら温泉到着
金時山山頂からは、箱根方面へ下りることもできますが、今回は足柄峠を経て、JR御殿場線の足柄駅方面へ下りてみました。
バスタ新宿から小田急箱根高速バスで乙女峠バス停へ
いつもは電車と路線バスで登山口へ向かうのですが、今回は、バスタ新宿から高速バスを利用しました。
というのも、バスタ新宿から出ている 小田急箱根高速バス 箱根線 を利用すると、金時山への各登山口まで乗り換えなしで直行してくれるのです。特に、乙女峠バス停へは、小田原駅や箱根湯本駅からは路線バスを2本乗り継ぐ必要があるので、新宿から直行してくれる高速バスはとてもありがたいのですね。
午前6時過ぎにバスタ新宿に到着。閑散としていた新宿駅に比べて、バスタ新宿の待合室は、空いているベンチを探すのにも苦労するほどの混雑。
6時25分頃に、小田急箱根高速バスがバス乗り場にやってきました。スマホでQRコードを表示させてタッチすると乗車票が出てきます。運転手さんが座席番号を書き込んでから乗車票を受け取り、座席へ。
新宿から乗車したのは5名とガラガラ。途中、いくつかのバス停で乗車がありましたが、それでも15名に満たないくらいでしょうか。
バスは東名高速を順調に走り、ほぼ時間通りに御殿場駅に到着。登山の格好をした筆者を含む4名以外は全員下車。ここから箱根へ向かうのですが、観光にはまだ早すぎるようですね。
御殿場駅から約20分で乙女峠のバス停に到着。ほぼ時刻通り。車内は空いていて快適な旅でした。
バスタ新宿から御殿場駅を経由して、仙石原、桃源台などの箱根の観光スポットへ乗り換えなしで行ける便利な高速バスです。
金時山の箱根側の登山口となる乙女峠、金時神社入口、金時登山口にバス停がありますので、金時山への登山にも便利です。
詳しくは、小田急箱根高速バスのWebサイトへ → 箱根線(新宿-御殿場・箱根)|小田急箱根高速バス
乙女峠登山口から乙女峠へ
高速バスの車内からも富士山がバッチリ見えていましたが…
乙女峠バス停からもご覧のとおり! 素晴らしい富士山を眺めることができました。
乙女峠バス停の前には「ふじみ茶屋」があるのですが、給水設備のメンテナンスのため、しばらくの間休業とのこと。トイレも使えないので要注意。高速バスの車内にはトイレがあるので、車内で済ませておくのがよいでしょう。
詳しくは、「ふじみ茶屋」のWebサイトをご確認ください。
バス停からバスの進行方向へ少し行ったところに、登山口の入口があります。上の写真のところを左へ入ります。
登山道までの林道のような道には雪が残っていました。日陰だったためかカチカチに凍っていて、怖かったので、チェーンスパイクを装着して進みます。
少し進むと登山道への入口がありました。ここから本格的な山道になります。
登山道に入ると、とたんに雪が消えてしまいました。歩きにくいので、すぐにチェーンスパイクを外しました。
大小の石ころが転がっている登山道を登っていきます。乙女峠まではそれほど急ではありませんので、サクサク登れてしまいます。
登山道を登り始めて30分ほどで乙女峠に到着しました。
この乙女峠からの富士山は絶景! 視界をさえぎるものがなく、富士山のなだらかなすそ野まできれいに見えます。富士山手前は、御殿場の町です。
富士山の南東側から眺める形になりますが、かなり下のほうまで雪がありました。
雲一つない快晴で、くっきりと富士山を眺めることができたのでした。
乙女峠には、このような小さな展望台があります。ここから富士山を眺めたり、写真を撮ったりすると良いでしょう。
本格的な登りで金時山山頂へ!
乙女峠から先は、本格的な登りになってきます。木の階段や、ちょっとした岩場なんかが出てきます。急ではありますが、危険なところはないので、ゆっくり登れば問題ないです。
20分ほど登ると、長尾山山頂に到着します。ちょっと開けた広場のようになっていますが、特に眺望がきくわけでもないので、水分補給だけして先へ進みます。
長尾山山頂から金時山山頂までは約30分ですが、急登が続きます。
こんな急な階段も出てきます。
乙女峠からのルートは、後半は少し難易度が上がります。ロープや鎖をつかんで登る岩場や鎖場もありますので、慎重に進みます。
それでも、ところどころで見える箱根の風景が疲れを癒してくれます。
右奥には芦ノ湖、左側の山の中腹から白い煙が上がっているところが大涌谷です。風向きのせいか、登っている最中にも、大涌谷から、ほんのりと硫黄の香りが漂ってきました。
山頂から降りてくる人と、登山道の情報を交換。山頂直下には雪が残っているようですが、登りなら大丈夫かも、ということなので、チェーンスパイクを着けずに進みます。
富士山と箱根を一望! 金時山山頂に到着!
10時23分、雪がところどころに残る最後の急登を登り終えると、金時山の山頂に到着です。
金時山の山頂から。ちょっと雲が出てきたのと、野焼きの煙がかかってしまいましたが、この景色を見たくて金時山までやってきたので、満足です。
山頂はすでに大勢の登山客でにぎわっていました。
箱根方面もこのとおり! 芦ノ湖を囲むように外輪山が連なる様子は見事です。さすがに、外輪山最高峰の山頂からの眺めです。それにしても、ゴルフ場が多い(笑)
この写真では見ませんが、右奥のほうには、うっすらとですが、駿河湾まで見ることができました。
富士山の西側のほう、自衛隊の東富士演習場のほうでは、野焼きをしていて、灰色の煙が上がっていました。ときどき、「ドーン」という大砲のような音がして、白い噴煙のような煙も上がっていましたが、演習をしていたのでしょうか。
山頂の様子はこんな感じです。お茶屋さんが二軒ありますし、有料のきれいなトイレもありました。
山頂付近の斜面は岩場になっているので、腰かけられそうなところを探してお昼に。いつものカップヌードルですが(笑)
あちこちで、おにぎりやらカップラーメンやらを食べている人がいます。山頂で食べるカップヌードルのおいしいこと! こんな富士山の絶景を眺めながら食べられるんですから、なおさらですね。
山頂直下の雪道を下り足柄峠へ
下山はどのコースにしようか、直前まで迷っていました。
別コースで箱根側へ下山するのが一般的ですが、そうすると全行程で5~6kmと少し物足りないのです。
外輪山の尾根道を明神ヶ岳まで縦走するコースも考えましたが、コースタイムがかなり長いので、日の短いこの季節はやめておきました。このルートは、春以降にチャレンジしたい。
ということで、足柄峠を経由して、足柄駅方面へ下りることにしたのでした。
お茶屋さんとトイレの間にある階段から下山します。
山頂直下はかなりの急坂を下っていくのですが、いきなり一面の雪道。先を行っていた数名のグループも、「下りはアイゼンないとダメだ」と言っていたので、山頂直下の広場でチェーンスパイクを装着。ゆっくりと慎重に下っていきます。
山頂から20分ほどは急坂が続きます。この写真のような鉄の階段もところどころにあり、慎重に下りていきます。
足柄峠へのルートは、富士山を左手に見ながら進んでいきます。ところどころで、木々の間から、見事な景色を眺めることができます。ちょっと雲が増えてきましたね。
20分ほどで、足柄峠方面と足柄駅方面の分岐に到着。どちらに行っても足柄駅までは130分ですが、ここは富士山のビューポイントがある足柄峠を経由する右側のルートに行きます。
すれ違った方に登山道の状況を聞くと、これより下は雪は全然ないとのことで、ここでチェーンスパイクを外しました。
山道は先ほどの分岐までで終わりで、ここからは林道や車道がメインになります。登山としては少々退屈ですが、その分、左側に富士山を眺めながらの下山が続きます。
だいぶ雲が増えてきましたが、雲がかかっている富士山もなかなか良いものです。こんなビューポイントが何か所かあります。
途中に駐車場があり、そこからは完全に車道になります。この駐車場に車を止めて、金時山まで往復する方も多いようです。少し前を歩いていた家族連れも、そのようでした。ここからなら、本当にキツイ登りは山頂直下の20分ほどだけで、そこまではお散歩レベルです。
富士山ビューの絶景スポット、足柄峠
12時半過ぎ、金時山山頂から約1時間で足柄峠に到着しました。この階段を登っていくと、見晴らしの良い足柄城址公園があります。
足柄峠には足柄城址があります。足柄城は小田原北条氏の属城で、豊臣秀吉の小田原征伐後、1590年に廃城になったそうです。
公園を少し奥へ行くと、足柄や御殿場の町と、その向こうに富士山を望む絶景スポットがあります。だいぶ雲が増えてきてしまいましたが、なかなか見晴らしの良い、気持ちの良い場所です。
ベンチがあったので、ここで休憩にしました。インスタントコーヒーとチョコレートのおやつです。
南側を見ると、1時間前まで山頂にいた金時山が見えました。
ここでしばらく休憩したあと、足柄駅方面へ下っていくことにしました。
荒れた虎御前古道を通って足柄駅へ
ここからはしばらく普通の車道を下っていきます。地図によると、県道365号線、通称「金太郎富士見ライン」という道路にようです。足柄峠と麓の小山町を結んでいます。
少し行くと、左手に「足柄古道」の入口があります。足柄峠から足柄駅まで歩く場合、この足柄古道を経由するのが一般的なようですが、現在は通行止め。昨年の台風の影響でしょうか。この表示にある別の古道の入口へ迂回します。
もはや普通の車道なので、登山としては退屈なのですが、ところどころでこんな絶景が見られるので、天気が良ければこの下山ルートを選択するのもありかなと思います。
途中、足柄駅方面への分岐がありますが、通行止め。そのまま県道365号線を進むのが正解です。
少し道路の道幅が狭くなってきたところに、「虎御前古道」の入口がありました。足柄駅方面とも書かれているので、ここで間違いないでしょう。
台風の影響でしょうか、虎御前古道はかなり荒れていました。大きな木が古道を塞いでいたり、道が大きくえぐれているところ、崩壊しているところがありました。
危険なところにはロープが張られていて入れないようになっているので、少し迂回すれば通れるのですが、道を見失わないようにする必要があります。
しばらく悪路と格闘しながら下っていくと、ようやく虎御前古道を抜けました。古道を下りきると、沢沿いの道に出ます。
このような比較的広い、林道のような道が続いています。一本道なので、迷うことはないですし、車が通れる道なので、歩きやすいです。ただ、かなり長いです……
途中には「頼光対面の滝」という小さな滝がありました。金太郎親子と源頼光が初めて対面した場所なのだそうです。
こんな岩がゴロゴロした沢に沿って歩いていきます。林道のほうは、ところどころぬかるんでいましたが、総じて歩きやすい、緩い下り坂の道でした。
沢を橋で渡ると、長かった沢沿いの道ともお別れ。少し行くと、「嶽之下宮 奥宮」がありました。ここは、竹之下の戦いの地となった場所なのだそうです。
中には小さな滝があるようですが、疲れていたので、先を急ぎます。
民家が見えてくると、足柄駅はもうすぐ! 足柄駅まであと1分と金太郎が教えてくれます。
あしがら温泉で汗を流し乾杯!
足柄駅はJR御殿場線の駅。このまま帰宅してもよいのですが、まだ早いので、少し先にある「あしがら温泉」を目指します。徒歩20分、約1.3kmとあったので楽勝かな、と思いきや…。かなりの登り坂でした。小さな山を一つ越えた先に温泉があったのでした。
コミュニティバスや路線バスもあるようなので、時間があえば、利用したほうがいいです。
「あしがら温泉」は、東名足柄バス停から徒歩2分、東名高速道路沿いにある日帰り温泉施設です。
御殿場プレミアム・アウトレットから車で10分の距離ですので、観光客やお買い物の人が多いのかな?と思いきや、地元の方々の憩いの場になっていました。
泉質は、アルカリ性単純温泉。それほど特徴のあるお湯ではないのですが、登山で疲れた体にはちょうどよかったです。
それに、露天風呂からは正面に富士山がドーンと見えます。だいぶ雲に隠れてしまっていましたが、富士山を眺めながら温泉に入れるなんて最高です。
土曜日の午後3時頃でしたが、それほど混雑はしていませんでした。登山口の近くにある温泉は、週末の午後になると混雑することが多いのですが、ここはちょっと離れているので、登山客は少なかったですね。
温泉のあとは、お決まりのビールで乾杯! 自家製麺を使用しているというもりそばも、美味しくいただきました。
「あしがら温泉」から足柄駅へは、コミュニティバスを利用しました。本数は少ないですが、あしがら温泉の受付でバスの時間を教えてもらえるので、その時間に合わせて出てきました。
御殿場線の足柄駅は無人駅。TOICAをタッチする機械がありましたが、JR東日本エリアまで帰るので、タッチせず。JRの会社またぎでは交通系ICカードは利用できないのです。結局、乗車時に整理券を受け取り、下車駅で精算しました。
国府津駅で東海道線(上野東京ライン)の列車に乗り換え、グリーン車で帰宅したのでした。(おわり)
富士山の絶景を手軽に眺められる初心者向けの山
ということで、乙女峠から金時山、足柄峠を経て、足柄駅(あしがら温泉)まで、約15キロの山行でした。
金時山は、登山口から1時間半~2時間弱で手軽に登れる初心者向けの山ですが、乙女峠や山頂からの富士山の眺めは素晴らしかったです。小さなお子様でも登れる山ですので、ご家族での登山にもおすすめですね。
下山は足柄峠~足柄駅のルートを選びましたが、正直なところ、登山ルートとしては退屈です。金時山山頂からの急坂を20分ほど降りてしまうと、あとは登山装備が不要なお散歩コースといった雰囲気です。
ただ、御殿場側に開けたルートですので、あちこちで富士山を眺めながら下山することができます。それに、足柄峠からの眺めも素晴らしいです。富士山の眺めを優先するなら、このルートもありですね。
今回の登山装備
- ヒートテック(ユニクロ)
- 長袖Tシャツ(モンベル)
- フリース(モンベル)
- トレッキングパンツ(モンベル)
- ウルトラライトダウン(ユニクロ)
- 厚手のタイツ
- スキー用靴下
- トレッキングシューズ(AKU)
- ザック(グレゴリー ZULU30)
- レインウェア上下
- チェーンスパイク(モンベル)
- トレッキングポール(シナノ)
- アルパイン サーモボトル 0.75L(モンベル)
冬の低山登山では、登っているときは、ヒートテック(インナー)、長袖Tシャツ、フリースの3枚で十分です。金時山を登っているときは、これでも暑いくらいでした。
休憩時間やお昼のときには、ユニクロのウルトラライトダウンを羽織ります。下山のときにも着ることがあります。
以上、『【箱根】富士山の絶景を見に「金時山」へ! 乙女峠~金時山~足柄峠 日帰り登山』でした。冬らしい快晴に恵まれて、乙女峠や金時山山頂から富士山の素晴らしい景色を楽しむことができました。このコース、距離はそこそこありますが、急坂は金時山の山頂前後だけですので、初心者でも歩けるコースです。絶景の富士山を眺めに行ってみてはいかがでしょうか。
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