秀麗富嶽十二景の一つ、高川山に登ってきました。初狩駅から歩いて登れるアクセス抜群&コースタイムの短い山ですが、山頂からの富士山の眺めは見事! まるで絵画のような富士山を堪能できました。下山はむすび山を経由して大月駅まで尾根を下るルートを選択。街をすぐ近くに眺めながらの山歩きも良かったです。
秀麗富嶽十二景の一つ「高川山」へ!
高川山は、山梨県大月市と都留市の境目にある標高975メートルの山です。中央本線の初狩駅や大月駅、富士急行線の禾生駅や田野倉駅などから歩いて登れるアクセス抜群の山です。
大月市が選定した「秀麗富嶽十二景」の11番に選ばれていて、山頂からの富士山の眺めが良いことでも知られています。また、山頂はほぼ360度の眺望があり、富士山だけでなく、周囲の山々を眺めることができます。
今回は、山頂までもっとも近い初狩駅からスタート。高川山に登頂したあとは、大月駅方面へ尾根を下るルートを歩いてきました。具体的には以下の地図のルートになります。
初狩駅から高川山までは約2.5km(男坂経由)、コースタイムは1時間半~2時間程度と近いです。それなりに急な登りになりますが、初心者でも十分に楽しめる山だと思います。
下りは高川山から大月の市街地へと続く尾根を歩くコース。登山道の周囲はほぼ自然林で、この時期は葉が落ちて、市街地や周囲の山々を眺めながら歩くことができます。
今回の主な行程は以下のとおりです。
- 09:00 初狩駅 出発
- 09:25 高川山(男坂・女坂ルート)登山口
- 10:05 高川山山頂 到着(お昼休憩)
- 11:05 高川山山頂 出発
- 12:05 天神峠
- 12:15 峯山
- 12:30 オキ山
- 12:50 むすび山 到着(小休止)
- 13:15 むすび山 出発
- 13:35 大月駅 下山
距離は8.7km、累積標高は上り700メートル弱でした。大月駅へ下るルートは少し距離がありますが、禾生駅や田野倉駅へ下るルートであればもう少し距離が短くなります。
【初狩駅~登山口】見晴らしの良い車道を歩いて登山口へ
いつもなら始発電車で出発するのですが、今回はコースタイムが短めなので、1時間ほど遅い午前6時半頃の電車で出発。初狩駅には午前9時前に到着しました。
初狩駅でトイレを済ませ、支度をして出発です。初狩駅は無人駅ですが、駅の外に自販機がありました。気温は0℃前後と冷え込んでいますが、歩いているうちに温まってくるでしょう。
初狩駅の前の道路を右へ進み、中央本線の線路をくぐって南側に出ます。正面に見えるのがこれから目指す高川山です。
線路をくぐったあとは、緩い斜面を登っていきます。車道ではありますが、それなりの登りなので、標高は少しずつ上がっていきます。
振り返ってみると、滝子山がきれいに見えていました。滝子山も秀麗富嶽十二景の一つで、山頂からの富士山の眺めの良い山ですが、それよりも、沢沿いを歩く登山道が記憶に残っています。
その滝子山の奥、写真の左奥には、こちらも秀麗富嶽十二景の一つ、笹子雁ガ腹摺山が見えています。まだ登ったことのない山なので、近いうちにチャレンジしたいですね。
住宅や田畑が途切れると、針葉樹の林道のような道に入っていきます。少し薄暗いですね。
林道の終点のようなところに到着しました。仮設トイレが設置されていました。まだ登山口ではないようですが、ここから先は車両は入れないようです。
少し歩くと登山口がありました。ここは「男坂・女坂コース」の登山口です。もう一つ、高川山への登山道として「沢コース」というのもありますが、登山口はもう少し先のようです。
ここまでフリースの上にソフトシェルを着て歩いてきましたが、暑くなってきたのでソフトシェルを脱いでザックの中にしまいました。
【登山口~男坂~高川山】急登が続く男坂を登って高川山山頂に登頂!
登山口からしばらく登ると、男坂と女坂の分岐があります。男坂のほうが少しコースタイムが短いですが、急登が続きます。女坂経由の道と合流すると笹の緩い道になり、山頂に到着です。
薄暗い植林帯を登る
登山口からは登山道になります。薄暗い植林帯の道がしばらく続きます。最初からそれなりの登りになりますが、登山道はよく整備されていて、危険なところはありません。登山口にクマが出没すると注意書きがあったので、熊鈴を鳴らしながら登っていきます。
傾斜は次第に急になっていきます。左側の柵の向こうでは、何か作業をしているのか、大きな音が聞こえてきます。
男坂と女坂の分岐に到着しました。男坂が左、女坂が右ですが、見るからに男坂のほうが急ですね。ですが、コースタイムがわずかに短いようなので、男坂を登っていくことにします。
明るい自然林の「男坂」を登る
男坂の前半はこれまでと同じような針葉樹が多い森の中を登りますが、直登に近いルートで、傾斜はかなり急になります。足元はザレ気味のところもありので、慎重に登っていきます。
少し登ると、植林から自然林に変わり、周囲が一気に明るくなってきました。薄暗いところに目が慣れていたので、少しまぶしいくらいです。斜面を周り込むような道では、いったん傾斜が緩くなります。
再び傾斜が急になります。急登といっても良いくらいの登りです。ロープがありますが、特に使わなくても登れます。このあたりが、一番キツイところです。
急登を登りきると、女坂と合流します。ここから先は傾斜が緩くなって歩きやすくなります。
笹の道を登って高川山山頂へ!
尾根のようなところに出たのか、右手には木々のあいまから富士山が見えてきました。その大きさにびっくり! さすがに迫力がありますね。
山頂までこのような笹の道が続きます。傾斜は緩く、歩きやすい道です。
初狩駅から1時間ちょっと、登山口から30分ほどで高川山の山頂に到着! コースタイムよりもだいぶ早く登れましたが、ゆっくり登っても2時間あれば山頂に着くと思います。
【高川山】絵画のように美しい富士山を堪能!
高川山山頂に到着し、山頂から素晴らしい富士山の眺めを堪能しました。富士山だけでなく、ほぼ全方向に視界が開けているため、周囲の山々の景色も素晴らしいです。
秀麗富嶽十二景の中でもNo.1の富士山の眺め
高川山の山頂と、山頂から眺める富士山です。山頂はそれほど広くはないですが、平日だったこともあり、先客は4~5名ほど。富士山を眺めたり、写真を撮ったりするのには十分すぎるほどのスペースがありました。
高川山から眺める富士山は素晴らしいですね。これまで、秀麗富嶽十二景の山にはいくつか登ってきましたが、その中でもNo.1と言ってよいほどの眺めです。
少し引いてみるとこんな感じです。山中湖に源を発する桂川がつくる谷の奥に富士山が見える光景が見事です。周囲の山々に富士山が抱かれているような眺めが絵画的です。
もっと富士山が大きく見える山はいくつもありますが、高川山から眺める富士山は、周囲の景色とのバランスがとても良いと感じます。
山頂にいらっしゃった年配の方が、上の写真の左手前に見える「倉見山」からの富士山の眺めも素晴らしいと教えてくれました。標高は1,256メートルと高川山より少し高いですが、こちらも駅から直接登れるアクセスの良い山のようです。
富士山を眺めながら山頂でカップヌードル
しばらく富士山の眺めを楽しんだあと、山頂の端に座って、ランチタイムです。いつもどおり、アルパインサーモボトルに入れてきたお湯でカップラーメンを作っていただきました。この時期の山頂でのカップヌードルは最高ですね。
高川山山頂の様子です。岩が多くてあまり広くはないですが、平日で人が少なかったこともあり、休憩できる場所はたくさんありました。
富士山の左側(南側)には、前述の倉見山から杓子山、御正体山へと続く山並みが一望できます。
眼下にはリニア新幹線の実験線が見えています。そのリニア新幹線のトンネルが貫いている山が九鬼山です。九鬼山も秀麗富嶽十二景の一つで、お隣の御前山とあわせて登ったことがあります。アップダウンが多めでしたが、低山らしからぬ尾根歩きを楽しめる良い山でした。
富士山の右手前に見えるのが三ツ峠山です。この山も富士山の眺めが素晴らしい山です。
予定していたよりもだいぶ早く山頂に到着できたので、山頂で1時間ほどのんびりできました。風がほとんどなかったので、寒くはなかったですね。
【高川山~大月駅】明るい尾根を下りむすび山を経由して大月駅へ
下山は、高川山から大月方面へ伸びる尾根を下るルートを選択。自然林の尾根道で、周囲の街並みを眺めながらの下山となります。途中、いくつか小ピークを通過して、大月の市街地を一望できる「むすび山」へ。むすび山から登山口に下り、大月駅まで歩きました。
急な下りと快適な尾根が繰り返し歩く
午前11時過ぎ、下山を開始します。高川山山頂からは、初狩駅から登ってきた登山道を含めて3方向に登山道が登びています。残りの二つは、富士急行線の禾生駅へ下るルートと、むすび山を経由して大月駅へ下るルートです。今回は、大月駅へ下るルートを選択しました。
山頂直下のやや急なところを下ると、このような尾根道になります。男坂を登りきるまでほとんど眺望がなかった初狩駅からのルートに比べると、こちらの道は、木々のあいまから終始近くの街並みや山々を眺めながら歩くことができます。
すぐに分岐に着きました。ここを右へ行くと富士急行線の田野倉駅方面へ下ることができるようです。距離的には田野倉駅のほうが近いですが、今日はこの明るい尾根道を大月駅まで歩くことにします。
高川山から大月駅方面へのルートは、急な下りと、ほぼ平坦な明るい尾根道が繰り返し出てきます。急な下りになっているところは、乾いた土に砂や小さな礫がのっていてとても滑りやすいです。さらに、この時期は落ち葉もあるので、慎重に下っていきます。
右側には道志山塊の山並みが見えます。眼下にはすぐ近くの町が見えますね。町のすぐ近くの尾根を歩いていることがわかります。
徐々に標高を下げて天神峠へ
再び急な下り坂。滑らないように慎重に下ります。目の前に見える街並みがだんだんと近くなってきます。
田野倉駅への分岐です。高川山周辺の登山道はあちこちで分岐していて、ルートが多彩です。登山道を歩いている限り、道に迷うようなことはなさそうですが、分岐で進む方向を間違えないように気をつけましょう。
「馬頭観音」の分岐です。ここは少しわかりづらいですが、むすび山を経由して大月方面へ向かうには直進です。右側は田野倉駅へ下る道のようです。
馬頭観音からしばらく下ると、やや薄暗い森の中に「天神峠」があります。このお社の少し下ですね。分岐になっていますが、むすび山の方へ登り返していきます。
小ピーク、峯山・オキ山を通過
高川山山頂からここまで、急な下りとほぼ平坦な道の繰り返しでしたが、天神峠からは少しだけ登り返しになります。この先、いくつか小ピークを通過していくためです。この道は峯山への登りです。
峯山に到着しました。ふつうに登山道が続いているだけで山頂っぽさはないですが、よく見ると木に「峯山」とかかれた札が架けられています。標高は584メートルで、天神峠から70メートルほどの登り返しです。
峯山から先は明るい尾根道が続きます。少し登り返すと……
次のピーク「オキ山」に到着しました。標高は512メートルで、峯山よりも少し低いくらいです。こちらも特に山頂っぽいものはあまりなく、上の写真のように木にかけられた小さな板切れがあるだけです。
振り返ると、高川山が見えました。だいぶ遠くまで歩いてきたようです。
ほぼ平坦な道を歩いてむすび山へ
オキ山から少し下ると、これまでの尾根道とは少し雰囲気が変わり、笹の道になります。眼下にはすぐ近くに町が見え、だいぶ標高が下がってきたことがわかります。しばらく平坦な道が続きます。
本当にすぐ近くに町が見えます。逆光でわかりづらいですが、右上にはうっすらと富士山が見えています。
平坦な道からわずかに登り返すと、再び尾根道になります。
すぐに小さな広場になっている「むすび山」に到着しました。
防空監視哨が置かれていた「むすび山」
むすび山からは、大月の町を一望できます。すぐ近くに標柱がありますが、「むすび山」と書いてあるわけではなく、「大月防空監視哨跡」とあります。戦時中には、この場所に空を監視する「防空監視哨」が置かれていました。大月の町のすぐ近くにある見晴らしの良いむすび山から、敵の戦闘機の動きを監視していたわけです。
すぐ近くには大きな穴がありますが、これは「聴音壕」です。視覚で確認するだけでなく、この穴の中から、敵の戦闘機の音を聞くことで、飛んでくる方角を知ることができたのだそうです。
この小さな広場になったところには、大月防空監視哨の事務所が建てられていたそうです。
このむすび山は、大月の市街地のすぐ近くにあり、大月の市街地はもちろん、大月のシンボルでもある岩殿山、その奥の百蔵山まで見渡すことができます。大月駅の近くにある東横インも目立ちますね。
もう大月駅は目と鼻の先ですが、見晴らしの良いところにあったベンチで、コーヒーを飲みながら休憩しました。
むすび山から下って大月駅へ
むすび山から登山口までは10分もかからずに下れます。むすび山は、大月の町から見れば裏山のような存在ですね。民家の庭先のようなところを通って舗装路に出ました。
急な舗装路を少し下ると、車道にぶつかります。ここに「むすび山展望台登山口」の案内がありました。そう、まさに展望台でしたね。
病院の脇を通って少し車道を下ると橋を渡ります。正面には岩殿山と百蔵山がきれいに見えますね。
富士急行線の上大月駅を通過します。大月駅まで一駅、電車に乗っても良いのですが、次の電車まで30分もあったので、歩くことにします。歩いても10分かからないくらいです。
無事に大月駅に到着しました。お腹が空いたので、早速お昼に。
大月周辺の山に登ったあとによく立ち寄る駅前の「濱野屋」さんで、生ビールと茶そばセットをいただきました。ほうとうもおいしいお店なのですが、ちょっと暑くてほうとうよりお蕎麦を食べたかったのでした。
高川山は駅から歩いて登れる富士山絶景の山!
高川山には何度も登りたいと思っていながら、いつでも登れるからと後回しになっていたのですが、ようやく登ることができました。感想としては、「もっと早く登ればよかった!」ですね(笑)
河口湖や山中湖周辺の山など、もっと大きく富士山を眺められる山はたくさんありますが、高川山から眺める富士山は、富士山そのものはもちろん、周囲の風景がとても良く富士山とマッチしていて、本当に絵になるのですよね。
これまでも冬になると秀麗富嶽十二景の山によく登っているのですが、やはり冬が一番ですね。富士山が雪をかぶっていて、空気が澄んだ晴れた日を狙うと良いと思います。それほど雪が降るエリアではないですが、いったん雪が降ると登山道が凍結することもあるので、事前に登山道の状況をよく調べておくことをおすすめします。チェーンスパイクをザックに入れておくと安心です。
下山は大月駅まで尾根を下るルートを選びましたが、こちらは明るい尾根道で、木々のあいまから周囲の山々や街並みを眺めながら歩けますのでおすすめです。他のルートよりも少し長めではありますが、いくつかある急な下りさえ気をつければ、特に危険なところはありません。
今回の主な登山装備
- 長袖のメリノウールアンダーウェア(モンベル)
- 長袖の化繊ウェア(モンベル)
- フリース(クリマプラス100 ジャケット/モンベル)
- ソフトシェル(モンベル)
- トレッキングパンツ(モンベル)
- 登山靴(マウンテンクルーザー600)
- ザック(グレゴリー ZULE30)
- レインウェア(レイントレッカージャケット+サンダーパスパンツ モンベル)
- 膝サポーター(ザムスト EK-3)
- トレッキングポール(シナノ)
- 飲み物(アルパインサーモボトル750ml+ペットボトルの水500ml×2本)
- お昼ご飯、行動食等
- ファーストエイドキット
- ヘッドライト
12月下旬ということで、いつもの長袖のアンダーウェア+長袖シャツの上にフリースを着ました。初狩駅をスタートするときはかなり寒かったので、その上にソフトシェルも着ましたが、すぐに暑くなってしまったので登山口で脱いでしまいました。
下山中は、標高が低いうえに、この時期としてはやや気温が高めだったこともあり、フリースも脱いで、長袖アンダーウェア+シャツの2枚で十分でした。フリースは保温性が高いうえに汗抜けも良いので便利なのですが、暑くなって脱いだ時にかさばるのがネックですね。でもこの時期の定番ウェアになっています。
以上、「【秀麗富嶽十二景】高川山から絵画のような富士山を眺める冬の山歩き!」でした。駅から手軽に登れて、山頂から素晴らしい富士山を眺めることのできる高川山は、初心者にもおすすめの山です。
関連記事
大月周辺の富士山ビューの山「秀麗富嶽十二景」の登山日記をまとめたページです。駅から歩いて登れる山もまとめていますので、ぜひご覧ください。
コメント