秀麗富嶽十二景の十番「御前山」と「九鬼山」に登ってきました。標高1,000mに満たない低山ですが、アップダウンが多い尾根歩きを楽しめるコースです。富士山の眺めはもちろんのこと、九鬼山山頂からの大月周辺や奥多摩方面の眺めも素晴らしいです。
秀麗富嶽十二景「御前山」と「九鬼山」を縦走するコース
冬になると登りたくなるのが、大月市が選定した富士山の眺めが良い山「秀麗富嶽十二景」です。キリっとした冷たい空気の中、山頂に到着すると、目の前には富士山がどーん! というのを楽しみたいのです。
今回は、秀麗富嶽十二景の十番に選ばれている「御前山」と「九鬼山」を縦走するコースを歩いてきました。
猿橋駅からスタートし、まずは御前山に登ります。御前山で富士山の眺めを楽しんだあとは、いくつもの小ピークを超え、札金峠で一気に標高を下げます。その後、標高差350m弱を登り返して、標高970mの九鬼山へ登り返します。九鬼山から富士急行線の禾生(かせい)駅に下ってゴール、というコースです。
標高1,000mに満たない山ですが、御前山と九鬼山以外にも小ピークが多数あり、アップダウンが多いコースです。御前山から馬立山の間の尾根歩きは、低山とは思えない道で素晴らしいです。
今回の主な行程は以下のとおりです。
- 08:35 猿橋駅 出発
- 08:50 登山口
- 09:40 御前山 到着(小休止)
- 10:00 御前山 出発
- 11:00 札金峠
- 11:40 九鬼山 到着(お昼休憩)
- 12:30 九鬼山 出発
- 13:45 禾生駅 下山
距離9.7km、累積標高(上り)は1,027メートルでした。標準コースタイムは5時間~5時間半くらいのコースですので、この時期の日帰り登山にちょうどよいと思います。
御前山・九鬼山登山口への公共交通機関でのアクセス
御前山、九鬼山ともに駅から直接登れる山ですので、アクセスは良好です。
- 御前山登山口
- JR中央本線 猿橋駅から徒歩15分(車道歩き)
- 九鬼山登山口
- 富士急行線 禾生駅から徒歩15分(車道歩き)
いずれも、駅から車道を歩いて15分ほどのところに登山口があります。
日中時間帯、JR中央本線(猿橋駅)は1時間に2本程度、富士急行線(禾生駅)は1時間に1本程度の列車があります。禾生駅は富士急行線の駅で、大月駅から3駅目。列車の本数がやや少ないので、下山した時刻によっては、少し列車を待つことになるかもしれません。富士急行線は交通系ICカードが使えます。
なお、今回歩いたコース以外にも、登山道はあちこちに通じていて、御前山から菊花山を経由して大月駅へ下りるルートなどを取ることもできます。時間や体力に応じて、いろいろ行程が組めるエリアです。
【御前山】登山口から急登を登って富士山の眺めが素晴らしい御前山へ
猿橋駅から15分ほどのところにある登山口から尾根に出て御前山へ。御前山の山頂は岩が多くて狭いですが、富士山の眺めが素晴らしく、まさに「秀麗富嶽十二景」にふさわしい眺望です。
厳寒の猿橋駅からスタート!
午前8時20分に猿橋駅に到着。南口には駐車場がある以外には何もありません。トイレは北口と改札内にありますが、改札を出る前に改札内のトイレをお借りしました。
大月のアメダスの気温はマイナス6℃! かなり寒かったですが、南口の誰もいないところで準備をして、8時35分ごろに出発!
猿橋駅南口からすぐのところにあるこの信号を右へ曲がり、しばらく車道沿いに歩きます。
しばらく歩くと大きめの車道にぶつかるので、ここを左へ。大月エリアではおなじみの道標がありましたので、これに従って行けば大丈夫です。
トンネルもありますが、歩道があるので安心です。クルマもそれほど多くありませんでした。
トンネルを抜けると見晴らしの良いところに出ます。右手には、秀麗富嶽十二景の百蔵山と扇山がきれいに見えていました。この2つの山は、以前登ったことがあります。おそらく、秀麗富嶽十二景の山の中では、高川山と並んで最も人気のある山でしょう。

景色を見ながら緩い坂道を登っていくと、車道の右側に登山口がありました。ぼーっと歩いていると見落としてしまいそうですね……。
薄暗い植林帯から尾根の急登へ
猿橋駅から15分ほどで登山口に到着。「熊出没注意」とあるので、熊鈴を鳴らしながら登っていきます。この真冬の時期に熊が出るのかはわかりませんが、奥多摩あたりでは真冬でも目撃情報があるとのことなので、油断ならないですね。
登山口から薄暗い植林帯の中を登っていきます。北西側の斜面なので、この時間になってようやく上のほうに日が差し込んできました。こんな道がずっと続くのかなと思いきや……
10分ほどで、すぐに明るい尾根のようなところに出ました。ここからずっと尾根沿いに登っていきます。
この尾根がかなりの急登! 落ち葉が多くて滑りやすいところがあるうえに、登山道が隠されてしまって、道がわかりづらいところもありました。YAMAPのルートを見ながら登りましたが、基本的には尾根の上を登っていけば間違いないようです。
東側が開けたところには、台地の上に大きな住宅街が見えました。ここはJR東日本が開発した「パストラルびゅう桂台」という宅地です。以前は、猿橋駅の近くからモノレールのようなものがあったそうですが、今は廃止され、エレベータが設置されています。
先ほど、登山口まで歩いてきた車道は、この住宅地へと続いているようですね。
尾根をひたすら登っていきます。明るいのはいいのですが、かなり急な登りが続きます。一気に標高を上げるタイプの山ですね。
眺望のないピーク「神楽山」に寄り道
急登がひと段落すると、快適な尾根歩きになります。多少のアップダウンはありますが、傾斜はだいぶ緩やかになりました。このあたりで標高600mくらい。猿橋駅から300メートルちょっとしか標高が上がっていませんが、低山とは思えない開放感のある尾根歩きが楽しめます。
しばらく尾根を歩いていくと分岐がありました。メインの登山道は右ですが、地図を見るとすぐ近くに「神楽山」というピークがあるようなので、寄り道をしてみます。
先ほどの分岐から3分ほど登ると「神楽山」に到着しました。山頂は狭く、写真に写っている山名板とアンテナのようなものが立っているだけでした。眺望もありません。
あえて寄り道するほどのところではないかもしれませんが、往復10分もかからないので、時間があれば寄ってもいいかな、くらいですね。
先ほどの分岐まで戻り、先へ進みます。しばらく平坦な道を行くと、目の前に大きなピークが見えてきました。どうやらあれが最初に目指す御前山のようです。
案の定、御前山の山頂に向けて急登が始まりました。とはいえ、先ほど見上げた感じの高さであれば、それほど長くは続かないでしょう。
長くは続かないものの、かなりの急登! 雪がなくてよかったです。
急登を登りきると分岐があります。御前山の山頂は、この分岐を左へ少し登ったところです。
富士山の眺めが素晴らしい御前山に登頂!
秀麗富嶽十二景 十番の一つ「御前山」に到着しました! 神楽山に寄り道したものの、猿橋駅から約1時間で到着しました。
そして、御前山の山頂からは、富士山が見事! さすがに秀麗富嶽十二景に名を連ねるだけのことはありますね。駅から1時間でこの絶景ですから、お得な(?)山だと思います。
少し引いてみると、山頂に生えている松の木が良い味を出しています。手前に山があるので、富士山は中腹より上しか見えませんが、それがまたいいですね。
富士山の左手前の山は杓子山、左端の黒々とした山が九鬼山で、写真手前の山並みがこれから歩く尾根です。かなりアップダウンがありそうですね……。
御前山山頂の様子です。岩が多く、あまり広くありません。登山道は右側に続いていて、岩の左側は断崖絶壁になっています。恐る恐るのぞいてみましたが、落ちたらひとたまりもなさそうです。
幸い、空いていたので、安全なところに腰を下ろし、富士山を眺めながら行動食を食べました。
【御前山~九鬼山】小ピークをいくつも超えて札金峠から350メートルの登り返し!
御前山から九鬼山へは、いくつもの小ピークを超えていきます。小刻みなアップダウンが続く区間を超えて、札金峠まで大きく下ると、九鬼山へ向けて長い登り返しに。山頂直下はまさに「急登」で、なかなかに侮れないルートです。
大きな岩を巻いて「沢井沢ノ頭」へ
御前山の山頂から分岐に戻り、先に進みます。すぐに大月方面への分岐があります。
しばらく尾根道を歩いていくと、目の前に大きな岩が見えてきました。一瞬、「これを登るの?」と思いましたが、どうやら左側に道が続いているようです。
登山道から見上げると、かなり巨大な岩ですね。
先ほどの大岩からしばらくは平穏な道が続きましたが、再び登りに転じました。写真は、ピークの直下と思われる急登です。短いですが、かなり急でした。
急登を登りきると、「沢井沢ノ頭」という面白い名前のピークに。ピークっぽくはありますが、道標がある以外には特に何もありません。ただ、葉っぱが落ちた木々の間からは、青い空ときれいな山並みが見え、なかなか気分の良いところです。
快適な尾根歩きで次のピーク「小沢ノ頭」へ
沢井沢ノ頭から少し下ると、とても快適な尾根のトレイルへ。こういう道があちこちにあるのが、このコースの良いところですね。全般的に登山道が明るいのが、このコースの特徴と言えそうです。
ですが、すぐにまた登りになります。ここを登りきると……
再び小ピークに到着。山名が書かれたものがないなと探していると……
山名と標高が書かれた赤いテープが木に巻き付けられていました。まあ、これだけ小ピークが続くと、全てのピークに道標や山名板を設置するのも大変ですからね。特に分岐があるわけでもないので、これで済ませたのでしょう。
トラバースの急登を登りきって最後の小ピーク「馬立山」へ
小沢ノ頭から少し下ると、またすぐに登りになります。ここの登りは、尾根からやや外れて、山腹をトラバース気味に登っていきます。
道が狭くて、やや崩れかかっているところもあるので、慎重に登りました。山側にはロープが設置されていますが、何となく頼りなくて、これをつかんで登るものでもなさそうです。滑り落ちそうになった時に、落ちるのを防止するためのものでしょう。
何とか登りきると、「馬立山」というピークに到着しました。ここには道標がありました。標高は797メートルで、ピークを超えるごとに少しずつ高くなっていきます。
馬立山から南側には、九鬼山が見えました。まだ少し距離がありそうですね。それに、手前側の尾根を見ると、かなり下ってからの登り返しになりそうなので、覚悟して進むことにしましょう。
ザレ気味の急斜面を一気に下って札金峠へ
馬立山からは一気に標高を落とします。急斜面のうえにザレ気味。さらに落ち葉が多いところもあって滑りやすいので、慎重に下っていきます。
いったん平坦なところに出ますが、またすぐに急斜面を下っていきます。目の前に九鬼山が見えるのですが、どんどん見上げる高さになっていきます。どこまで下るんでしょうか……。
何とか急斜面を下り切って、傾斜が緩やかになったかと思うと、薄暗い植林帯に入っていました。もう下山してしまうのではないかという雰囲気ですね。これから今回のルートの最高峰に登るはずなのですが。
しばらく下ると、「札金峠」なる峠に出ました。「札」に「金」なんて縁起が良さそうな地名です。林道っぽい古くからの道が通っていました。上の写真の右側から出てきて、左側から九鬼山へ登り返します。前に見えるのが、その林道のような道です。
ちなみに標高は630メートル。馬立山から150メートル以上も下ってしまいました。九鬼山は970メートルなので、ここから350メートル弱の登り返しが始まります。覚悟して行きましょう。
緩やかな登り返しで眺望が良い「紺屋の休場」へ
札金峠からの登り返しは、最初は緩やかです。やや落ち葉が多いですが、比較的歩きやすい道が続きます。
田野倉駅から登ってくる登山道と合流しました。九鬼山にだけ登るのならば、田野倉駅からここを登ってくれば良いのですね。でも御前山はすごく富士山の眺めがよかったので、できれば御前山からの縦走をおすすめします。
しばらく樹林帯を登っていくと、登山道の横に鉄塔のようなものがあるところに出ました。高圧線にしては低いので、荷物を運搬するためのロープウェイのようなものでもあったのかもしれません。
すぐに「紺屋の休場」という開けたところに出ます。ここからは、三ッ峠山がよく見えました。写真の左側のアンテナが立っている山が三ッ峠山ですね。河口湖の東側に聳える、富士山の眺めが素晴らしい山です。
少し景色を眺めながら休憩して、これから先の最後の登りに備えました。
雪がうっすらと積もるトラバース気味の道
紺屋の休場から先は、うっすらと雪が積もっています。九鬼山の北側斜面をトラバース気味に巻いていくように登山道が付けられています。道が狭いのと、落ち葉も多いので、崖側に滑落しないように慎重に歩きます。
チェーンスパイクをザックに入れてきましたが、使うほどではありませんでした。雪よりも、雪が溶けて濡れた落ち葉の方が滑りやすくて怖いです。
ところどころ、登山道の上に落ち葉が盛大に積もっているところがあります。こういうところは、ちょっと怖いですね……。傾斜が比較的緩やかなのが救いです。
トラバースの道が終わると、急に雪がなくなりました。地図を見てみると、ここからは尾根伝いに山頂まで一気に登るようです。何本も等高線をまたいでいくので、かなりの急登でしょう。
岩が多めの急登を登りきって九鬼山山頂へ!
予想どおり、すぐに尾根の急登が始まりました。落ち葉が多く、滑りやすいです。
傾斜はだんだん急になり、ロープも出てきました。まあ、ロープを使わなくても登れるくらいですが。
ここを登り切れば山頂かな? と思っていたら、そんなことはなく、まだ登りは続きます。
少し平坦な道を挟んで、今度は山頂直下の岩場の急登! ここは雪が少し残っていて滑りやすかったので、慎重に登りました。正真正銘「急登」といってよい斜度です。
ここを下ってくる方とすれ違いましたが、下りはかなり怖そうでした。
今日一番のキツい登り! 標高差300m以上の登り返しの最後がこの登りというのは、なかなかにしんどいです。
最後の急登を登りきると、ようやく秀麗富嶽十二景「九鬼山」の山頂に到着!
【九鬼山】富士山よりも小金沢連嶺や奥多摩の眺めが素晴らしい山頂
秀麗富嶽十二景の山ということで、富士山を見てみましたが、雲に隠れてしまって、上の方が少し見えるくらい。このあと、完全に雲の中に隠れてしまいました。
富士山は、山名板や山頂標柱がある側とは反対側に見えるのですが、無理やり木を切り開いたようなところから見える程度です。御前山のほうが視界が開けていましたので、富士山を見るなら御前山の方が断然おすすめですね。
九鬼山の山頂からの景色は、北側の小金沢連嶺や奥多摩の山並みのほうが圧倒的に優れています。
小金沢連嶺は、大菩薩嶺から滝子山まで続く標高2,000m前後の尾根で、秀麗富嶽十二景の山が多く含まれています。九鬼山の山頂からは、上の写真で言うと、左側(西側)から、滝子山、ハマイバ丸、大蔵高山、牛奥ノ雁ヶ腹摺山が見えています。なかなか壮観です。
こちらの山の影が山腹に落ちているのも面白いですね。
少し目を右側(北東側)に移すと、最も手前には今日歩いてきた御前山から続く尾根が見えています。その向こう、写真右端に見えるのは百蔵山でしょうか。
一番奥の山並みは奥多摩の山々。写真中央左の一番高いのが雲取山で、右側に伸びているのが石尾根のようです。鷹ノ巣山や、石尾根の手前にある三頭山も見えますね。
富士山は残念でしたが、北側のほうはきれいに晴れていて、空気も澄んでいたので、素晴らしい景色を眺めることができました。
少し風が冷たいのですが、ここでお昼にします。いつもどおり、持参したカップヌードルに、サーマルボトルに入れてきたお湯を注いでいただきます。
山頂はそれほど広くはないのですが、3名グループとソロの方が1名のみ。御前山もそうでしたが、このルートは歩く人があまり多くないようですね。
絶景を眺めながら、食後のコーヒーも。かなり寒いので、温かい飲み物がおいしいです。
お昼を食べている間に、みなさん出発されてしまい、山頂を独り占め。山頂はこんな感じで、ベンチがいくつかありますが、それほど広くはありません。
この景色は名残惜しいですが、あまり長居すると体が冷えてしまうので、そろそろ下山することにしましょう。
【九鬼山~禾生駅】リニア実験線と水路橋のある登山口へ下山
九鬼山の山頂から急坂を下って禾生駅へと下山します。登山口の近くにはリニア実験線の高架と、明治時代に水力発電のために建設されたという落合水路橋があり、これらを眺めながら禾生駅へと向かいます。
急坂を下って眺望の良い天狗岩へ
山頂から下り始めると、すぐに「富士見平」の分岐があります。道標には「落合橋」とありますが、禾生駅や田野倉駅方面へはここを右へ下っていけばOKです。
富士見平の分岐からは、かなり急な下りが続きます。急斜面につづら折りにつけられた登山道を下っていきますが、落ち葉が多いところもあり、滑らないように注意して下っていきます。
御前山から九鬼山への最後の登りもキツかったですが、こちらから登るのも大変そうですね。
しばらく、この急な下りが続きます。幸い、登山道にはほとんど雪がないので、滑り止めを使う必要はありませんでした。
途中に「眺めよし 天狗岩」という看板がありました。「眺めよし」と言われたら、見に行かざるを得ません。今日は時間的にはかなり余裕があるので、少し寄り道していきましょう。
山腹を巻くような道を2~3分ほど歩くと、天狗岩がありました。写真手前の岩が天狗岩のようです。
おそらく富士山の眺めが良いところなんでしょうけど、富士山はもう完全に雲の中。それでも、ここから禾生駅へ下るルートで、これほど視界が開けたところは他にないので、立ち寄ってみても良いでしょう。先ほどの分岐から往復しても5分ほどですし。
木々の間からリニア実験線の高架橋を眺めながら登山口へ
分岐まで戻って再び下ります。まだしばらく急坂が続きます。
ひとしきり急坂を下るり終えると、明るくて緩やかな道になりました。
田野倉駅方面と禾生駅方面の分岐です。どちらに下っても良いのですが、多少距離が短い(はずの)禾生駅へと下ります。
分岐から先、登山口までは30分ほどですが、植林帯の道を下っていきます。特に危険箇所もなく、淡々と下るだけです。
ところどころ、木々の間からリニア実験線の高架橋がちらちらと見えています。「山梨リニア実験線」の一部で、総延長は42.8kmにも及ぶそうです。リニア中央新幹線が開業する際には、この実験線もその一部として利用されるのだとか。
あっという間に登山口まで下山してきました。登山口には愛宕神社があり、立派な鳥居もあります。
愛宕神社の脇からは、先ほど下山途中で見えたリニア実験線の高架橋がすぐ近くに見えます。この写真の右側でトンネルに入り、九鬼山山頂の真下を通っているのです。
レンガ造りの落合水路橋を眺めて禾生駅へ
登山口のすぐ下には、レンガ造りの立派な橋がありました。
この橋は「駒橋発電所落合水路橋」で、大月にある駒橋発電所に水力発電で使用する水を送るための水道橋です。明治40年(1907年)に建設され、登録有形文化財に指定されています。
正面から見てみましたが、なかなか立派なアーチ形をしていますね。建設されてから100年以上も経過していますが、現在も現役で使われているとのこと。
その水路橋の近くからは、リニア実験線の高架橋を見渡すことができます。こちらは、未来を担うインフラですが、100年後も現役であり続けるのでしょうか。
水路橋の下をくぐって車道へでます。天井から水が滴っていて、小さなつららがたくさんありました。
振り返ると、先ほど登ってきた九鬼山が見えました。ここから見ると、何ということのない里山に見えますが、標高1,000メートルに迫ろうかという山なんですよね。このあたりの標高が400メートル前後と高いせいでしょう。
車道を15分ほど歩いて、禾生駅に到着しました。富士急行線の電車は30分~1時間に1本ほど。ザックの中を片づけたり、温かい缶コーヒーを飲んだりして時間をつぶして、大月駅へ向かいました。
大月駅前のお店で、生ビールとほうとうで乾杯! 寒い時期はほうとうがおいしいですね。
このあとは中央本線の特急「かいじ」で帰宅しました。
アップダウンが多くて歩きごたえのある御前山~九鬼山
ということで、秀麗富嶽十二景の十番に選ばれている御前山と九鬼山に登ってきました。
富士山の眺めという点では、御前山の方が明らかに勝っていますね。御前山山頂は狭いですが、富士山の眺めは素晴らしかったです。周囲の山並みも含めて、まさに「秀麗」というにふさわしい眺めでした。
一方、九鬼山は、北側の小金沢連嶺や奥多摩の山並みの眺望が素晴らしいです。遮るものがほとんどなく、きれいに見渡すことができます。富士山の眺めはさておいても、この北側の眺望だけでも登る価値がある山だと思います。
御前山~九鬼山の尾根道は、細かなアップダウンがありつつも、標高700m前後とは思えない明るくて開放的な尾根歩きを楽しめました。基本的に樹林帯なので、すっきりと見渡せるところは多くありませんが、落葉したこの時期であれば、木々の間から眺望を楽しめます。
そして、このルートの最難関は、札金峠から九鬼山への登り返し。標高差350m近くの登り返しになりますし、山頂直下はかなりの急登なので、なかなかにキツかったです。
猿橋駅からスタートして禾生駅まで約10kmの道のり。冬の空気が澄んだ時期に日帰りで歩くにはちょうどよい距離とコースタイムのルートだと思います。
お天気の良い日曜日だったのに、思ったよりも人が少なくて静かだったのは意外でした。秀麗富嶽十二景の山の中でもマイナーなのかもしれませんが、静かな山歩きを楽しみたい方には良いルートかもしれません。
今回の主な登山装備
- メリノウールの長袖アンダーシャツ(モンベル)
- 化繊の長袖シャツ(ワークマン)
- 厚手のフリース(モンベル)
- ソフトシェル(モンベル)
- アルパインライトパンツ(ノースフェイス)
- 登山靴(モンベル アルパインクルーザー2300)
- ザック(グレゴリー ZULU30)
- レインウェア上下 ※利用せず
- 膝サポーター(ザムスト EK-3)
- 飲み物(お湯750ml+ペットボトル500ml×2本)
- お昼ご飯(カップヌードル1個)、行動食
- ファーストエイドキット
- ヘッドライト
猿橋駅を出発した時はマイナス6℃とかなり寒く、フリースの上にソフトシェルを着て歩き始めました。が、登山口に入って登り始めるとすぐに暑くなり、フリースを脱いで、メリノウールの長袖アンダー、化繊の長袖シャツ、ソフトシェルの3枚で登りました。結局、九鬼山山頂での休憩以外は、この3枚で行動しました。
以上、「【秀麗富嶽十二景】低山ながら歩きごたえのある尾根歩きを楽しめる御前山・九鬼山で富士山を眺める山旅!」でした。富士山の眺めはもちろんのこと、低山らしからぬ尾根歩きや、アップダウン多めのルートなど、歩きごたえもあるコースでした。人が少なかったので、静かな山歩きを楽しみたい方にもおすすめです。
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九鬼山・御前山の東側に連なる秀麗富嶽十二景九番の山「高畑山」「倉岳山」の登山記録です。

九鬼山山頂から良く見えた滝子山の登山記録です。標高1,620メートルと高いため、単独でも登りごたえのある山です。沢沿いを登るルートのあちこちに滝が点在します。

秀麗富嶽十二景の登山日記を集めたページです。

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