2020年8月下旬、山麓の前橋市の気温が38℃に迫ろうかという猛暑の日に、赤城山の黒檜山~駒ヶ岳を縦走してきました。初級者でも登れる日本百名山の定番ルート。登頂した頃にはガスってしまい、眺望は残念でしたが、ともかく日本百名山に登れたのでよしとします。
赤城山は「大沼」を囲む外輪山、主峰は黒檜山
赤城山といえば群馬を代表する名山ですが、日本百名山の一つにも選ばれています。
カルデラ湖である大沼(おの)を中心に、その周囲に外輪山が取り囲みます。赤城山というピークはなく、これらの外輪山の総称となっています。
今回は、大沼の東側に聳える赤城山の主峰「黒檜山」(くろびさん)から「駒ヶ岳」へと縦走するコースで登ってきました。赤城山の定番コースですね。
今回の行程は以下のとおりです。
- 09:10 あかぎ広場前バス停 到着
- 09:30 黒檜山登山口 到着
- 10:40 黒檜山山頂 到着
- 11:00 黒檜山山頂 出発
- 11:40 駒ヶ岳山頂 到着
- 12:20 駒ヶ岳山頂 下山開始
- 12:55 赤城駒ヶ岳登山口
全行程で約6kmと、比較的お手軽なコースです。黒檜山登山口から黒檜山までは急登続きでキツイですが、それ以外は登山道が整備されていて、ハイキング気分で歩けます。ただ、標高は1,800メートルを超えるので、登山装備が望ましいです。
電車とバスを乗り継いで赤城山へ
8月下旬の金曜日、始発電車に乗ってスタートです。高崎駅で高崎線から両毛線の電車に乗り換えて、約15分で前橋駅に到着です。
前橋駅には午前7時過ぎに到着。平日ということもあり、通勤通学の方々で賑わっていました。
前橋駅から、路線バスを2本乗り継いでいきます。土休日には、赤城山までの直行バスもあるのですが、平日は、途中の富士見温泉で乗り換えが必要です。
前橋の市街地を抜け、どんどん北に向かっていき、赤城山が近くに見えてくると、富士見温泉に到着です。ここから先に行くのは観光客か登山者のみです。
富士見温泉から赤城山方面へは、山道をどんどんと登っていきます。右へ左へとカーブする山道を登り切って、大沼が見えてくると、まもなく赤城山です。
午前9時10分頃に「あかぎ広場前バス停」に到着。広い駐車場になっていて、売店・お土産屋やトイレがあります。ここでトイレを済ませて、支度をして出発です。
道路と反対側を見上げると、これから登る黒檜山や駒ヶ岳が見えていました。このときはまだ晴れていたんですよね…
赤城神社を眺めながら黒檜山登山口へ
あかぎ広場前バス停から黒檜山の登山口までは、大沼に沿って車道を歩いていきます。
途中、大沼にかかる赤い橋が見えてきます。「赤城神社啄木鳥橋」です。とても鮮やかな橋なのですが、残念ながら老朽化しているということで、渡れなくなっています。
大沼を周遊する道路の脇に、黒檜山登山口がありました。あかぎ広場前バス停からは15分くらい歩きますが、大沼や赤城神社を眺めながら歩いていれば、あっという間です。
急登続きの黒檜山への登山道
登山道へ入ると、いきなり急登が始まります。始まる、というより、黒檜山山頂付近の稜線に出るまでは、ずっとこんな急登が続いていきます。しかも、大きな岩がゴロゴロしている歩きにくい道です。
今回、距離が短いし、岩が多い道だと邪魔になるかと思って、トレッキングポールを持ってこなかったのですが、この登山道はあったほうがよかったですね。
ところどころ、このように広くなっていますが、急登であることは変わりません。気温が高めだったこともあるのですが、風が通り抜けるような道ではないので、登り始めてすぐに汗だくになってしまいました。
登り始めて10分ちょっとで、視界が開ける場所に出ました。大沼と赤城神社、それに、対岸の外輪山を一望できる絶景ポイントです。対岸の大きな山は「地蔵岳」でしょうか。水分補給をしながら、しばし、この景色を眺めていました。
黒檜山の山頂まで、ところどころ景色を眺められる場所があるので、そこで休憩するのがよさそうです。
絶景もつかの間、登山道に戻ると急登が続いていきます。こんなところもありますが、なるべく足を上げずに登れるルートを探しながら、少しずつ登っていきます。
登り始めて30分ちょっと、再び景色を見渡せるポイントがありました。先ほどよりも標高が上がったため、見渡せる範囲も広くなってきました。ちょっと雲が増えてきてしまいましたが……
対岸の地蔵岳のアンテナの左隣に富士山が見えるそうですが、さすがに真夏のこの時期では無理ですね。雲も湧いてきてしまったので、大沼の周りの外輪山までしか見えませんでした。
黒檜山山頂に到着! 絶景スポットはガスでほとんど見えず
10時40分、登山口から登り始めて約70分で山頂に到着しました。標高1,828メートル、赤城山の最高峰「黒檜山」の山頂です。
距離や標高差のわりにかなりキツかったのですが、コースタイムだと90分になっているので、ちょっとオーバーペースだったようです。
黒檜山山頂にある三等三角点。
黒檜山の山頂は小さな広場になっていますが、木に囲まれていて、眺望はあまりありませんでした。「絶景スポット」へ向かってみます。
黒檜山山頂から5分弱で「絶景スポット」に到着。西側が開けている広場でしたが、残念ながら真っ白。たまにガスが薄くなっても、大沼がかろうじて見えるくらいでした。
ガスが斜面を駆け上ってきて涼しかったので、ここで小休止。行動食を食べて、水分補給をしました。その間も、ガスは晴れず。これ以上は期待できないかなと、15分ほどで休憩を切り上げて、黒檜山の山頂へ戻りました。
黒檜山から駒ヶ岳へ縦走、歩きやすくてハイキングに最適!
黒檜山からは、一つ南側にある外輪山のピーク「駒ヶ岳」へと縦走します。縦走といっても、コースタイムは50分ほど。急坂には階段が整備されていて、歩きやすい登山道です。
黒檜山山頂から駒ヶ岳へと歩き出し、黒檜山登山口から登ってきた登山道を通り過ぎると、すぐに開けた場所に出ました。ここには、黒檜山神社の鳥居があり、その横には「黒檜山大神」という岩が祀られていました。小さな広場になっていて、休憩にもよさそうです。
黒檜山登山口から黒檜山山頂への岩だらけの急登とは異なり、駒ヶ岳への縦走路は、階段が整備されています。黒檜山神社からは、このような階段をどんどん下っていきます。
黒檜山→駒ヶ岳は、標高は150メートル近く下がる方向なので、登山道も下り基調です。逆方向のルートだと、黒檜山直前のこの階段は、結構キツイかもしれませんね。まあ、黒檜山の岩だらけの急登よりはマシかもしれませんが。
8月下旬ということもあり、夏の花はだいぶ終わってしまいましたが、この黄色い花が咲いていました。「マルバダケブキ」というキク科の花だそうですが、この時期の山でよく見かけますね。
黒檜山山頂から30分弱で、このような少し開けたところに出ました。相変わらずガスが出ていて眺望が効かないのですが、おそらくこのあたりが、黒檜山と駒ヶ岳の間の一番低いところではないかと思います。つまり、ここから先は、駒ヶ岳へ向けて登り返しになるということですね。
その予想通り、先ほどの開けた場所から登りになりました。山頂直下にはかなり急な階段がありましたが、それほど長くはないので、最後のひと踏ん張り!
黒檜山から40分ほどで駒ヶ岳の山頂に到着しました。標高は1,689メートル。黒檜山よりも140メートルほど低いです。この標識に書かれている「標高差220メートル」というのは、縦走路の最も低いところと黒檜山山頂の標高差でしょうね。
駒ヶ岳山頂で小休止、かろうじて大沼が見える眺望
相変わらずガスが出てしまっていますが、大沼や対岸の外輪山のほうは、何とか視界が効きました。真下には赤城神社が見えていますね。この景色を眺めながら、小休止します。
大沼と反対側の西側のほうは、残念ながらガスで眺望が効きません。たまにうっすらと見えてきても、これくらいが限界でした。晴れていればどんな景色がみえるのだろう…
駒ヶ岳の山頂は、あまり広くはありませんが広場のようになっています。私の他には3名ほどしかいませんでしたので、ここでゆっくり休憩しました。
駒ヶ岳から駒ヶ岳登山口へ下山
40分ほど休んだあと、下山を開始します。
駒ヶ岳山頂直下は木の階段ですが、その階段を降り切ると、しばらくは平坦に近い歩きやすい道が続きます。
標識にもあるように、この登山道は「関東ふれあいの道」に指定されているようですね。
このように開けている場所もあります。晴れていれば景色も良さそうなので、ここで休憩やランチにするのもよさそうですね。
登山道の脇には、このお花がたくさん咲いていました。よく見ると、蝶やハチがたくさん集まっていて、お食事中です。この花以外には、ほとんど見かけなかったので、この時期、昆虫たちの貴重な栄養源なのかもしれません。
ベンチも整備された広場がありました。ここも休憩によさそうです。黒檜山登山口~黒檜山の登山道とはえらい違いです(笑)
先ほどの広場で稜線歩きはおしまいで、ここから一気に下っていきます。とはいえ、急なところにはこのような階段が整備されているので、危険はありません。
山の斜面にジグザグにつくられた登山道をどんどん下っていきます。
次第に車道を走る自動車やバイクの音が大きくなってきて、登山口に到着。駒ヶ岳山頂から35分、先ほどの広場から25分ほどで、下山できました。
「風の庵」で十割蕎麦を堪能!
駒ヶ岳登山口は、あかぎ広場前のバス停と、赤城ビジターセンターのちょうど中間にあります。そこから、赤城公園ビジターセンター側へ3分ほど歩くと、「風の庵」というお蕎麦屋さんがあります。
今日は山では行動食やおやつしか食べなかったので、ここでお昼ご飯にする予定です。
なかなか雰囲気のある店内。ビールと山菜天ざる蕎麦を注文します。
生ビールは置いていないようで、スーパードライの缶ビール。乾杯!
30分以上待ちましたが、ビールを飲みながらクールダウンしていたので問題なし。そして、山菜天ざる蕎麦がやってきました。
北海道音威子府産の蕎麦粉を使用した石臼引きの十割蕎麦は、とても瑞々しく美味しいです。山菜の天ぷらは思ったよりもボリュームがあり、それでいて揚げたて! 大満足でした。
混雑していると注文からかなり待ちますので、時間に余裕をもって訪問するとよいと思います。
爽やかな風が吹き抜ける「覚満淵」(かくまんぶち)を散策
昼食後、富士見温泉へのバスの時間まで1時間以上あったので、「風の庵」のすぐ横に入口がある「覚満淵」を散策してみました。
「覚満淵」は、駒ヶ岳と小地蔵岳の間にある、周囲800メートルほどの小さな湿原です。高山植物の宝庫でもあります。
木道が整備されていて、覚満淵のまわりをぐるっと一周できるようなので、景色とお花を見ながら歩いてみました。
まず最初に見つけたのが「ツリガネニンジン」。覚満淵の周りにたくさん咲いていました。釣り鐘型の小さな花が集まって咲いている様子がかわいいですね。
紫色の花が鮮やかな「ノハラアザミ」。この花もよく見かけました。この花には、蝶がたくさん群がっていて、一生懸命蜜を吸っていました。
覚満淵の対岸にはこんもりとした小さな山が見えました。「小地蔵岳」(1,574メートル)です。黒檜山に登る途中に見えた地蔵岳と似たような形をしていますが、山の大きさは小地蔵岳のほうがずっと小さいです。
覚満淵の入口から反対側までやってきました。このような木道が整備されていて、気軽に散策できます。日差しが強いですが、風が吹くと爽やかです。
「ウラギク」の花でしょうか。淡い紫色が、何となく儚さを感じさせます。
覚満淵の西側までやってきました。覚満淵の向こうには、先ほど登ってきた駒ヶ岳が良く見えていました。
山頂にいたときはあんなにガスっていたのに、すごく晴れているいるように見えますね。下山すると晴れる、登山あるあるですね。
覚満淵を一周してきました。一周30分くらい、木道が整備されていて、特別な装備も必要ないので、赤城山へ観光や登山に来たら、ぜひ寄ってみてください。初夏の頃がお花は一番賑やかなようで、レンゲツツジやニッコウキスゲが咲き乱れるようです。
覚満淵の周りは林になっていて、ここにアウトドアチェアを持ち込んで、読書やコーヒーを楽しんでいる方も見かけました。優雅な休日という感じで、うらやましい限りです(笑)
富士見温泉で温泉に入って帰路へ
バスの時間が近づいてきたので、バスの始発となる赤城公園ビジターセンターに向かいました。覚満淵の入口からすぐです。
赤城公園ビジターセンター内には、トイレとちょっとした展示物がありました。「赤城山ウォーキングマップ」(10円)も売っていたので、散策や登山の前に立ち寄ってもいいかもしれません。
赤城山も「ヤマノススメ」の聖地のひとつなのでした。今回登った黒檜山~駒ヶ岳のルートではなく、地蔵岳のほうだったと思いますが…
このバスが富士見温泉行きになります。バス停と駐車場の後ろには、小地蔵岳が良く見えていました。
「赤城山ビジターセンター」バス停15時15分のバスに乗車します。
16時ちょうどに富士見温泉に到着。すぐに乗り継げる前橋駅行きのバスがありますが、せっかくですので、富士見温泉に入ってから帰ることにしましょう。
富士見温泉「見晴らしの湯ふれあい館」は、道の駅ふじみに併設された日帰り温泉施設です。温泉以外に、レストランや売店、大広間などがあります。
この時は、新型コロナ対策なのか、レストランは14時で営業終了でしたが、温泉に入ることはできました。
ロビーで入館料520円を払って、早速温泉へ。温泉は内湯以外に、広々とした露天風呂もあります。この露天風呂からは、夜になると、前橋市の夜景を見渡せるそうです。
温泉は、ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉。加水、加温と塩素消毒がされていますが、塩素のにおいはそれほど感じませんでした。
次のバスに乗りたかったので、ささっと入って汗を流してきました。
16時52分のバスに乗車、前橋駅には17時半前に到着。前橋はこの時間でもまだ35℃以上。赤城山の大沼のあたりは25℃前後でしたので、この差は大きいですね。赤城山は避暑にもちょうどよさそうです。
赤城山はお手軽に登れる日本百名山、覚満淵の散策もおすすめ!
ということで、日本百名山の一つ、赤城山の黒檜山~駒ヶ岳に登ってきました。
この定番ルート、黒檜山登山口~黒檜山の急登が際立ってキツイですが、ここを頑張れば、あとはお気楽なハイキングモードで歩けます。登山口と山頂の標高差も500メートル程度。とはいえ、標高は1,800メートルを超えますので、それなりの登山装備は必要ですし、春や秋に登るなら防寒具も必要でしょう。
今回は下山後に覚満淵を散策してみましたが、天気が良ければぜひ立ち寄ってみてください。覚満淵そのものがきれいですし、季節によってはたくさんの高山植物や湿生植物を見ることができます。
今回は登りませんでしたが、赤城山には、地蔵岳や小地蔵岳、長七郎山などもあり、登山道も整備されています。何度か訪れて、全ての外輪山のピークに登ってみたくなりますね。
今回の登山装備
- 長袖Tシャツ(モンベル)
- ポケッタブルパーカー(ユニクロ)※ザックに入れていましたが使わず
- トレッキングパンツ(モンベル)
- 登山用靴下(FITS)
- トレッキングシューズ(AKU)
- ザック(グレゴリー ZULU30)
- レインウェア上下
- 膝サポーター(ザムスト EK-3)
- 飲み物2l(ペットボトル500ml×3本)
- 日焼け止め
今回も、真夏の登山ということで、登山開始から下山まで、Tシャツ1枚で十分でした。
黒檜山の登山道はかなりの急登です。暑い時期に登ると、すぐにのどが渇きますので、飲み水・飲み物は多めに持っていったほうがよいと思います。
以上、「【赤城山】黒檜山~駒ヶ岳ミニ縦走、お手軽に日本百名山に登れる定番ルート! 覚満淵散策もおすすめ!」でした。日本百名山は初心者には難しい山も多いですが、赤城山は初心者向けの山です。黒檜山~駒ヶ岳のコースは4時間もあれば歩けますので、低山ハイキングの次にチャレンジする山としておすすめです。
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