奥秩父主脈の一座、笠取山に登ってきました。電車・バス利用でも日帰りで登れる山ですが、笠取小屋のテント場でひさびさのテント泊。新地平バス停から緩やかで気持ちが良い沢沿いの道を登って笠取山へ。笠取山山頂からの眺望は見事で、富士山がとてもきれいに見えました。
笠取山にテント泊登山
笠取山は、奥秩父の稜線上にある1,953メートルの山で、山梨百名山に指定されています。円錐形のきれいな形をした山で、山頂からの眺望は素晴らしいです。
今回は、ひさびさのテント泊。笠取山の南西側にある笠取小屋のテント場で一泊しました。平日で、笠取小屋が営業していなかったこともあり、私を含めてテント3張りのみの静かな夜を過ごせました。
笠取山の定番コースは、南側の「作場平」から登るルートですが、作場平には公共交通機関がありません。電車・バス利用の場合は、笠取山の西側にある「新地平バス停」から沢沿いを登るルートがあります。作場平からのルートよりも距離はありますが、傾斜はずっと緩く、とても歩きやすいルートです。沢沿いで涼しいので、夏場も良さそうです。
今回のルートは以下の地図のとおりです。
新地平バス停は、西沢渓谷の少し手前にあります。バス停から林道を歩き、笛吹川に注ぐ沢沿いをずっと登っていきます。林業の作業道として使われているため、非常によく整備されています。
沢沿いの道を登りきると、稜線にある「雁峠」に出ます。雁峠から笠取山までは約30分、笠取小屋までは約10分。笠取小屋にテントを張ったあと、笠取山を往復しました。
笠取小屋のテント場で一泊して、翌日は来た道を戻り、新地平バス停から15分ほど北にある「道の駅みとみ」に下山しました。
今回の主な行程は以下のとおりです。
【1日目】
- 10:15 新地平バス停 出発
- 12:35 雁峠 到着(お昼休憩)
- 12:55 雁峠 出発
- 13:10 笠取小屋 到着(テント設営)
- 13:45 笠取小屋 出発
- 14:25 笠取山 到着
- 15:15 笠取山 出発
- 16:00 笠取小屋 到着(泊)
【2日目】
- 07:10 笠取小屋 出発
- 09:20 新地平バス停
- 09:35 道の駅みとみ 下山
2日間で20.9km、累積標高は上り1,215メートルでした。
笠取山 登山口への公共交通機関でのアクセス
前述のとおり、電車とバスでアクセスする場合、笠取山の登山口は「新地平バス停」になります。新地平バス停へは、JR中央本線の山梨市駅と塩山駅からバスが出ています。
山梨市駅からは「山梨市民バス」の西沢渓谷線に乗車します。このバスは平日も運行されます。
- バス路線名: 西沢渓谷線
- 運行会社: 山梨市
- 運行経路: 山梨市駅~乾徳山登山口~西沢渓谷入口
- 運行期間: 毎日運行
- 運賃(最寄駅から): 900円
- Webサイト: 山梨市 西沢渓谷線
- 概要: 西沢渓谷線は、山梨市が運行する市民バスで、山梨市駅から乾徳山登山口、新地平、西沢渓谷入口まで運行されています。通年で毎日運行です。山梨市駅から乾徳山登山口までは約30分、運賃は400円です。西沢渓谷入口までは約1時間、運賃は900円です。
一方、塩山駅からは、山梨交通の「西沢渓谷入口線」が運行されています。こちらは、登山に使える便は、土休日とゴールデンウィーク、夏山シーズン、10月頃の紅葉シーズンのみの運行です。平日は山梨市駅からの「山梨市民バス」を利用しましょう。
- バス路線名: 西沢渓谷入口線
- 運行会社: 山梨交通株式会社
- 運行経路: 塩山駅~乾徳山登山口~西沢渓谷入口
- 運行期間: 2024年4月15日~11月19日
- 運賃(最寄駅から): 1220円
- Webサイト: 山梨交通株式会社 西沢渓谷入口線
- 概要: 西沢渓谷入口線は塩山駅から乾徳山登山口、新地平を経由して西沢渓谷入口まで運行されています。乾徳山登山口、新地平、西沢渓谷入口へ運行されるのは、例年4月中旬~11月中旬となっており、冬季は途中の窪平までの運行で、乾徳山登山口や西沢渓谷へは行きません。塩山駅から乾徳山登山口までは約32分、運賃は810円です。塩山駅から甲武信ヶ岳の登山口となる西沢渓谷入口までは、約1時間、運賃は1,220円です。
塩山駅と山梨市駅は、いずれも中央本線の駅で、2駅しか離れていません。普通列車でも6分ほどの距離です。塩山駅のほうが東京寄りになりますが、運行期間中でも平日は運行されない便がありますので、ご注意ください。
奥秩父の主要登山口への公共交通機関でのアクセス方法については、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
【新地平~笠取小屋】沢沿いの気持ちの良い道を登って笠取小屋へ
新地平バス停から林道と沢沿いの道を歩いて笠取小屋を目指します。沢沿いの道は新緑がきれいでとても気持ちよく歩けます。雁峠への登り以外は傾斜も緩く、歩きやすいのも良いですね。
新地平バス停から沢沿いの林道へ
山梨市駅から西沢渓谷行きのバスに乗車して約50分、新地平バス停で下車します。平日ですが、とても良いお天気の日でしたので、バスの座席は7~8割が埋まるほど。新地平バス停では、私を含めて4名が下車しました。
新地平バス停には何もありません。バス停を示すポールも山梨市駅方面のものしかありません。ただ、バス停からすぐ南側に公衆トイレがあります。笠取山までトイレがないので、ここで済ましておきます。
道路脇で支度をして、午前10時15分頃に出発。すぐ北側の道を右へ入って登っていくと、10分ほどで林道のゲートに到着します。ここから先は、亀田林業所の私有地になります。「私有地につき立入禁止」と掲示されていますが、登山は問題ないようです。トレランは禁止とあります。
ゲートの脇を通って中へ入ります。
すぐに沢沿いの道になります。しばらくはほぼ平坦か、わずかに登るくらいの道が続きます。5月中旬とはいえ日差しは強いですが、沢の音が涼しげです。
沢の水がとてもきれいですし、新緑の木々が沢の上を覆っていて美しいですね。
新緑を眺めながら沢沿いの道を歩く
林業の会社の私有地なので、斜面には植林と思われる針葉樹が多いですが、沢沿いには自然林も残っていて、新緑が鮮やかです。
ご覧のとおり、車両が通れる幅の道が続いています。とても歩きやすく、「山を登っている」という感覚はほとんどありません。いつもより倍くらい重いテント泊装備ですので、この道は助かります。
登山道(林道?)の脇をずっと沢が流れています。ゲートを入って少し歩いたところから、雁峠の少し手前まで、ずっと沢沿いの道が続きます。
登山道の水たまりにはおたまじゃくしがたくさん泳いでいました。このあとも、しばらくは沢を左手に眺めながら、歩きやすい道を登っていきます。
登山道と沢の境目がなくなってくると、中盤の渡渉エリアに入っていきます。ここからしばらくは、渡渉を繰り返していきます。
最大の渡渉ポイント
最初の渡渉ポイントです。ここが沢を渡る距離がもっとも長いでしょうか。表面を水が流れている岩に足を置かざるを得ないのですが、その岩がとても滑ります。まるで氷の上に足をのせているようです。
慎重に渡れば大丈夫ですが、帰りにはこの場所で滑って右足が沢の中に落ちました。幸い、登山靴の中では濡れず、実害はありませんでした。替えの靴下を持参することをおすすめします……。
二つ目の渡渉もやや長めですが、こちらは沢が浅かったので、問題はありませんでした。雨のあとなどで増水していると、難しいかもしれませんが……。
少し開けて、前方に稜線が見えてきました。あの稜線に登りきったところが雁峠のはずです。
小さな渡渉を繰り返し不明瞭な道を行く
このあとも渡渉が続きます。この先、渡渉は一歩でまたげるような小さなものばかりですが、何度も沢を渡るので、道がわかりにくくなっています。踏み跡は明瞭なので、途中で道が消えたら、沢の対岸に道が続いていないかを探しながら歩く感じです。
道がわかりにくいところには、ピンクテープが巻き付けられていますので、それを頼りにしてもよいでしょう。
沢沿いの道なので、倒木も多いです。この大きな倒木は、右側の沢に近いところをくぐって抜けました。
まだ沢沿いの道が続きます。次第に沢の流れは細くなっていきます。道がわかりづらいところもありますが、沢がつくる谷筋に沿って登るので、大きくルートから外れることはないでしょう。笹が深くなってきたり、変に岩が多くなってきたら、たぶんルートから外れています。
この「熊出没注意」の看板のところまでくると、沢沿いの道もそろそろ終わりです。この道は歩く人が少ないので、熊鈴を鳴らしたほうがよいと思います。
笹の急坂を登って稜線の「雁峠」に到着
沢から離れて、笹の気持ちの良い道を登っていきます。このあたりまでくると、ほとんど自然林ばかりになります。標高が上がっているせいか、まだ芽吹き始めですね。
笹の緩い登りから、雁峠への登りにかかります。これまでに比べると、やや急なところも出てきます。というより、新地平から雁峠まで、急な登りはここしかありません。それほど、沢沿いの道は緩いところばかりでした。
稜線が間近に見えてきました。最後の登りはやや急ですが、長くは続きません。
12時40分頃、「雁峠」に到着しました。前方には笠取山が見えています。雁峠にはベンチがあります。笠取小屋まであと20分ほどですが、雁峠は周囲が開けていて、景色も良いので、ここで軽くお昼休憩を取ることにしました。
眺望の良い雁峠で小休止
登ってきた方向を振り返ると、眺望が開けています。手前の山並みは、右から黒金山~乾徳山。その奥には、少し霞んでいますが、雪をたたえた南アルプスの山々を望むことができます。
風が通り抜けて気持ちが良い場所です。ずっと樹林帯の中を歩いてきたのでなおさらですね。
北側には、雁坂峠のほうへ向かう登山道が続いています。雁坂峠を超えてさらに先へ行けば甲武信ヶ岳です。いずれ歩いてみたい稜線です。
ベンチに腰かけ、重いザックを下ろして、おにぎりを一つ食べました。この景色を眺めながら食べるおにぎりのおいしいことよ!
多摩川・荒川・富士川の「小さな分水嶺」
笠取小屋へ向かいます。雁峠のすぐ近くには、「雁峠避難小屋」があります。もとは「雁峠山荘」として営業していたそうですが、いまは廃屋同然となっていて、危険なので中に入ることはできないようです。
登山道脇には、スミレの花がたくさん咲いています。
雁峠から10分ほどで、小高い丘のようになった「小さな分水嶺」に到着しました。ここは、多摩川、荒川、富士川の分水嶺になっているそうです。東側に降った雨は荒川へ、西側に降った雨は富士川に、南側に降った雨は多摩川に流れるとのこと。
3つの川の分水嶺を示す小さな石碑が設置されていました。この写真では見えない面には「荒川」と書かれています。
この「小さな分水嶺」は、周囲より少しだけ高くなっているので、眺望もなかなか良いです。富士山もバッチリ見えました。笠取小屋から10分もかからないので、このあと何度も足を運びました。
小さな分水嶺からの眺めです。右側の道を下っていくと、笠取小屋です。このあと、笠取山にも登りたいので、まずは笠取小屋に急ぐことにしましょう。
笠取小屋のテント場にテントを設営
小さな分水嶺から10分ほど木道や階段を下ると、笠取小屋が見えてきました。右側の小さな建物はトイレで、左奥の建物が笠取小屋です。
笠取小屋の表側です。小屋の前と後ろがテント場になっているようですが、小屋の入口に貼ってある案内によると、平日は小屋の裏に張るようにとありました。平日は小屋の前で何やら作業があるとのこと。平日は小屋は営業していないので、小屋の入口に設置されているポストに幕営料800円を入れました。
小屋の裏側の平らなところにテントを設営。ひさびさのテント泊でしたが、問題なく設営できました。
テント場は、白いラインで区画が切られています。週末は、小屋で受付をするときに、テントを張る場所を指定されるのだそうです。平日は好きなところに張れます。
私の他には、もう一張、すでにテントがありました。
テントを設営したあと、笠取小屋から少し下ったところにある水場へ。水は豊富に流れていました。小屋のすぐ近くにも水場がありますが、あちらは飲用不可・手洗い用とありました。飲用に利用する水は、この水場で汲みます。
【笠取山】眺望抜群の笠取山山頂へ
テントを設営したあとは、笠取山に登ります。アタックザックで身軽になりましが、それでも笠取山の斜面を直登する道はなかなかキツイ! 山頂からの眺望は素晴らしく、特に富士山の眺めが良いです。山頂からは南側の山腹を巻く道にある「水干」を経由して、笠取小屋に戻りました。
山頂への直登にチャレンジ!
アタックザックに最低限のものを入れて、笠取山へ。先ほどの「小さな分水嶺」まで戻り、今度はその先の笠取山を目指します。
笠取山といえば、この山頂直下の急登! これからここを登るのです。
笠取山への登りにかかりました。ずっと笹の道が続きます。最初はまだそれほどではありませんが……
登るにつれて傾斜が急になってきます。道はジグザグに付けられているので、正確には「直登」ではないのですが、それでもかなりの急登ではあります。ただ、難しいところや危険なところは一切ありません。ただただ、ひたすらキツイだけです(笑)
わずかに花が残っていた桜の木があったので、休憩がてら、富士山を入れてパシャリ。私の少し前を登られていた年配の男性に追いつき、「キツいですねー」などと話をしながら息を整えました。
山頂が見えてきました。あと少し!
眺望抜群! 均整の取れた富士山の眺めが美しい笠取山
14時30分頃、笠取山に登頂しました! 本当の山頂(標高が最も高いところ)はもう少し奥にあるようですが、眺望はここが一番優れていますので、しばらく景色を堪能します。
登ってきた方向(西側)を見ると、雁峠からも見えた黒金山~乾徳山の稜線と、その右奥に国師ヶ岳が見えます。さらに奥には南アルプスもうっすらと見えていますね。雪をかぶっているのは、北岳、間ノ岳、農鳥岳の白根三山のようです。
少し右側に目を移すと、左下の雁峠から、古礼山~水晶山~雁坂嶺と続く奥秩父主脈の稜線の山々が間近に見えています。この稜線も歩いてみたいですね。
そして富士山! 左手前の尖った山は大菩薩嶺です。笠取山から眺める富士山は、手前の山なみを含めて、とても美しく見えますね。
先ほど、登ってくる途中でお会いした方と、山頂でしばらく景色を眺めながらお話をして過ごしました。
岩場を抜けて本当の山頂へ
前述のとおり、眺望が開けている場所は、笠取山の本当の山頂ではありません。せっかくなので、本当の山頂も踏んでおきましょう。
山頂付近では、シャクナゲの花がわずかに咲き始めていました。近くの甲武信ヶ岳も含めて、これから6月上旬頃にかけて、シャクナゲが見ごろを迎えます。
本当の笠取山の山頂は、この岩の上のようです。登山道があるので、よじ登る必要はありませんが、道は狭く、岩や大きな石が多いので、注意して進んでいきます。
途中、南側が開けたところからは、見事な富士山を見ることができました。山梨県側から眺める富士山は、均整がとれていて美しいですね。
本当の山頂に到着! 周りを木々やシャクナゲに覆われていて、眺望はあまりありません。写真だけ撮って、下ることにしました。
多摩川源流「水干」を経由して笠取小屋へ
笠取山の(本当の)山頂からは、眺望の良い山頂に戻るのではなく、笠取山の南側の山腹を巻く道を経由して笠取小屋に戻ります。まずは山頂から東側へと急坂を下ります。
ひとしきり下ると分岐に出ます。左は奥秩父稜線の縦走路になっていて、笠取山から東側の唐松尾山や飛竜山へと向かう道になっています。笠取小屋に戻るには右側へ進みます。
笠取山の南側の山腹を巻くような道になっています。笹の中に付けられた道は、下り基調でとても歩きやすいです。
途中、「水干」という場所があります。多摩川の源流の場所ですが、その名前のとおり、水は干上がっていました。「東京湾まで138km」とあるとおり、ここから奥多摩などを経由して、東京湾まで延々と流れていくのです。
「水干」から斜面を少し下ったところに、源流の流れを見ることができる場所があるようですが、もう疲れたので、今回はパスします。
笠取山南西側にある分岐まで戻ってきました。小さな分水嶺と笠取山の間にある分岐です。ここから笠取小屋に戻ります。
【笠取小屋テント泊】静かなテント場でゆったり過ごす一夜
笠取小屋のテント場に戻ってきて、暗くなるまでゆっくり過ごします。夕陽や朝の景色を眺めに、小さな分水嶺まで散歩をするなど、山の中での一夜を楽しみました。
担ぎ上げた缶ビールで乾杯&簡単な夕食
笠取小屋のテント場に戻ってきました。私のテントを含めて3張りのみ、どのテントもソロの方のようで、とても静かです。
とりあえず、ザックの中に入れてきたビールとおつまみで乾杯! 笠取小屋が営業していれば、小屋で購入したのですが、残念ながら平日は営業していません。それがわかっていたので、重いとわかっていながら、ザックの中に入れてきたのでした。
飛行機の航路になっているのか、頭上を何度も飛行機が通過していきます。青空に描かれる飛行機雲が美しい。
ちなみに、笠取小屋のテント場は、ドコモの電波はわずかに入る程度。テントの中にいるとほとんど入りませんでしたが、外に出ると、弱いながらも少し入りますね。
少し早いですが、簡単な夕食を。モンベルのサーモンチーズリゾッタをお湯で戻していただきます。アルファ米と異なり、お湯を入れて3分で完成するのでありがたいです。
オニオンスープと一緒にいただきました。
夕陽を眺めに小さな分水嶺へ
18時過ぎ、夕陽を眺めに小さな分水嶺へ向かいました。
夕陽は、国師ヶ岳の右側に沈んでいくところでした。今日は朝から夕方まで快晴で、ほとんど雲がかからない素晴らしいお天気でした。おかげで、笠取山山頂からの眺望も満喫できました。
富士山に夕陽があたって、ほのかに赤く染まっています。素晴らしい景色です。
18時半少し前、稜線に夕陽が沈んでいきました。山の中で夕陽を眺められるのも、山の中に泊まることの特権の一つですね。
夕暮れの笠取山です。良い山でした。
日没後も、しばらく昼から夜へと移りゆく空の色を楽しんでから、笠取小屋のテント場に戻りました。
テント場で迎える清々しい朝
午後8時に就寝。前日は標高の高い山で雪が降るような天気でしたが、この日はそれほど寒くなく、テントの中でも熟睡できました。
翌日は午前4時半頃に鳥のさえずりで目が覚めました。持参したパンとスープで軽めの朝食です。
テントから出て、ベンチで食後のコーヒーを飲みながらまったり。朝の清々しい空気の中、とても贅沢な時間です。
すでに日の出の時間を迎えていて、空がだんだん明るくなってきました。さすがに外は冷えますが、薄手のダウンを羽織っていればそこまで寒くはありません。
朝の澄んだ景色を眺めに小さな分水嶺へ
このあとは撤収して帰るだけですが、朝の景色も眺めてみたかったので、撤収前に再び「小さな分水嶺」へ。
小さな分水嶺に上がってみると、昨日より山々がくっきりと見えますね。早朝で空気が澄んでいるせいなのか、光の当たり加減のせいか……。
富士山もはっきり見えています。そして、富士山の手前、甲府盆地には見事な雲海が広がっています。
奥秩父の山々は、朝日を受けてほのかに赤く染まっています。
朝日は笠取山の右側から昇ってきたようです。
小さな分水嶺からの眺めです。富士山と雲海が本当に見事です。この早朝の山の空気感は、何度味わってもいいものですね。
南アルプスの稜線もくっきりと見えています。中央に見える雪をかぶった山は悪沢岳かな? 右端の奥秩父の稜線に隠れそうなところに連なる山々が白根三山のようです。
少し寒かったですが、しばらく小さな分水嶺で朝の景色を堪能していました。
【下山】テントを撤収して道の駅みとみに下山
テント場に戻り、テントを撤収して、午前7時半前に下山を開始します。下山は、登ってきたルートを戻ります。雁峠から雲海を眺めたあとは、ひたすら沢沿いの道を下り、バスの時間まで「道の駅みとみ」で休憩しました。
テントを撤収して絶景の雁峠へ
テント場に戻り、テントを撤収します。午前7時過ぎに出発します。すでに、作場平から登ってきた方もちらほら。
7時半に雁峠に到着。ここからの眺望はやはり素晴らしいですね。広々としてとても気持ちが良いです。
南アルプスの前の甲府盆地には、まだ雲海が広がっています。この素晴らしい景色も、この雁峠で見納め。少し下るとすぐに樹林帯に入ってしまうためです。名残惜しいですが、先を急ぎましょう。
「道の駅みとみ」に下山
雁峠から沢沿いの道をひたすら下っていきます。
今日は土曜日ですが、山梨市駅や塩山駅からのバスはまだ新地平に到着していないため、すれ違う人はほとんどいません。途中、1名だけすれ違いましたが、おそらく道の駅みとみにクルマを停めて歩いてこられたのでしょう。
雁峠から2時間ほどで新地平バス停まで下ってきましたが、帰りのバスまでしばらく時間があるので、道の駅みとみまで歩くことにします。目の前には甲武信ヶ岳の前衛峰、木賊山が見えています。
道の駅みとみまでは約1km、15分ほどですが、微妙に上り坂なので疲れます……。
午前9時半過ぎに道の駅みとみに到着しました。ちょうど、西沢渓谷行きのバスが到着し、数名の登山客が降りてきて、道の駅みとみで登山の準備をしているところでした。テント泊装備の方も多く、甲武信小屋、雁坂小屋、笠取小屋あたりでテント泊するのでしょう。
Tシャツを着替え、バスの時間まで五平餅をかじりながら待ちました。
ちなみに、山梨市駅発着の山梨市民バスは、道の駅みとみの中にあるバス停まで入ってきますが、塩山駅発着の山梨交通のバスは、道の駅の中までは入ってきませんので、道路沿いで待つ必要があります。
10時13分の山梨市駅行きのバスに乗車。しばらくは貸し切り状態でしたが、途中から少しずつ地元の方々が乗車してきました。1時間弱で山梨市駅に到着しました。
山梨市駅から、特急「かいじ」で帰宅しました。
眺望抜群の笠取山、公共交通機関でも登れます!
ということで、笠取山に登ってきました。
山頂からの眺望は本当に素晴らしく、バランスの取れた美しい富士山をはじめ、南アルプスや奥秩父の山々を一望できます。
テント泊もひさしぶりでしたが、平日の夜ということもあって、山の中で静かな一夜を過ごすことができました。急ぎめに歩けば、新地平バス停からピストンで日帰りもできますが、森の中にある笠取小屋の雰囲気がとても良かったですし、何度も足を運んだ小さな分水嶺から眺める夕陽も素晴らしかったので、ぜひ一泊で登ることをおすすめします。
笠取山というと、作場平からのコースが定番ですが、公共交通機関がありません。ただ、今回ご紹介したように、新地平バス停から沢沿いのコースを歩けば、問題なく登ることができます。作場平からと比べるとコースタイムはやや長めですが、山頂近く以外は急登もなく、歩きやすいコースです。
道の駅みとみから、雁坂峠~雁峠と稜線を歩く周回コースも魅力的です。次回は、ぜひ挑戦してみたいと思います。
今回の主な登山装備
ひさびさのテント泊ということで、荷物は多めです。水1リットル+食料込みで約13kgでした。
- ウェア類
- アンダーレイヤ: モンベル メリノウール 長袖Tシャツ
- ミドルレイヤ: モンベル 化繊 長袖シャツ
- 防寒着: ワークマン 耐久撥水シェルジャケット
- 防寒着: ユニクロ ウルトラライトダウンコンパクト
- パンツ: ノースフェイス アルパインライトパンツ
- レインウェア上: モンベル レイントレッカージャケット
- レインウェア下: モンベル サンダーパス パンツ
- 靴下: モンベル ウィックロンの登山用靴下
- その他、着替え類(半袖Tシャツ、靴下等)
- 登山靴: モンベル アルパインクルーザー2300
- 登山補助
- 膝サポータ: ザムスト EK-3(両膝)
- トレッキングポール: シナノ フォールダーTWIST 125
- 緊急用
- ファーストエイドキット
- ヘッドランプ、予備の電池
- ザック
- オスプレー イーサーAG60 60L
- アタックザック: イーサーAG60の雨蓋部分
- テント類
- テント: モンベル ステラリッジテント2型
- シュラフ・マット
- シュラフ: モンベル ダウンハガー800 #2
- マット: サーマレスト プロライトWR
- 水
- ナルゲンボトル 1L(中身はポカリスエット1リットル)
- プラティパス 2L(水場での水汲み用)
- 調理器具
- クッカー(エバニュー Ti570FD Cup)
- バーナー、ガス缶
- Wildo フォールダーカップ
今回は1泊だけでしたので、荷物をなるべく減らしたつもりなのですが、それでもふだんの日帰り装備に比べると倍くらいの重さになってしまいますね。比較的歩きやすいルートでしたが、それでも足にかかる負担がいつもより大きいことは、歩いていてよくわかりました。
夏山に向けて軽量化が課題です。今回は5月上旬という時期でしたので、シュラフはモンベルのダウンハガー800の#2でちょうどよかったですが、夏山ではオーバースペックなのですよね。8月の赤岳鉱泉、7月の青年小屋では暑かったです。このあたりから軽量化を模索する必要がありそうです。お財布と相談になりますが…。
以上、「【奥秩父】新地平バス停から沢沿いの気持ちの良い道を登る笠取山テント泊登山」でした。山頂からの眺望が素晴らしい山ですので、ぜひ登ってみてください!
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奥秩父山域の主要登山口への公共交通機関(電車・バス)でのアクセス方法のまとめです。電車・バス派の方は、ぜひご覧ください。
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