八ヶ岳登山の帰りに、唐沢鉱泉が2023年から始めた「日帰りお疲れ様プラン」を利用してみました。温泉入浴、ランチに、茅野駅までの送迎がついて5,500円。バス路線が一切なく、電車・バス派の登山者には利用しにくい唐沢鉱泉の登山口ですが、「日帰りお疲れ様プラン」のおかげで、下山に利用しやすくなりました。
八ヶ岳西麓の秘湯「唐沢鉱泉」
唐沢鉱泉は、北八ヶ岳、天狗岳の西麓にある秘湯です。八ヶ岳、主に天狗岳の登山口であるとともに、秘湯としても有名で、「日本秘湯を守る会」の宿でもあります。
唐沢鉱泉へは、JR茅野駅からクルマで約45分。唐沢鉱泉の近くは未舗装の道もあり、路線バスはありません。
唐沢鉱泉には登山者用の駐車場があるので、マイカー派にはおなじみの登山口ではありますが、路線バスの便がいっさいありませんので、公共交通機関(電車・バス)を利用する登山者には使いにくい登山口でした。
唐沢鉱泉に宿泊すれば、JR茅野駅から送迎してもらえますので、唐沢鉱泉から入山するのであれば前泊に使うことで交通機関の問題は解決します。しかし、別の登山口から入山して八ヶ岳を縦走し、唐沢鉱泉から下山しようとすると、駅までの交通機関はタクシーのみとなります。唐沢鉱泉からJR茅野駅までのタクシー運賃は約8,000円と高いのです。
下山時に便利! 茅野駅への送迎付きの唐沢鉱泉「日帰りお疲れ様プラン」(2024年版)
そんな登山者のニーズを満たそうとしたのか、唐沢鉱泉では、2023年から「日帰りお疲れ様プラン」を提供しています。2024年からはさらにパワーアップし、以下の3つのプランを提供しています。
プラン | 価格 | 内容 |
---|---|---|
日帰りお疲れ様 食事プラン |
5,500円 |
・入浴 ・コーヒーまたは紅茶 ・昼食 ・茅野駅への送迎 |
日帰りお疲れ様 猪鍋プラン |
7,700円 ※2名以上 |
・入浴 ・コーヒーまたは紅茶 ・猪鍋昼食 ・茅野駅への送迎 |
入浴お土産 送りつきプラン |
5,500円 |
・入浴 ・コーヒーまたは紅茶 ・お土産付き ・茅野駅への送迎 |
各プラン共通で、唐沢鉱泉(温泉)の入浴、コーヒーまたは紅茶、茅野駅への送迎がついています。
- 入浴:(お持ち帰り用入浴手ぬぐい歯ブラシ、貸しバスタオル付き)
- コーヒーまたは紅茶付き
- 唐沢鉱泉から茅野駅への送迎:(唐沢鉱泉発 12:00 または 15:00(茅野駅まで))
(出典)唐沢鉱泉Webサイト
これらに加え、食事プランでは昼食(唐沢鉱泉の食堂メニュー一品+アルファ)、猪鍋プランでは猪鍋の昼食、お土産プランでは唐沢鉱泉セレクトのお土産がついています。
入浴+昼食+送迎で5,500円は高いように見えますが、日帰り入浴が990円+α(手ぬぐい・貸しタオルなど)、昼食が990円+αですので、送迎分は約3,000円程度。タクシー運賃8,000円に比べるとかなりお得です。
なお、日帰りお疲れ様プランは完全予約制です。事前に電話かWebからの予約が必要となります。私は、前日の午後に電話で予約しました。
唐沢鉱泉の「日帰りお疲れ様プラン」については、唐沢鉱泉のWebサイトもご確認ください。
唐沢鉱泉「日帰りお疲れ様プラン」を利用してみた!
2023年10月上旬、八ヶ岳登山の帰りに、唐沢鉱泉の「日帰りお疲れ様プラン」を利用してみましたので、その様子を簡単にお届けします。一言でいえば、満足度が高く、とても良いサービスでした。
黒百合ヒュッテから雨の中を唐沢鉱泉へ
前日は黒百合ヒュッテに宿泊していました。この日は、にゅう~白駒池~麦草峠と歩く予定でしたが、夜半過ぎからずっと雨で、この日の予報も一日雨。昨日の時点で雨予報はわかっていたので、予定を変更して、唐沢鉱泉に下山することにしたのでした。
前日の午後、唐沢鉱泉に電話して「日帰りお疲れ様プラン」を予約。送迎バスが12時と15時の2本あるが、どちらを利用するかということを聞かれたので、「12時でお願いします」と回答しました。
翌日、黒百合ヒュッテを8時前に出発。雨の中を下山して、午前9時半過ぎに唐沢鉱泉に到着しました。ずっと樹林帯でしたし、傾斜の緩やかなコースを選んだので、それほど難なく歩けました。それでも、レインウェアやザックカバーはかなり濡れてしまいました。
なお、このときの様子は、以下の登山日記の記事で詳しく紹介しています。前日に登った硫黄岳・天狗岳山頂からの絶景の写真もたくさん載せていますので、ぜひご覧ください。
唐沢鉱泉で受付、入浴前に乾燥室へ
唐沢鉱泉の受付で「日帰りお疲れ様プラン」を予約していることを伝え、料金5,500円を支払います。温泉や談話室、食堂の場所の説明を簡単に受け、貸しバスタオルと手ぬぐいのセットを受け取りました。
このときに、昼食のメニューも聞かれました。山菜そば、ざるそば、山菜うどん、カレー、牛丼の5つがあったので、牛丼を選択。食事は11時過ぎに食堂でということのようです。
レインウェアを乾かすことができるかを聞いたら、温泉の横にある乾燥室を使ってくださいとのこと。レインウェアやザックカバーを乾かすことができました。それほどびしょ濡れというわけではありませんでしたが、それでもこれはありがたいですね。
源泉加温のみの二酸化炭素冷鉱泉で温まる
ザックを談話室に置いて、さっそく温泉へ。脱衣所の入口の前に貴重品用のロッカーもあります。
唐沢鉱泉の泉質は二酸化炭素冷鉱泉。源泉は建物から数十メートル離れた敷地内にあるそうです。毎秒600リットルという豊富な湯量を誇る源泉です。泉温は10℃と低いので、加温のみしているとのこと。
男女別のお風呂には、それぞれ大きい浴槽と小さい浴槽が一つずつと、源泉を加温しない冷たい打たせ湯があります。大きい浴槽のほうは熱め、小さい浴槽の方はぬるめになっています。この日は雨で寒かったので、大きい浴槽の方で温まりました。炭酸ガスの泡が肌に付き、とても気持ちが良いです。
「日帰りお疲れ様プラン」では、貸しタオルに、お持ち帰り用の手ぬぐいと歯ブラシのセットが付いていますので、入浴の準備がなくても問題ありません。このあたりもサービスが行き届いていますね。
ちなみに、日帰り入浴は10時からでしたが、「日帰りお疲れ様プラン」の場合は10時より前の時間帯でも温泉に入れるようです。そのおかげで、誰もいない温泉を独り占めでき、ゆっくり温まれました。
ウェアを乾かしつつ談話室でまったり休憩
湯上り後は、温泉の隣にある広い談話室で休憩です。ウェアを乾燥室で乾かしつつ、スマホの充電をしたり、ザックを片付けたりしながら過ごしました。
唐沢鉱泉の建物の中(少なくとも談話室と食堂)では、ドコモ、auの電波は入りませんでしたが、WiFiのサービスがあります。他にお客さんがほとんどいない時間帯だったのもありますが、そこそこの速度が出ていました。
昼食は11時に用意しておいてくれるとのことでしたので、乾燥室に干したものを回収して、11時少し前にザックを持って食堂へ移動します。
付け合わせが豪華でボリュームのあるランチを堪能!
1階の玄関の横にある食堂へ。食堂の営業時間は11時~14時で、ラストオーダーが13時30分となっています。15時の送迎バスに乗る場合には、食堂の営業時間に注意したほうがよさそうです。
食堂の中はこんな感じで、テーブルがたくさん並んでいます。11時少し前に食堂にやってきたので、一番乗りでした。
生ビールが品切れとのことでしたので、缶ビールで乾杯! あ、ビールは別料金です。
少し待つと牛丼がやってきました。付け合わせがすごい! デザートまでついています。それに、この牛丼、ごはんの量がすごいです。牛丼屋で言えば大盛以上。場所が場所だけに、登山者仕様になっているのでしょうか。
牛丼も、付け合わせもおいしく、あっという間にたいらげてしまいました。
食後のコーヒーもついています。送迎バスの時間まで、コーヒーを飲みながら、ゆっくりすることができました。
送迎バスは約40分で茅野駅へ
11時50分くらいに玄関に移動。私のほかには、同様に「日帰りお疲れ様プラン」を利用した男性が1名のみ。雨の中、天狗岳に登って下山してきたとのことでした。
上の写真のバスは駐車場に停まっていたもので、この日の送迎はもっと小さいワゴン車でした。
唐沢鉱泉からしばらくは未舗装の道を下るので少し揺れます。その後、舗装路に入り、茅野の市街地に入ると、ほどなくして茅野駅に到着です。距離は20km弱のようですが、40分弱で到着しました。
茅野駅からは、特急「あずさ」に乗って帰宅しました。
唐沢鉱泉「日帰りお疲れ様プラン」は便利で満足度の高いプラン!
ということで、唐沢鉱泉の「日帰りお疲れ様プラン」を利用してみました。5,500円という価格をどう見るかで評価が変わりそうですが、個人的には、路線バスがない登山口を、温泉+ランチ付きでこの価格で利用できるのであれば、とても便利だなと思いました。
温泉は素晴らしいですし、ランチもボリュームがあってよかったです。今回は雨の下山でしたので、温泉に入っている間に乾燥室でウェアを乾かせたのもありがたかったです。
宿泊者用の送迎バスに乗せてもらうことになるため、完全予約制になるのは止むを得ませんね。今回は、急遽、前日の午後に予約しましたが、平日で雨ということもあって、すぐに予約できました。土休日など繁忙期に利用する場合には、計画段階で予約をしておいたほうがいいでしょう。
以上、「【唐沢鉱泉 日帰りお疲れ様プラン】温泉・ランチ・駅への送迎付きで5,500円、電車・バス派の登山者にうれしいサービス!」でした。年々、登山口へのバス路線が減っている状況ですので、このようなサービスがあると、登山ルートの選択の幅が広がるのでありがたいですね。
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