奥秩父の名峰、金峰山に登ってきました。初日は瑞牆山荘から、富士見平小屋、大日小屋を経て金峰山へ。樹林帯を抜け、絶景の稜線歩きを楽しみながら登頂しました。山頂からはまさに360度の大展望! 絶景を堪能したあとは、金峰山小屋へと下りました。
金峰山山頂に到着するまでの様子は、以下の記事をご覧ください。
この記事では、その後の金峰山小屋泊の様子と、下山の様子をご紹介します。
【金峰山小屋】こじんまりとした居心地の良い山小屋
金峰山小屋に到着後、ビールを飲んだり、共用スペースのこたつでコーヒーを飲んだりしてのんびり過ごしました。夕食はとてもおいしく、満足度の高い山小屋でした。小屋前から眺める夕陽も見事です。
受付を済ませて山小屋前の広場で乾杯!
金峰山山頂からの絶景を楽しんでから、金峰山小屋に下ってきました。小屋の横には広場があり、小屋前にもベンチがたくさんあります。
小屋に入り、受付を済ませて、料金(1泊2食付きで1万円)を支払います。寝室は2階ですが、領収書に寝る場所の番号を書いてくださるので、その番号のところに荷物を置きに行きます。
2階の寝室の様子です。大部屋のみで個室はありません。寝室は2段になっています。下段のほうが広いようです。この日は、宿泊客が少なかったので、下段を指定されました。
大部屋のみではありますが、各スペースにはカーテンがあり、これを閉めると個室っぽい感じになります。プライベート空間を確保できるので、気分的にはだいぶ違いますね。
持参したおつまみとカメラ、スマートフォンだけを持ち、缶ビール(600円)を買ってから、小屋前の広場でささやかに乾杯! まだ日差しがそれなりにあり、風も弱かったので、心地よい陽気でした。
小屋前の広場から金峰山の山頂を眺めてみます。五丈岩が目立ちますね。
聞こえるのは、鳥の鳴き声と、風の音だけ。小屋前から眺める八ヶ岳や瑞牆山、そしてこの金峰山の景色を肴に飲むビールは最高でした。
山小屋のこたつでくつろぎタイム
日が傾いて寒くなってきたので、山小屋の中へ。土間に置いてあるストーブが焚かれていました。山頂で景色を眺めていた時は寒さを感じませんでしたが、夕方になると一気に気温が下がってきます。
金峰山小屋では、宿泊客へのコーヒーや紅茶をサービスしています。ザックからマイカップを持ってきて、コーヒーを淹れました。近くに水場がない山小屋なのですが、コーヒーを淹れるお湯はポットに入っているものを利用できます。ありがたいですね。
共用スペースにはこたつがあります。こたつで温まりながらコーヒータイム。とても居心地の良い山小屋です。他の方と登山談義に花を咲かせながら、くつろぐことができました。
ちなみに、トイレは山小屋の横にある別の建物になっています。山小屋のすぐ横ですし、夜は山小屋前の照明が人感センサーで点灯するので、夜中にトイレに起きるときでも心配はありません。
男性小用が1つに個室が3つ。トイレットペーパーは備え付けられていて、便器とは別のところに捨てるタイプです。かなり新しいトイレのようで、とてもきれいでした。
夕食はチキンソテーの絶品ワンプレート!
17時半から待望の夕食タイム。夕食は、こたつやストーブがある共用スペースでとります。
金峰山小屋の夕食はおいしいと評判でしたので、楽しみにしていました。メニューは、チキンソテーのワンプレート。チキンソテーに、マッシュポテト、サラダ、ごはん、デザートのワンプレートです。しっかりボリュームがありますし、味付けも素晴らしく、街中で食べても間違いなく「おいしい」レベルの夕食でした。
お代わりにはカレーがありましたが、お腹いっぱいだったのでパス。次回はもっとお腹を空かせて行こう(笑)
小屋前から八ヶ岳に沈む夕陽を眺める
夕食後は、山小屋の前で夕陽を眺めます。日没時刻の10分くらい前に外に出てみると、金峰山がほのかに赤く染まっていました。
夕陽は八ヶ岳の方向に沈んでいきました。よく見ると、赤岳のちょっと右側(北側)に沈もうとしています。手前に瑞牆山の岩峰が見えていて、素晴らしい眺めです。
八ヶ岳のシルエットがとてもきれいです。
日没後、空の色がどんどん変わっていくマジックアワー。かなり冷えてきて寒かったのですが、しばらく山小屋の前で眺めていました。
この後、20時半に消灯。翌朝のお天気は薄曇り予報。ご来光は山小屋からは見えず、金峰山の山頂に登る必要があります。そのためには、午前4時には起きないといけません。
金峰山山頂からの見事なご来光!
翌日は午前4時過ぎに起床。外を見ると、薄雲がかかりつつも青空も見えていたので、とりあえずシェルと薄いダウンを羽織り、カメラを持って山頂を目指します。
金峰山小屋から金峰山への道は結構な登り。YAMAPのコースタイムでは25分となっています。起き抜けでこの道を登るのはなかなかキツイです……。が、振り返ると、八ヶ岳と瑞牆山がきれいに見えていました。薄雲が出ているものの、これからご来光も期待できそうです。
山頂に着くと、ちょうど太陽が昇ってきたところでした。微妙に間にあわなかったのですが、まあ細かいことは気にしません。それよりも、この素晴らしいご来光を堪能しましょう。
太陽が昇ってきたのは、甲武信ヶ岳と三宝山の間あたりでしょうか。
反対側を見ると、五丈岩も少し赤く染まっていました。山頂でこの日の出を見ているのは、私を含めて、金峰山小屋に泊った4名のみ。山頂から眺めるご来光はやはりいいですね。
富士山もきれいに見えていました。甲府盆地には、雲海とまではいかないまでも、低い雲がかかっていて、これはこれで絵になる光景でした。
気温は低いものの、風は弱く、それほど寒さを感じることはありませんでした。手だけはかなり冷たくなってしまったので、手袋をしてくるべきでした。
高層の薄雲がやや多かったのですが、素晴らしいご来光を眺めることができました。5時半から朝食なので、ご来光を眺めたあとは、金峰山小屋まで下ります。
下り始めたころには、すでに山に日が当たり始めていました。清々しい朝の空気はとてもおいしく、山で迎える朝はやはりいいなと感じたのでした。
お粥の朝食をいただいて出発!
5時半からの朝食は、シンプルなお粥。ですが、塩加減がちょうどよく、とてもおいしいお粥でした。こんなお粥なら毎朝でも食べたいレベル。もちろん、お代わりをしました。
お粥の朝食をいただいたあとは、荷物をまとめて出発です。
【下山】三度、金峰山山頂へ登ってから瑞牆山荘へ下山
このあとは瑞牆山荘へ下るだけ。時間的には余裕があるので、再び金峰山山頂に寄ってから下山することにします。薄雲がかなり増えてきてしまいましたが、稜線を歩いている間はガスに巻かれることはなく、無事に下山できました。
再び金峰山山頂へ!
のんびりと支度をしていたら、最後の出発になってしまいました。山小屋に宿泊するとだいたい最後になります(笑)
小屋番さんに挨拶をして外に出ると、目の前には八ヶ岳がきれいに見えていました。昨日は逆光でしたが、朝のうちは光が横から当たって立体的に見えますね。
あとは下山するだけですが、みずがき田園バスの初便(午前10時半)までにはかなり時間があるので、巻道を使わず、再び金峰山の山頂に寄っていくことにします。他の方々は、巻道を使ってサクッと下山されてしまいましたが、せっかくですので……。
今日は次第に雲が多くなる予報。ご来光の時は青空のほうが多かったですが、すっかり雲に覆われてしまいました。それでも、高層と低層の雲だけなので、山頂からの視界は問題ありません。富士山もまだ見えていました。
五丈岩と南アルプスもまだ見えています。手前の甲府盆地はすっかり雲に覆われてしまいました。この低い雲が稜線に上がってくる前に下山することにしましょう。
素晴らしい絶景を見せてくれた金峰山ともお別れです。ちょっと名残惜しいですが、個人的には「何度でも登りたい山リスト」に入りましたので、また近いうちに登ると思います。
曇り空の稜線を下って樹林帯へ
山頂からはこの稜線を下っていきます。わざわざ山頂まで登ってきてから下るというエネルギー的に無駄なことをやる理由の一つが、この稜線を下ってみたかったということなのです。
やはりこの稜線歩きはいいですね。雲ってはいますが、風は穏やかで寒くはありません。正面に八ヶ岳を眺めながら、ゆっくりと下っていきます。
少し下ってきたところで振り返ると、この稜線! 曇ってしまったので昨日より映えませんが、それでも立派な稜線です。
まだ午前7時過ぎですが、稜線上で登ってくる方とすれ違いました。コースタイムだと瑞牆山荘から4時間以上、富士見平小屋からでも3時間はかかりますから、午前4時台に出てきたのでしょうか。
砂払いノ頭まで下ってきました。この絶景稜線歩きともここでお別れです。薄手のシェルを着て下っていましたが、だんだん暑くなってきたので、樹林帯に入る前に脱いでザックにしまいました。
黙々と樹林帯を下って山頂から3時間で瑞牆山荘に下山
樹林帯に入ってしまうと、もうあまり見るものもないので、黙々と下っていくだけです。大日岩付近のシャクナゲを眺めながら、どんどん下っていきます。
大日小屋あたりまで下ってくると、これから登る方たちと多くすれ違うようになりました。曇天はやむを得ないものの、山頂がガスに包まれる前に登頂できるとよいのですが。
午前9時、山頂から2時間ちょっとで富士見平小屋まで下ってきました。昨日よりも多くテントが張ってありましたが、おそらく今は瑞牆山か金峰山に登っているのでしょう。人影は少なく、閑散としています。
9時半過ぎに瑞牆山荘に無事下山しました。金峰山の山頂からはちょうど3時間ほどでした。
とりあえず、トイレを済ませ、荷物を整理してバスを待ちます。が、バスの時間まで40分近くあるので、瑞牆山荘のカフェでコーヒーを飲んで温まります。この時間、カフェは営業していましたが、テラス席のみの利用とのことでした。
10時過ぎに数名の乗客を乗せてやってきたバスの折り返し便に乗車します。乗客は片手で数えられるほど。この時間にバスで駅に向かうのは、富士見平小屋か金峰山小屋に泊って、そのまま下山してきた人だけでしょう。
このあと、韮崎駅から電車を乗り継いで帰宅しました。
山頂からの大展望と岩稜帯の稜線歩きが楽しい金峰山
ようやく念願だった金峰山に登ることができました。
山頂からの360度の大展望は素晴らしく、お天気に恵まれたこともあって期待以上でした。そして、砂払いノ頭からの稜線歩き! 目の前にこれから歩く稜線がどーんと見えていて、その稜線を少しずつ登ると、だんだんと五丈岩が近づいてくるのがとても良いですね。
金峰山の魅力は、やはりこの稜線歩きと山頂からの眺望だと思いますので、ぜひお天気の良い日を狙って登ってほしいと思います。
また、金峰山小屋での宿泊も、のんびりできてとても良かったです。食事のおいしさは期待どおりでしたし、こたつで温まりながらくつろげるのも良かったですね。宿泊者が少なかったこともありますが、ほとんどの時間をこたつやストーブのある共用スペースで過ごしました。寝室にいたのは本当に寝るときだけでしたね。
それに、山小屋の前から、八ヶ岳と瑞牆山を眺めることができるのもいいですね。夕陽は山小屋のすぐ前から見えます。
金峰山に登る途中や、金峰山小屋で、奥秩父主脈を縦走するという方々にも多くお会いしました。金峰山山頂から眺めた奥秩父主脈の稜線は素晴らしく、深い森に囲まれた深山といった趣でした。次回は、テント泊か小屋泊かわかりませんが、縦走を計画してみたいですね。
今回の主な登山装備
- 長袖の化繊シャツ(ワークマン)
- メリノウールのアンダーシャツ(モンベル)
- 薄手のシェル(ワークマン)
- ウルトラライトダウンコンパクトジャケット(ユニクロ)
- アルパインライトパンツ(ノースフェイス)
- 登山靴(モンベル アルパインクルーザー2300)
- ザック(グレゴリー ZULU30)
- レインウェア上下 ※利用せず
- 膝サポーター(ザムスト EK-3)
- チェーンスパイク ※利用せず
- 飲み物(アクエリアス1000ml+ペットボトル500ml×1本)
- お昼ご飯(ランチパック1個、おにぎり1個)、行動食
- ファーストエイドキット
- ヘッドライト
今回は小屋泊登山でしたが、いつもの日帰り用の30Lザックで十分でした。日帰り装備に、山小屋滞在中の防寒着として、薄めのダウンジャケットを追加したくらいです。
行動中のウェアは、メリノウールのアンダーシャツに化繊の長袖シャツの2枚で十分でした。前日、金峰山小屋は氷点下まで下がったそうですが、日中は風がそれほど強くなく、日差しもあったため、この2枚だけで寒くはありませんでした。山頂や稜線での休憩時や、早朝にご来光を見に行くとき、それに下山するときは、薄手のシェルを羽織って行動しました。
チェーンスパイクも念のためザックに入れておきましたが、必要ありませんでした。ごくわずかに、凍りついてる石や水たまりがありましたが、今回歩いてきた瑞牆山荘~金峰山の登山道には、雪や氷は全くありませんでした。ただ、前日も雪が舞ったようですし、5月中は朝方に氷点下まで気温が下がることも多いそうなので、事前に状況を確認したほうがよいかと思います。
以上、「【奥秩父】好天の稜線歩きと金峰山からの大展望を満喫する初夏の登山(金峰山小屋泊)~金峰山小屋泊+下山編~」でした。金峰山そのものも素晴らしい山でしたが、金峰山小屋の宿泊もとても良かったです。山小屋から眺める夕陽、山頂から眺めるご来光は良いものですね。
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