登山をはじめて膝痛に悩まされている方は多いと思います。私も、登山をはじめて、少し長い距離を歩くようになってから膝痛に悩まされました。筋トレや歩き方の改善、トレッキングポールや膝サポーターなどのギアの導入など、いろいろ試行錯誤して何とか克服しました。この記事では、私がこれまでに取り組んできた膝痛対策についてまとめてみます。
登山を始めた頃に襲われた「膝痛」
登山を初めて2か月ほど経ったころ、登山のたびに膝痛に悩まされていました。だいたい山行の後半、下山する途中に少しずつ痛み出して、下山して駅やバス停に着くころにはかなり痛くなっています。
筋肉痛と異なり、いちど痛めてしまうと1~2週間ほど続くこともあり、登山後の日常生活での影響もありました。もちろん、膝痛が治るまでの間は登山もできません。特に何の対策もしていなかったことや、何回か山行を重ねて、次第に距離が長いコースに挑戦するようになったことで、登山を初めてしばらくしてから膝痛が出るようになったのだと思います。
体力的にはまだ余裕があるのに、膝痛のせいで長い距離を歩けないのはもどかしいですし、山行中に膝痛がひどくなると明るいうちに下山できないなんてことにもなりかねません。
そこで、本格的に膝痛対策に取り組むことにしました。ちょうど新型コロナウイルス感染症が流行し始め、最初の緊急事態宣言が出たころです。登山にも行けないので、その間、膝痛対策をいろいろと試してみました。
その結果、約3か月後の登山再開から今まで、たまに違和感が出ることはあるものの、ひどい膝痛に悩まされることはなくなりました。
複数の対策に同時並行で取り組みましたので、どの対策がどのくらい効いているのかまではわかりませんが、その時に実施した対策についてまとめてみます。
膝痛対策は筋力強化と膝への負担軽減の二方面作戦!
ネットで膝痛の原因を調べてみると、登山時に発症する膝痛は、膝の関節内部ではなく、関節外部の筋肉疲労であることが多いのだそうです。以下の記事によると、特に大腿四頭筋の筋肉疲労が原因の一つだろうとのことです。
ということで、膝痛対策の対策の一つめは「筋力強化」です。
そしてもう一つは、登山時の膝への負担軽減です。膝の筋肉にかかる負担を軽減できれば、膝痛の発症を遅らせることができます。下山するまで膝痛の発症を遅らせることができれば、結果的には膝痛を回避できることになります。
膝への負担軽減の対策としては、トレッキングポールやサポーターなどのギアを利用するものと、歩き方の改善によるものがあります。
以上、まとめてみると、登山の膝痛対策として、以下の2点を重点的に試してみました。
- 膝周辺の筋肉の筋力強化
- 登山時の膝への負担軽減
以下では、それぞれ、どんなことを試して、効果がどのくらいあったのかを詳しく紹介します。
【膝痛対策1】筋力強化
最初に取り組んだのが、筋力強化です。もともと筋力には全く自信がなく、これまでまともにトレーニングもしたことがなかったので、根本的に筋力が不足していたのだろうと考えたためです。
実施したのは以下の2つです。
- スクワット
- ファストウォーキング
大腿四頭筋の筋トレの王道はスクワット。その中でも、最も基本的なノーマルスクワットを実践しました。スクワットは、大腿四頭筋以外にも、ハムストリングスや大臀筋なども含めて鍛えることができます。
最初は1セット5~10回×3セットくらいからはじめ、徐々に1セットの回数を増やしていきました。現在でも続けていて、1セット25回×3~4セットを週に3回ほどやっています。やり方がよくないと膝に負担をかけてしまうので、その点だけは注意してやっています。
もう一つは、ファストウォーキングです。こちらは筋力強化になっているのかわかりませんが、緊急事態宣言中の運動不足解消も兼ねて実施しました。
ファストウォーキングは時速6~7kmくらいの「早歩き」です。以下の記事によると、ランニングに劣らない運動効果があり、ふくらはぎとすねの筋活動量も多いとのことです。
筋力トレーニングとして実践したのはこれくらいです。スクワットは、次第に1セットの回数を増やすことができるようになるので、その効果がわかりやすいです。
登山の膝痛対策として、どのくらい効果があったかは正直わかりません。ただ、新型コロナ流行で3か月のブランクがあったあとの登山では、うそのように膝痛から解放されたので、おそらくそれなりの効果があったのではないかと思います。
いったん膝痛から解放されると、定期的に登山をすることで筋力の向上も図れます。そういう意味でも、日帰り登山で膝痛にならない程度まで、別の方法で脚の筋力を鍛えておくことは必要なんだと感じています。
【膝痛対策2】膝への負担軽減
登山時の膝への負担軽減の対策としては、サポーターやトレッキングポールなどのギアを利用した対策と、歩き方を改善する対策を実施してみました。ここでは、それぞれについて紹介します。
膝サポーター
膝痛を克服してから3年近くになりますが、現在でも継続して利用しているのが「膝サポーター」です。登山用のサポーターとしては、サポートタイツもありますが、私は上の写真のような、着脱が容易な膝サポーターを利用しています。
使用しているのはザムストの「EK-3」というモデルです。よりサポート力の高いモデルもありましたが、登山では膝を大きく動かすので、動きやすさとサポート力のバランスを考慮して、このモデルにしました。
ザムストのEKシリーズは左右兼用のモデルなので、まずは1個購入して、膝痛が起こりやすい右ひざに装着。実際に登山に使ってみましたが、右ひざの膝痛は発生せず、左ひざにわずかな膝痛が発生しました。その結果、おそらくそれなりに効果はありそうだと判断して、もう1個購入。現在では、登山開始から下山まで、ずっと両ひざにこのサポーターを装着しています。
最初は違和感を感じるかもしれませんが、歩き始めると、すぐにサポーターを装着していることを忘れてしまいます。下山後、温泉に入るまで取り外すのを忘れていたこともあるくらいです。
使用時のポイントとしては、膝に負担がかかる下山時だけでなく、登りのときも含めて、山行中ずっと装着しておくことです。前述のように、膝痛は膝周辺の筋肉疲労が原因ですので、膝に直接負担がかかる下山だけでなく、筋肉を酷使する登りのときも利用しておくことで、効果が上がると感じています。
トレッキングポール
トレッキングポールも、膝への負担軽減に役立つアイテムの一つです。膝への負担軽減が目的でしたので、2本セットの「ダブルタイプ」を購入しました。
トレッキングポールは、バランスをとる使い方が基本で、体重を大きくかけるような使い方をしてはいけないので、膝への負担を大幅に軽減するわけではありません。それでも、登りではわずかに推進力を増すことができますし、下りでは脚や膝への衝撃をわずかに抑えることができます。
わずかずつではあるのですが、1日に2万歩前後を歩く登山ではその積み重ねが大きいようで、体力や筋力の負担軽減を実感できます。膝痛に対して明確な効果があるかはよくわかりませんが、筋肉への負担が軽減されていることは実感できるので、多少なりとも効果があるのではないかと思っています。
私が利用しているのは、シナノの「フォールダー TWIST 125」というモデル(2019年モデル)です。折り畳み式で小さくなるので、日帰り登山用の30リットルザックの中に収納できますし、ザックの脇ポケットに入れておくこともできます。
現在はトレッキングポールを使わないことも増えましたが、なるべく持参するようにしています。使わないことが多いのでデッドウェイトになってしまうのですが、以前、膝痛が発生した時に、トレッキングポールがあったおかげで無事に下山できたことがありました。脚にトラブルが発生した時の保険としても、持参しておくとよいと思います。
登山靴のインソール交換
最初に購入した登山靴が、イタリアメーカーの「AKU」のトレッキングシューズだったのですが、インソール(中敷き)が紙のようにペラペラでした。AKUに限らず、海外メーカーの登山靴のインソールは薄っぺらいことが多いようです。
下山時の膝への衝撃を抑えるには、インソールのクッション性を高めればよいのではないかと考え、インソールを交換しました。新たに購入したのは、以下の「SIDAS アウトドア3D V2」というモデルです。
もともと登山靴に入っていたインソールにあわせて同じ形に切って利用します。
インソールを交換した効果ですが、クッション性が向上したことは実感できたので、下りでの膝への衝撃を抑える効果はあると思います。
ただ、それ以上に、靴ずれなどの足のトラブルが発生しにくくなりました。もともと登山靴が足にぴったりあっていなかった可能性もありますが、実際問題として、100%フィットする登山靴を見つけるのも困難ですし、お店での試し履きではなかなかわかりません。だいたい、足のトラブルは長距離を歩いた後に出てくるものです。
そのわずかに合わない部分を、インソールで調整するのもありかなと思います。膝痛対策の話とはちょっとずれてしまいましたが……。
歩き方の改善
歩き方によって、膝や筋肉への負担が大きく変わることは、登山をしたことのある方ならよくご存じだと思います。では、どのような歩き方にしたら膝への負担が少なくなるのか。いろいろネットで調べてみても、違うことが書いてあったりしてよくわかりませんでした。
ですので、とりあえずわかりやすそうなものを実践してみました。
- 登り・下りともに歩幅を小さく歩く
- 段差の大きなところは横向きの上り下りも活用する
- 急登はなるべく小幅でジグザグに歩く
このあたりは基本的なところだと思います。歩幅を小さくすることで、膝や足の筋肉への負担は大幅に減ります。同じ距離・累積標高でも、岩場が多く、足を大きく上げ下げするようなコースのほうが、明らかに足への負担が大きいことからも納得できます。
これ以外に、個人的に取り入れているものは、以下の2点です。
- 登りは重心移動を積極的に活用する
- 下りは重心を後ろに残し、できるだけゆっくりと静かに足を下ろす
登りでは、足の筋肉だけで登るのではなく、重心移動を活用すると楽に登ることができます。膝や筋肉への負担が抑えられるので、結果的に膝痛対策にもなると思います。以下の記事で、重心移動についてわかりやすく解説されていましたので参考にどうぞ。
とはいえ、意識しないとなかなか難しいですね。練習しやすいのは、同じ段差の階段が延々と続くような登山道です。私は、ひたすら階段が続く塔ノ岳(丹沢)の大倉尾根で、この重心移動を使った登り方を練習しました。
また、下りについては、とにかく足をドスンドスンと下ろすようなことを避けて歩くようにしています。登りとは逆に重心を後ろに残し気味にすると、膝への負担も少なく歩けるように感じています。
【まとめ】膝痛対策は総合的な対策が有効?
以上、膝痛対策として、個人的に取り組んできたことをまとめてみました。
最初に述べたように、どの対策がどの程度効果を発揮しているのかはよくわかりません。それでも、効果があったものを選べと言われたら、感覚論で恐縮ですが、
- 筋力強化のトレーニング(主にスクワット)
- 膝サポーター
の2つです。
筋力強化は、ある程度筋肉がつけば、あとは山行のレベルを徐々に上げていくことでも対応できます。そのレベルに到達するまでの間は、筋トレで補うのが良いと思います。
膝サポーターは、今でも効果を感じています。必ず登山開始時に装着して、下山するまでつけっぱなしです。膝痛に不安のある方は、ぜひ試していただきたいと思います。
2019年10月に登山をはじめ、12月頃から2020年2月まで膝痛に悩まされていました。その後の3か月ほどで上記の対策に取り組み、6月の登山再開時には、その効果を試すために、あえて長距離を歩いてみました。
奥高尾縦走路を陣馬山から高尾山まで歩きましたが、効果は抜群で、膝痛は全く出ませんでした。その後も、たまに違和感が出ることもありますが、膝痛にまでなることはなくなりました。
ですので、ここで紹介した対策の効果は確実にあるのだと思います。
以上、『【膝痛対策】登山を始めたころに個人的に取り組んでみた膝痛対策まとめ!』でした。あくまで私個人の場合の話です。人によって効果はそれぞれですが、試してみないと効果があるかはわかりません。筋力強化や歩き方の改善などは、膝痛対策だけでなく、登山のステップアップにも必要なものですので、それも含めて積極的に試してみると良いのではないかと思います。
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