青年小屋でテント泊をして、西岳、編笠山、権現岳の南八ヶ岳3座に登ってきました。曇り予報でしたが、両日とも好天に恵まれて、山頂から絶景はもちろんのこと、穏やかなテント泊を楽しむことができました。権現岳や西岳の高山植物も楽しめました。
この記事では、初日の西岳、編笠山の登頂と、青年小屋でのテント泊の様子をお届けします。
青年小屋にテント泊して西岳・編笠山・権現岳の南八ヶ岳3座に挑戦!
青年小屋にテント泊をして、西岳、編笠山、権現岳に登ってきました。八ヶ岳最南端に位置するこれらの山々は、いずれも青年小屋のすぐ近くにあり、青年小屋をベースキャンプとして登るのに適しています。
編笠山には、初めての八ヶ岳登山として、2年前に日帰りで登りました。
このときは観音平から編笠山へ登り、青年小屋経由で観音平へと戻りました。山頂はガスが多めで眺望はイマイチだったのですが、苔むした森の様子や、山域全体の雰囲気に惹かれ、日帰りではもったいないな、と思ったのでした。
翌年、今度は赤岳鉱泉にテント泊して、八ヶ岳の主峰、赤岳をはじめ、硫黄岳や横岳に登ってきました。
今年は、まだ登ったことのない権現岳と西岳に登りたいと思い、青年小屋にテント泊して巡る計画を立てたのでした。
今回のコースは以下のとおりです。
初日に、富士見高原ゴルフ場の登山口から西岳へ。山頂を踏んだあと、青年小屋に下ってテントを設営。青年小屋から編笠山をピストンしました。
2日目は、早朝から権現岳へ。青年小屋に戻ったあと、テントを撤収して、お昼過ぎに観音平に下山しました。
東京から公共交通機関利用でも、十分に余裕のある行程で1泊2日でのテント泊が可能なコースです。
主な行程は以下のとおりです。
- 1日目
- 09:35 富士見高原ゴルフ場 出発
- 12:30 西岳山頂 到着(お昼休憩)
- 13:15 西岳山頂 出発
- 14:00 青年小屋 到着(テント設営・休憩)
- 16:15 青年小屋 出発
- 16:35 編笠山山頂 到着
- 16:50 編笠山山頂 出発
- 17:10 青年小屋(テント泊)
- 2日目
- 05:55 青年小屋 出発
- 06:15 のろし場
- 06:40 西ギボシ
- 07:00 権現岳山頂 到着
- 07:20 権現岳山頂 出発
- 07:45 東ギボシ 到着
- 08:05 東ギボシ 出発
- 08:40 青年小屋(テント撤収)
- 10:00 青年小屋 出発
- 12:00 観音平 下山
東京の自宅から電車とタクシーで富士見高原の登山口までアクセスしたので、出発時刻は遅めですが、西岳の山頂を踏んで、14時には青年小屋のテント場に到着したので、十分に余裕のある行程でした。
2日目は、もう少し遅く出発しようと思っていたのですが、午前4時過ぎには明るくなってきて目が覚めてしまったので、出発を早めました。権現岳をゆっくり往復して3時間弱。テントで一休みしてから下山しようと思いましたが、テント内が猛烈に暑くなってしまったので、さっさと撤収して下山しました。
西岳・編笠山・権現岳登山口への公共交通機関でのアクセス
西岳・編笠山の登山口は、富士見高原と観音平の二つがあります。西岳へは富士見高原、編笠山へは観音平が最も近いです。いずれも、駅から路線バス等はありませんので、タクシー利用となります。
- 富士見高原
- JR中央本線 小淵沢駅からタクシーで約20分(約3,200円)
- 観音平
- JR中央本線 小淵沢駅からタクシーで約20分(約3,500円)
今回は、新宿から特急「あずさ1号」(新宿07:00発、小淵沢08:53着)で小淵沢駅まで行き、事前に予約していたタクシーで富士見高原までアクセスしました。
小淵沢駅の駅前にはタクシーが常駐していますが、登山シーズンの土休日は予約をしておいたほうが良いでしょう。今回は前日に電話で予約をしておきました。小淵沢駅前から乗車の場合、予約しておいても迎車料金はかかりません。
下山時は観音平に到着してから電話でタクシーを呼びました。たまたま、すぐ近くにいたので5分ほどでやってきましたが、通常は20分くらいは見ておいてほしいとのことでした。迎車料金が少しかかり、観音平→小淵沢駅で3,800円程度でした。
なお、小淵沢駅から観音平へは、夏季~秋季の期間限定ですが、シェア型登山タクシー「MOUNTAIN TAXI」が運行しています。「あずさ1号」に接続する午前9時の便が便利です。平日は片道1,000円、土休日でも1,500円ですので、通常のタクシーよりもお得です。
権現岳に最も近い登山口は、JR小海線側にある天女山登山口です。甲斐大泉駅からタクシーでアクセスできますが、タクシーが常駐している駅ではないので、事前の予約がおすすめです。
- 天女山登山口
- JR小海線 甲斐大泉駅からタクシーで約10分(約1,600円)
- JR小海線 甲斐大泉駅から徒歩1時間20分
【西岳】高山植物を眺めながら西岳に登頂!
富士見高原を出発、登山口からはひたすら山頂への緩やかな道を直登します。樹林帯を抜けると高山植物がお出迎え。山頂からは、編笠山を正面に、権現岳も望む景色を楽しむことができました。
富士見高原ゴルフ場をスタート!
小淵沢駅から予約していたタクシーに乗車し、富士見高原ゴルフ場に9時15分ごろに到着。支度を済ませ、9時半過ぎに出発します。「編笠山・西岳登山口」とある方へ登っていきます。
すぐにこのようなゲートがあり、一般車はこれ以上入れないようになっているようです。
先ほどのゲートからすぐのところに、登山口があります。このあとも林道に出たり、登山道っぽい道を歩いたりを繰り返していきます。
登山道脇の黄色いお花。ダイコンソウという夏の花のようです。このあたりは標高1,300メートル前後ですから、高山植物というわけではなく、野山に咲く花のようです。
林道に出たり、また登山道っぽい道へ入ったりを繰り返して五叉路に出ました。このあたりは道が入り組んでいるので、道標をしっかり確認して間違えないように注意しましょう。ここは「西岳」とあるほうに進みます。
林道の脇に咲いていたきれいな花。シモツケというお花だそうです。
不動清水で冷たい水を汲んで本格的な登山道へ
富士見高原ゴルフ場から30分強で「不動清水」に到着。不動清水は冷たい水が湧き出る水場です。まだスタートしたばかりですが、水筒に水を継ぎ足していきました。
不動清水の周辺にもお花が咲いています。この紫色の鮮やかな花は「ウツボグサ」のようです。
ここから本格的な登山道に入るので、少し休憩して息を整えます。
不動清水のすぐ横にある西岳への登山口。ここが本当の意味での登山口です。ここから先は登山道が続きます。
最初は比較的緩やかで歩きやすい道が続きます。何度か林道っぽい道を横切りますが、登山道はすぐ目の前に続いているので、迷うことはなさそうです。
やはりテント泊装備は重い! 暑さもあって、こまめに休憩して、水分補給を欠かさないようにします。
真っすぐ登っていきます。直登っぽいですが、西岳のすそ野は傾斜が緩やかなので、登山道もそれほど急ではありません。ただ、ひたすら登りではあります。
そして、やっかいなのがアブ。最盛期を過ぎてだいぶ減ったようですが、ときどきまとわりついてくるヤツがいます。常に追い払っていれば咬まれることはないですが、うざいです。日当たりの良いところではトンボがたくさん飛んでいて、アブがいないので、休憩するなら日当たりの良いところがよさそうです。ちょっと暑いですが……。
傾斜の急な登山道を登って森林限界へ
標高2,000メートルを超えたあたりから、やや急な登りになります。急登というほどではないですが、大きな岩や石も増えてきて、テント泊装備を背負っていると、かなり体力を奪われます。
いつの間にか植生も変わっていて、シラビソやコメツガの樹林帯へ。
標高2,138メートルの「小広場」。名前のとおり、小さな広場になっています。休憩するには良さそうな場所ですが、この少し手前で水分補給をしたので、ここはスルーします。
小広場に咲いていた大きな黄色いお花。ニッコウキスゲですね。
危険箇所はないですが、大きな岩や石が増えてきて、なかなかキツイです。
しばらく悪戦苦闘して登っていると、急に視界が開けました。この先も樹林帯が続いていたので、本当の意味での森林限界ではなさそうですが、このあたり一帯は樹木が少ないようです。
右手には、編笠山が良く見えています。本当に「編笠」のようにきれいで穏やかな山容の山です。山頂直下はかなりエグい岩が続く急登だったと思いますが……。
日当たりが良いこのあたりは、高山植物がたくさん咲いていました。この淡い紫色の小さなお花は「イブキジャコウソウ」。西岳に限らず、権現岳などでもたくさん目にしました。
この黄色いお花もよく見かけました。「オトギリソウ」かな。
淡い紫色が美しい「イワシャジン」。釣鐘形のきれいなお花です。
高山植物と絶景の西岳山頂に登頂!
先ほどの視界が開けた場所から、再び樹林帯に入り、少し登ると、西岳の山頂に到着です! 標高は2,398メートル。富士見高原からの標高差は約1,000メートルです。テント泊装備を背負って山頂を踏んだのは今回が初めて。とても疲れました(笑)
西岳の山頂は南東側に少し傾斜していて、その目の前には編笠山とギボシが見えます。丸っこい編笠山と、ギザギザと険しいギボシ。隣同士の山なのに、こんなに山容が違うのは不思議です。
よく見ると、編笠山の斜面の向こうに、小さく富士山が見えていました。雲に隠されてしまいそうですが、真夏の昼間にここまでくっきりと見えるのは珍しいのではないかと思います。
ぷかぷかと浮かぶ雲の下に、下界の街並みが見えます。方角的には小淵沢のあたりですね。
樹木で遮られてしまっていますが、北東側、ギボシの左側に見えるのは赤岳でしょうか。
景色をひととおり眺めたところで、岩の上に腰を下ろして、軽いランチにします。いかにも「夏山」という景色を目の前に食べるお昼は最高ですね。
岩陰には高山植物がたくさん咲いています。これはオトギリソウの群生かな。
紫色の大きな花が印象的な「ホタルブクロ」。
西岳に登る途中でも見かけた「イブキジャコウソウ」もたくさん咲いていました。
7月下旬の西岳山頂は、トンボとハチがたくさん飛んでいました。トンボがたくさん出てきたせいか、アブはほとんどいませんでした。ハチは小さなものばかりで、一生懸命に高山植物の花の蜜を吸っています。いじめなければ襲ってくることもなさそうです。
西岳山頂の様子です。そこそこの広さがあり、やや傾斜していますが、岩が多くて腰かけられる場所がたくさんあります。この日は日曜日でしたが、時間がやや遅かったためか、山頂には2組が休憩しているだけでした。
西岳山頂から青年小屋へ
西岳山頂で十分に休憩し、景色も堪能したので、今日のキャンプ地となる青年小屋に向かいます。西岳山頂からは、シャクナゲに囲まれた急坂を少し下ります。
西岳山頂から登山道に入ったすぐのところに、オオタカネバラが咲いていました。
山頂直下の急坂さえ下ってしまえば、あとはシラカバに囲まれた歩きやすい道が続きます。アップダウンもそれほどありません。
しばらく歩くと、大きく崩壊したところを通過します。
崩壊地を渡ったところに、「乙女の水」という水場があります。雨が降らない日が続くと水量が減ることもあるそうですが、この日は水量は十分。ザックをおろして、プラティパスとナルゲンボトルに水を汲んでいきました。冷たくておいしい水です。そのまま飲みましたが、特に問題ありませんでした。
14時過ぎに青年小屋のテント場に到着! いつもの日帰り登山に比べれば、距離、累積標高ともに大したことはないはずですが、テント泊装備を担いでいたので、かなり疲れました。
【青年小屋・編笠山】編笠山を往復して青年小屋脇から美しい夕陽を眺める!
青年小屋でゆったりとしたキャンプを楽しみ、夕方に編笠山を往復。夕食後は、青年小屋の近くから美しい夕陽と夕焼けを眺めることができました。
青年小屋のテント場でのんびり休憩
日曜日の午後ということもあってか、テントは数張りのみ。めぼしい場所にザックをおいて、青年小屋でテント泊の受付をしました。1泊800円(トイレのチップ込み)とリーズナブルです。
西日を避けるために、端っこの方に張ってみました。西日を避けることはできましたが、樹木が近すぎて、やや虫が多かったです。でも、夜になると虫たちの活動もおさまりました。
青年小屋の前のテーブルで、小屋で購入したビールとおつまみで乾杯!
日曜の午後ということもあり、人が少なくて快適! と思っていたら、15人くらいの団体さんが到着しました。みなさん、青年小屋に宿泊するようです。
テントに戻り、景色を眺めながらまったり。目の前には、明日、登る予定のギボシと権現岳が見えています。この日は、午後はにわか雨があるかもしれないという予報でしたが、今のところその心配はなさそうです。
テントの前でコーヒーを淹れてくつろぎます。テント泊は、このまったりとした時間がたまらないですね。なので、テント泊の時は、行程は短めにして、テント場でくつろぐ時間を長めにとるようにしています。
夕方の編笠山を往復!
しばらく休憩したあと、暗くなる前に編笠山を往復することにしました。コースタイムでは往復で1時間弱です。アタックザックに最低限のものを詰めて出発!
青年小屋の前に広がるゴーロ帯を登っていきます。赤いペンキでつけられた〇印や矢印を頼りに登ります。
少し登ったところで振り返ると、やや雲が多くなってきてしまったようで、ギボシと権現岳にはガスがかかってきました。
30分弱で編笠山の山頂に到着! ギボシと権現岳は雲に隠れてしまいました。
誰もいない山頂で、目まぐるしく変わる雲を眺めていました。雲の切れ間から麓の町が見えています。
少し待っていると、青空が出てきたり。本当にダイナミックな雲の動きを見ることができました。青年小屋のテント場と標高は100メートルちょっとしか変わらないはずですが、雲の動きはまったく違いますね。
先ほど登ってきた西岳は良く見えていました。西岳の左奥には、雲の合間から諏訪湖がちらりと。
編笠山の山頂はかなり大きな岩で覆われていますが、その岩陰には白いお花が。ウスユキソウでしょう。
山頂をあとにして、青年小屋へ戻ります。下ってくると、ギボシと権現岳からガスが取れて晴れてきました(笑) 明日はあちらの山に登るので、そこからの絶景を期待しましょう。
夕食後は見事な夕焼けを鑑賞!
テント場に戻ってきて、持参したビールとおつまみで二度目の乾杯。こんなのを持ってくるからザックが重くなるのです(笑)
夕食は尾西のご飯に、フリーズドライの親子煮をかけて、親子丼! アルファ米ができるまでの15分間、ビールを飲みながら待ちます。この親子煮、お湯で溶くだけなのに、十分おいしいです。
夕食後は、カメラをもって青年小屋の脇へ。夕陽を眺めにきました。ゴーロ帯に少し入ったところの岩の上が特等席!
夕陽を受けて赤く染まる権現岳。青年小屋に宿泊している団体さんも、夕陽を眺めに出てきました。お話をしながら日没を待ちます。
18時53分ごろ、西の低い空にかかる雲の中に夕陽が沈んでいきました。
日没から10分後、西の空が見事に焼けました。
西の空をアップにしてみると、どうやら雲海になっているようです。
だんだんと空が藍色から暗くなっていきます。この時間帯の空の色は大好きです。
30分ほど青年小屋の近くで夕陽を眺めたり、写真を撮ったりしていましたが、とても良いものを見せてもらいました。山の中に泊まるからこそ見られる風景ですね。
すでに19時15分過ぎ。このあと、トイレを済ませて就寝しました。
権現岳登山の様子は、次の記事でお届けする予定です(続く)。
以上、「【八ヶ岳】青年小屋でテント泊して絶景の南八ヶ岳3座をめぐる夏の山旅! ~西岳・編笠山登頂編~」でした。テント泊装備を背負っての西岳登頂はキツかったですが、山頂からの絶景と高山植物を楽しむことができました。
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