記録的に早い梅雨明けで猛暑が続く関東を抜け出して、四阿山と根子岳に登ってきました。四阿山山頂からのパノラマに加えて、根子岳の気持ちのより稜線歩きや、山頂付近の高山植物も楽しむことができました。登山口が標高1,600メートルの菅平高原ですので、猛暑の時期の登山にもおすすめです。
日本百名山「四阿山」と花の百名山「根子岳」の周回ルートへ!
四阿山(あずまやさん)は、上信国境にある日本百名山の一つで、標高は2,354メートル。なだらかな山容を持つ山で、その姿が「東屋」の屋根に似ていることから四阿山と呼ばれるようになったと言われています。また、群馬県側では「吾妻山」と表記することもあるようです。
根子岳(ねこだけ)は、四阿山のすぐ隣にある山で、標高は2,207メートル。花の百名山で、山頂付近のお花畑が有名です。
今回は、菅平高原の登山口からスタートして、四阿山~根子岳の周回ルートを歩いてきました。ルートは以下のとおりです。
上田駅から上田バスに乗車して約1時間の「菅平高原ダボス」のバス停からスタート。菅平牧場の近くにある登山口まで車道を歩きました。マイカー利用であれば、菅平牧場の駐車場まで車で入ることができますので、片道30分、往復で1時間くらい短縮することができます。
四阿山の登山口から登山を開始し、小四阿山、中四阿山を経由して、四阿山へ。四阿山から根子岳への分岐まで戻り、鞍部まで下ってから、根子岳へ登り返しました。根子岳山頂からは、菅平牧場へと下るルートで下山しました。
上田市の市街地は最高気温が36℃を超える猛暑でしたが、標高2,000メートルを超える四阿山や根子岳では、日差しは強いものの、風は爽やかでした。
今回の主な行程は以下のとおりです。
- 08:10 菅平高原ダボスバス停 出発
- 08:45 菅平牧場 到着(登山準備)
- 08:55 菅平牧場 出発
- 09:00 四阿山登山口
- 09:50 小四阿山
- 10:25 中四阿山付近
- 11:05 四阿山山頂 到着
- 11:30 四阿山山頂 出発
- 11:40 四阿山・根子岳分岐 到着(休憩)
- 11:50 四阿山・根子岳分岐 出発
- 12:55 根子岳山頂 到着(休憩)
- 13:35 根子岳山頂 出発
- 14:40 菅平牧場 到着(休憩)
- 15:30 菅平牧場 出発
- 16:05 菅平高原ダボスバス停 下山
YAMAPの記録によると、距離は15.8km、累積標高は1,279メートルでした。
ダボスバス停から菅平牧場の駐車場まで3km弱、標高差約250メートルほどあります。マイカー利用で駐車場スタートなら、約10~11km、累積標高は1,000メートルくらいと思います。
四阿山・根子岳の登山口(菅平高原)への公共交通機関でのアクセス
四阿山・根子岳の最もメジャーな登山口は、菅平高原でしょう。菅平高原にある菅平牧場のすぐ横に根子岳の、5分ほど車道を歩いたところに四阿山の登山口があります。
菅平高原へは、北陸新幹線・しなの鉄道・上田電鉄(別所線)の上田駅から、上田バスの路線バスが出ています。
- 上田バス 菅平線
- 上田駅前(お城口 3番乗り場) → 菅平高原ダボス(西菅平行き)
- 所要時間: 55分
- 料金: 500円(支払いは現金または独自QRコードのみ)
上田駅のお城口の3番バス乗り場から、「西菅平行き」の路線バスに乗車します。約55分で、「菅平高原ダボス」というバス停に到着します。このバス停が、菅平牧場に最も近いバス停となります。
上田バスのダイヤについては、以下の上田バスのWebサイトをご覧ください。「菅平 真田 渋沢 傍陽線(上田駅 ⇔ 真田・菅平・渋沢・傍陽・横道・大倉・入軽方面)」をクリックすると、PDFの時刻表を見ることができます。
菅平高原ダボスのバス停から、菅平牧場や四阿山登山口までは、以下の地図のように進みます。(YAMAPの記録に書き込み)
曲がり角に道標や看板が出ていますので、迷うことはないでしょう。道路沿いに進んでもいいのですが、途中、明治大学セミナーハウスの敷地内を通過すると、ほぼ最短距離で移動することができます。8時~18時の間だけ開放されています。通過できるのは徒歩のみです。
登山記のところでも、曲がり角などの写真を載せておきますので、参考にしてみてください。
【菅平高原】ダボスバス停から菅平牧場へ
上田駅から路線バスで菅平高原のダボスバス停へ。ダボスバス停から、約40分かけて、車道を歩いて登山口がある菅平牧場を目指します。
上田駅から路線バスで菅平高原へ
上田駅お城口の3番乗り場から、7時05分発のバスで菅平高原を目指します。東京方面からの北陸新幹線の始発では間に合わないのですが、上田駅前に前泊して、この始発のバスに乗ることにしたのでした。
上田の市街地を抜け、少しずつ標高を上げて、菅平高原へ。菅平高原内には多数のバス停がありますが、「菅平高原ダボス」というバス停で下車します。所要時間は55分です。ほぼ時刻通りに到着しました。
菅平高原ダボスバス停の様子です。バスの待合室のほか、トイレや喫茶店・お土産屋さんがあります。トイレはこの先の菅平牧場にもあります。
バスの待合室で支度を済ませて、出発します。
朝の爽やかな菅平高原を歩いて菅平牧場へ
ダボスバス停から車道に出て、わずかに登ると、「明治大学セミナーハウス 根子岳 四阿山 登山口入口」という看板があります。この看板がある道に入っていきます。上の写真では、左側の細い道です。
看板の角を曲がったら、道なりに進みます。シラカバが涼しげですが、実際に朝の菅平高原は涼しかったです。
しばらく畑に囲まれた車道を歩いていくと、再び看板があります。ここから先は明治大学の敷地内ですが、バス停から登山口へ向かう登山者のために、明治大学が近道を開放してくれています。ここを通ることができるのは8時~18時だけですが、始発のバスでダボスバス停に到着するのが午前8時ちょうどですので、バス利用であれば問題ありません。
少し歩くと、登山道のような道になります。「車両 バイク 乗り入れ禁止」とありますが、徒歩であれば通ることができます。
次第に草木に覆われた道になってきました。あまり歩かれていないのか、道にも草が生えていました。
こんな道がずっと続くのかと思いきや、5分くらいで再び車道に出ました。
この先は、ずっと車道を登っていきます。菅平牧場の敷地に入るところに料金所があり、徒歩でも200円を支払う必要があります。料金所のおじさんに200円を支払って通してもらいます。
ずっと緩やかな上り坂が続きます。傾斜は急ではありませんが、バス停から3km弱で、標高差250メートルを登ります。ウォーミングアップにはちょうど良いですが、高原とはいえさすがに暑くなってきました。
道の右側は菅平牧場の敷地が広がっていて、木々の合間から、牛が草をはんでいる様子が見えます。かなりたくさんの牛がいますね……。
菅平牧場のトイレで支度を済ませて出発!
車道を突き当りまで登りきると、ここが根子岳の登山口です。トイレもあります。この先、トイレはありませんので、ここで済ませておきましょう。
トイレの隣にテーブルと椅子があったので、そこで上田駅前のコンビニで買ってきたおにぎりを食べました。
トイレの近くにカフェがあります。この時間は営業していませんが、飲み物の自販機がありますので、必要ならここで買っていきましょう。
トイレの様子です。水洗のきれいなトイレです。支度を済ませて、本格的な登山に出発しましょう!
【四阿山】樹林帯から稜線、そして、絶景の山頂へ!
菅平牧場の登山口から四阿山へ。最初は樹林帯が続きますが、途中から眺望が開けて稜線歩きも楽しめます。そして、山頂からは360度の絶景パノラマ!
菅平牧場登山口から四阿山へ
菅平牧場のトイレがあるところから、四阿山登山口に向けて、のどかな牧場を眺めながら車道を歩いていきます。とても良いお天気に恵まれて、山頂からの絶景にも期待がかかります。
車道の左手には、牧場の緩斜面の向こうに、根子岳(左)と四阿山(右側の奥)が見えています。どちらの山もすそ野の傾斜が緩やかで、穏やかな山容の山ですね。
車道を5分ほど歩くと、四阿山への登山口があります。ここを左へ入ると登山道が始まります。
牧場の横を登り、沢を超えて、シラカバの樹林帯へ
登山道に入ると、牧場の緩い斜面に沿って登っていきます。道はあまり広くなく、両側から笹が迫っています。
すでに下山してくる人と何回がすれ違いました。朝早く、菅平牧場の駐車場に止めて登り始めた方たちでしょう。
左側が開けたところからは、牧場の斜面が見えます。このあたりには牛の姿が見えませんが、ここまでは牛は来られないようになっているのかもしれません。
牧場の横を登りきると、その裏側を回り込むように登山道が続いています。シラカバの新緑が美しい道が続きます。
少し下っていくと沢の音が聞こえてきます。すぐに沢を渡ります。今回のルートで沢を渡ったのは、ここだけでした。
再び、シラカバの新緑が美しい道へ。比較的平坦で、道幅も広くて歩きやすいです。こんな道がずっと続けばいいのですが、残念ながら長くは続きません。
登山道の脇には青い鮮やかなお花が咲いています。アヤメの仲間でしょうか。菅平牧場周辺や、今回のルートのあちこちで見かけました。アヤメというと5月~6月の初夏の花というイメージが強いですが、標高の高いこのあたりでは、ちょうど今がアヤメの季節のようです。
狭い登山道を登り、眺望が開ける「小四阿山」へ
このあたりから本格的な登りとなります。登山道は狭く、人が一人通れるくらいの幅しかありません。登山道に笹が迫っているところも多くありました。
とはいえ、危険箇所があるわけではありません。難点があるとしたら、小さな虫が多いことでしょうか……。この時期なので仕方がありませんが、虫よけスプレーをしておくとよいと思います。もっとも、刺すような虫はあまりいなかったようです。
四阿山の登山道はレンゲツツジがたくさんあります。もう時期は過ぎていて、枯れてしまっているものも多いですが、中には、まだきれいに咲いているものもあります。
菅平牧場のあたりは涼しいと感じましたが、樹林帯は風が通らないのでさすがに暑いですね。標高1,600メートル以上とはいえ、平地が猛暑日になるような気温だと、この標高でも熱中症に注意です。
しばらく樹林帯を登ると、視界が開けてきました。四阿高原の方向のようです。夏山の緑色と、夏空が鮮やかです。
標高は1,800メートルを超えました。樹林帯を抜けると、わずかながら風があり、クールダウンできるのもうれしいですね。
このあたりから先、この綿毛のような植物をよく見かけました。ミヤマヤナギでしょうか。ふわふわの綿毛が、風でちぎれて飛んでいきました。
登山口から50分弱で、標高1,917メートルの「小四阿山」に到着しました。登山口から300メートルくらいは登ってきたようです。
小四阿山の山頂は開けていて、小さいですが広場のようになっているので、休憩にぴったりです。眺望もいいですしね。ザックをおろして、水分補給がてら、少し休憩しました。
嬬恋村方面の眺望です。ここまでくると、左端に浅間山まで見えてきました。浅間山の外輪山に登ったとき、丘陵地帯の向こうのおだやかな山容の四阿山を見て、一度、登ってみたいと思ったのを思い出しました。
南側の眺望です。うっすらと見える稜線は北八ヶ岳でしょうか。その稜線に沿って、もくもくとした夏雲が湧いているのが絵になります。
樹林帯を抜け、眺望と高山植物を楽しむ!
小四阿山からは、これから登る四阿山がきれいに見えます。すぐ近くのように見えますが、まだ2.8kmもあります。
こちらは、四阿山のあとに登る予定の根子岳。根子岳のこちら側の斜面は木が少ないですね。
小四阿山から先は、ここまで続いていたシラカバと笹の樹林帯が少なくなってきます。ちょうどこのあたりで植生が変わるようです。
小四阿山から先は、この「ハクサンチドリ」がたくさん咲いていました。紫色の花がとても鮮やかです。一つ一つの花は小さいですが、まとまって花をつけるので、よく目立ちます。
標高が上がってきたせいか、きれいに咲いているレンゲツツジも増えてきました。
シラカバの樹林帯を抜け、背の低い針葉樹が点在する植生に変わってきました。頭上を覆う木がなくなり、開放的な雰囲気です。風は涼しいものの、日差しは暑いですね……。
植生が変わったせいか、登山道の脇に高山植物が増えてきました。このかわいらしい花は「ベニバナイチヤクソウ」かな? それほど数は多くなかったですが、ところどころで見かけました。
これは何だろう? よくわかりませんでした。
ハクサンチドリの咲き始めかな? 完全に花びらが開くと尖がったイメージになりますが、咲き始めは丸っこくて穏やかな印象です。
岩陰にひっそりと咲く黄色いお花。ハナニガナでしょうか。黄色いお花は似ているものが多いので、判別が難しいです……。
中四阿山を経て根子岳分岐へ
標高2,000メートルくらいまで登ってくると、登山道はこんな感じになります。岩がゴロゴロしていますが、ジグザグに道がつけられているので、そこまで登りづらくはありません。とはいえ、かなりの急登なので、疲れます。
道の両側にロープが張られているのは、高山植物の植生保護だと思います。
少し登って振り返るとこの景色! 菅平高原を一望できます。登山口から1時間半も登っていませんが、素晴らしい眺望です。
こんな稜線歩きも楽しめます。奥に見えているのが、四阿山の山頂ですね。だいぶ近づいてきました。
稜線に出っ張った岩のようなところが中四阿山のようです。標高は2,106メートル。登山道は山頂を巻いているようです。ロープが張られていたので、そのまま登山道を歩いて巻いてしまいましたが、山頂には行けないのかな?
中四阿山から少し下ると、中四阿山と四阿山の鞍部に出ます。ここから先、四阿山への最後の登りが待っていますので、ここで水分補給の小休止をしました。
ところどころにある樹林帯の中の急登を登っていきます。四阿山の登山道では、このあたりが最もキツイところでしょうか。
急登を登りきると、再び樹林帯から抜け出し、眺望が開けてきます。この先は、ほとんど樹林帯はなく、開けた道を歩いていきます。
しばらくは開放的な道が続きます。笹原の向こうの右奥に見えているのが、これから目指す四阿山ですね。
根子岳との分岐に到着。ベンチなどはありませんが、広々としているので、休憩にぴったりです。四阿山の山頂まであと0.7km! 山頂まであと一息です。
絶景の四阿山に登頂!
分岐から四阿山のほうへ進むと、すぐに山頂が見えてきます。もう目の前ですね。
そして、山頂直下はこの木の階段! ここへきての階段はキツイです。下るときに、ここを登ってくる人たちとすれ違いましたが、みんな一様にキツそうでした……。
階段を登りきると、小さなお社がありました。信州真田の「山家神社」の奥宮だそうです。山家神社の御神体は、四阿山そのものなのだとか。
11時10分、登山口から2時間15分ほどで、四阿山の山頂に到着しました! 標高2,354メートル、日差しはじりじりと熱いですが、風は爽やかで涼しいです。
山頂を示す標柱が二つありました。こちらの標柱には「吾妻(四阿)山頂」とあります。吾妻山は、四阿山の別名ですね。群馬県側では「吾妻山」とも呼ばれているようです。ちなみに、山頂は群馬県のようです。
山頂から南側には、嬬恋村の穏やかで雄大な丘陵地帯の向こうに聳える浅間山が見えます。この丘陵地帯には「嬬恋パノラマライン」という道路が通っていて、絶景のドライブコースとしても有名です。
東側は、少し雲がかかっていましたが、こちらの景色も素晴らしいです。山の深い緑色と青い空、それにもくもくとした雲が、いかにも「夏」という感じです。
北西側には、お隣の山、根子岳が大きく見えます。稜線を境に、樹林帯と草原で植生がはっきりと分かれているのは面白いですね。このあと、この稜線を登っていきます。
浅間山をアップで。どこから見ても目立つ山ですね。
四阿山山頂からの360度の眺望を動画でもどうぞ。こうしてみると、このエリアは穏やかな山容の山が多いですね。
しばらく山頂で景色を眺めたり、写真を撮ったりして過ごしました。山頂はそれほど広くはないですが、腰を掛けられる岩はたくさんあるので、ここで休憩するのもよいでしょう。
山頂で景色を楽しんでいるうちに、人が増えてきたので、お昼は根子岳への分岐まで戻ってからとることにしました。
【根子岳】気持ちの良い稜線歩きと高山植物を楽しむ!
軽くお昼を食べたあとは、根子岳へ向かいます。いったん下って登り返しますが、その登りが眺望の開けた気持ちの良い道! 山頂からの景色も良いですが、開放的な稜線の登りも楽しめます。本格的なシーズンにはやや早いですが、そこは「花の百名山」。あちこちで高山植物を見かけました。
根子岳分岐で休憩して、一気に下る!
四阿山の山頂から、根子岳への分岐まで下ってきました。この広々としたところで、お昼ご飯にします。
軽めのお昼に、コンビニで買ってきたパンを食べます。ちょうど12時頃で、風は涼しいものの、日差しはじりじりとしてとても熱いです。
ささっと食べて、水分補給をして、根子岳へ向かいます。
分岐を根子岳方面へ少し歩くと、目の前に根子岳が見えてきました。が、ここからかなり下って、登り返さないといけないようです。
樹林帯に入ると、急な下りが続きます。危険なところはないですが、道が狭くて、急な下りが続くので、滑らないように注意しながら下ります。
シラカバやダケカンバの森で、涼しそうに見えますが、実際はかなり蒸し暑いです。樹林帯なので、日差しは遮られますが、風が通らないので暑いのです。日中になって気温が上がってきたこともあるかもしれません。
四阿山と根子岳の鞍部まで下ってくると、樹林帯から抜け、目の前に根子岳が現れます。こちら側の斜面は木が少なく、笹の草原が広がっています。
よく見ると、稜線上に2つのコブのような小ピークが見えます。緩やかな斜面を登って稜線に出たあとは、あの2つの小ピークを超えて山頂を目指すのです。
気持ちの良い開放的な稜線歩き!
少し登って振り返ってみると、先ほどまで山頂にいた四阿山が見えます。左奥のピークが四阿山ですね。
四阿山の斜面はしっかりとした樹林帯なのに、それと向かい合う根子岳は草原のような斜面。不思議ですね。
緩やかな斜面を登って、稜線に出るところに、大きな岩のピークが見えてきました。ここだけ見ると、あれが山頂のように見えますが、山頂はまだ先です。
岩の小ピークの上には、三角点のようなものがありました。
大きな岩と四阿山。岩の上が平らなので、ここで休憩していくのもよさそうです。日差しは強いものの、風が通り抜けて、とても心地よいです。
稜線上は、やや急な登りになります。それほど長くはないので、焦らずにゆっくり登っていきます。
目の前に見えているのは、稜線上に見えた次の小ピークですが、やはり山頂に見えますね……。
こちらの小ピークも岩が多く出ています。小ピークの手前まで来ると、その奥にさらに稜線の続きが見えてくるので、山頂ではないことがわかります。
この2つ目の小ピークはかなり広く、岩に腰かけられるところがたくさんあるので、休憩におすすめです。根子岳の山頂は、菅平高原側に少し傾いているので、四阿山側の景色を眺めるなら、こちらのほうが良いのです。
2つ目の小ピークからの北東側の眺望です。もくもくとした雲が山の上にかかっていて、いかにも夏山という感じです。
水分補給をして、少し景色を楽しんでから、さらに登っていきます。目の前に見える次のピークこそ、根子岳の山頂かな? と思って登っていきますが、これも違うのです(笑)
岩陰の高山植物を楽しみながら根子岳山頂へ!
再び振り返ってみると、だいぶ登ってきたことがわかります。歩いてきた道が見えますが、この根子岳の稜線を登るのは本当に楽しいですね。
山頂っぽく見えた大きな岩まで来ると、登山道は岩の北側を巻くようにつけられています。大きな岩と樹林帯に囲まれた、薄暗くてひんやりとした道になります。
この岩陰の道は、すぐに終わってしまいますが、岩陰に高山植物がちらほらと咲いていました。これはイワカガミでしょうか。
これはゴゼンタチバナかな?
岩陰の登山道はこんな感じです。岩というより崖に近い高さですね。
岩陰の道から出ると、再び視界が開けてきます。そして、目の前に見えるのが、今度こそ本当の根子岳の山頂です。
広々とした根子岳山頂で休憩!
午後1時ちょっと前に、根子岳の山頂に到着しました! 山頂を示す標柱はないのですが、ピークと思われる場所に、禰固岳神社(ねこだけじんじゃ)のお社があります。
山頂は石がゴロゴロしていますが、広々としていて、開放的です。目の前に菅平高原が見えます。山頂広場は、菅平方面へ少し傾斜しています。
振り返ると、禰固岳神社のお社の向こうには四阿山も見えていますね。
北側の眺望も見事です。北側は急斜面になっているようです。西側の菅平高原側だけが、とても傾斜が緩いのですよね。今朝、菅平牧場からスタートするときに見えた根子岳のおだやかな山容を思い出しました。
ザックを下ろし、適当な石に腰かけて休憩します。行動食に持ってきたカロリーメイトを食べますが、いつものことながら、パンパンに膨らんでいます。
眺望も申し分ないですし、広々としていて気持ちがいいのですが、日差しがかなり強くて暑いです。日傘を差して休憩している方もいました。
【菅平牧場】根子岳から菅平牧場へ下山
根子岳山頂で休憩したあとは、菅平牧場へ下ります。山頂から樹林帯に入るまでの間、登山道の両側には笹原が広がっていて、ところどころに高山植物も見られます。
山頂直下のお花畑でハクサンチドリを眺めながら下山
山頂でだいぶ休憩したので、下山しましょう。「牧場管理事務所 駐車場」とある方へ下っていきます。まあ、目の前に菅平高原がどーんと広がっているので、間違えようもないでしょう。
山頂から樹林帯に入るまでの間は、両側に笹原が広がる開放的な斜面を下っていきます。ロープが張られていて、高山植物が保護されているようです。
7月上旬ではまだ高山植物のシーズンには早いのですが、四阿山でもよく見かけた「ハクサンチドリ」をあちこちで見かけました。
目の前に菅平高原を眺めながら、この開放的な道を下っていきます。ややザレ気味なので、足元に注意して下ります。
少し下ったところで山頂側を見上げてみるとこんな感じです。「花の百名山」根子岳のお花畑が広がります。
あちこちで咲いているハクサンチドリ。他の高山植物よりも少しシーズンが早いのでしょうね。
笹原の中をしばらく下ると、お花畑のエリアが終わり、樹林帯に入っていきます。
樹林帯を下って菅平牧場の上へ
樹林帯に入ると、今度はレンゲツツジがたくさん咲いています。標高が高いせいか、元気に咲いているものが多いですね。
樹林帯は、相変わらずシラカバと笹の道。シラカバの樹林帯で涼しそうに見えますが、実際にはとても蒸し暑いです。小さな虫もたくさん飛んでいるので、さっさと下っていきます。
樹林帯を抜けると、少し開けたところに出てきます。東屋のようなものが見えてきました。
登山道の脇にはアヤメの群生。今回の山行でよく見かけたお花の一つです。
東屋がある小さな広場までやってきました。菅平牧場のすぐ上にあるようで、とても開放的。見上げると、先ほどまで山頂にいた根子岳がきれいに見えています。
ここは風が通り抜けて、とても気持ちが良いですね。東屋のベンチにザックを下ろして、少し休憩していくことにします。
登山口のある菅平牧場は、目と鼻の先です。建物が見えるところが牧場ですね。
東屋のある広場の様子です。一日中、のんびりしていたくなるような場所です。
遊歩道を下って登山口まで下山!
少し休憩したので、登山口まで下りましょう。登山口までは、木の階段が整備された遊歩道が続いています。登山装備がなくても、ここまでは上がってこられるようです。
遊歩道の脇には、お花がたくさん咲いています。この黄色いお花はミヤマキンポウゲでしょうか。
ひときわ鮮やかなこのお花は、ノバラの仲間かな? 遊歩道の下の方に咲いていました。
遊歩道脇に咲いているお花を眺めながら下っていると、あっという間に牧場に到着しました。牧場のガレージのような建物の脇から出てきました。
菅平牧場の駐車場近くにある登山口まで下山です。今朝、右側の四阿山のほうへ進んで、四阿山登山口から登りました。四阿山~根子岳を周回して、再び同じ場所に戻ってきたことになります。
バスの時間まで牧場でのんびり
今朝、出発する前に準備をしていたトイレ横のテーブルへ。Tシャツを着替え、顔を洗ってリフレッシュします。
「牧場のソフトクリーム」ののぼりに惹かれて、道路を渡って反対側にある牧場のカフェへ。
牧場のソフトクリームをいただきました。濃厚でおいしい!
バスまでかなり時間があったので、牧場の周辺を散策。羊たちも暑そうです。
牛たちは相変わらずのんびりと草をはんでいます。のどかな牧場の風景を眺めながら、涼しい高原の木陰で時間を過ごしました。
バスの時間が近づいてきたので、バス停まで下ります。今朝はそれほど暑さを感じなかったこの道も、この時間はさすがに暑く、なるべく日陰を歩きました。日差しも暑いですが、アスファルトの照り返しもバカになりません。
無事にダボスのバス停まで戻ってきました。自販機で飲み物を買って水分補給しながら、バスを待ちます。
16時35分のバスで上田駅に戻ります。今朝、上田駅からのバスでダボスバス停で下車したのは、私ともう一名だけでしたが、このバスには登山者が私を含めて6名ほど。東京方面からの始発の新幹線から乗り継げるバスでやってきた人たちでしょう。
上田駅の気温は35℃! 菅平高原でも日差しは暑い、と思っていましたが、下界の暑さは別次元です。菅平高原は十分に涼しかったです……。
駅の売店でビールとおつまみを買って、北陸新幹線の車内でささやかな乾杯!
眺望と高山植物を楽しめる四阿山・根子岳周回コース、中級山岳初心者におすすめ!
ということで、猛暑の中、菅平牧場から四阿山~根子岳を周回するルートを歩いてきました。
山頂からの眺望はもちろんのこと、四阿山の眺望が開けたルートや、根子岳の開放的な稜線など、登山道からの眺望も楽しめるコースでした。
そして、「花の百名山」根子岳だけでなく、四阿山でも、あちこちに高山植物が咲いています。まだシーズンには早かったにもかかわらず、たくさんの高山植物を見ることができました。
菅平牧場の登山口の標高が1,600メートル近くあり、真夏の登山にもおすすめです。ただ、日差しはとても熱いので、帽子や日焼け止めなどの対策は必要です。途中に水場がありませんので、水分は十分に携行しましょう。2リットルでは不足気味でした。
今回の周回コースは、危険箇所はほとんどないですし、菅平牧場からの標高差は約700メートル、累積標高も1,000メートルくらいなので、低山に登りなれた方が、2000メートル級の中級山岳に初めて挑戦するのにぴったりの山だと思います。
今回の主な登山装備
- 化繊の長袖Tシャツ(モンベル)
- 着替えの半袖Tシャツ(ユニクロ)
- トレッキングパンツ(モンベル)
- 登山靴(モンベル アルパインクルーザー2300)
- ザック(グレゴリー ZULU30)
- レインウェア上下 ※利用せず
- 膝サポーター(ザムスト EK-3)
- 虫よけスプレー
- 日焼け止め
- 飲み物(ナルゲンボトル1L+ペットボトル500ml×2本)
- お昼ご飯(おにぎり+パン)、行動食
- ファーストエイドキット
- ヘッドライト
真夏、それも猛暑日予報の日でしたので、登り始めから長袖Tシャツ一枚でした。
日差しがとても強く、直接日が当たるところを歩く時間も長いので、日焼け止めは必須ですね。長袖を着ていたので腕には塗らなかったのですが、ずっと腕をまくって歩いていたので、下山後は真っ赤に焼けていました……。
小さな虫が多かったので、虫よけスプレーもしておいたほうがいいです。が、すぐに汗をかいて、成分が流れてしまうようで、あまり効いている感じはしませんでした。何度もスプレーしなおしたんですけどね。
水分は、ナルゲンボトルに入れたポカリスエット1リットルと、ペットボトルの水500ml×2本を持っていきましたが、正直、足りなかったです。途中で補給できる場所がないので、ペットボトルをもう1本持っていけば良かったです。飲む量を調整して、下山まで持たせましたが……。菅平牧場まで下ったあと、たくさん水分を摂りました。
以上、「【上信越】涼を求めて菅平高原から四阿山・根子岳へ! 眺望に高山植物、気持ちの良い稜線歩きを満喫する山旅!」でした。危険箇所がなく、それほどきついルートではないにもかかわらず、眺望と高山植物を両方楽しめる素敵な山でした。
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2021年秋の黄葉の時期に浅間山の外輪山を歩いたときの記録です。外輪山から、今回登った四阿山が、嬬恋村の丘陵地帯の向こうに見えます。
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