6月中旬の土曜日、梅雨の合間の貴重な晴れを利用して、正丸駅から正丸峠、伊豆ヶ岳、子の権現を経て、吾野駅まで、駅to駅ハイキングを楽しんできました。低山の尾根道コースですが、全長15km、急登もところどころにあり、歩きごたえのあるコースでした。
駅から駅へ歩ける奥武蔵のミニ縦走ルート
今回歩いてきたのは、西武秩父線の正丸(しょうまる)駅から、正丸峠、伊豆ヶ岳、子の権現を経て、吾野駅までのコースです。
「関東ふれあいの道」の「伊豆ヶ岳を超えるみち」というコースになっています。今回は、この「伊豆ヶ岳を超えるみち」に加えて、最初に正丸峠を経由して伊豆ヶ岳へ登るコースにしてみました。
コース中の最高峰は、標高851メートルの伊豆ヶ岳ですので、基本的に低山の縦走コースです。それでも、小さなピークがたくさん連なっているので、適度にアップダウンもありますし、全長15kmを超えるコースでもありますので、かなり歩きごたえがありました。
今回のルートと行程は以下のとおりです。
- 08:10 正丸駅出発
- 08:35 正丸峠への登山口
- 09:05 正丸峠
- 09:37 小高山
- 09:51 五輪山
- 10:07 伊豆ヶ岳
- 10:30 古御岳到着(ランチ)
- 11:05 古御岳出発
- 11:26 高畑山到着(小休憩)
- 11:35 高畑山出発
- 12:10 天目指峠
- 13:05 子の権現
- 14:30 吾野駅到着
他にも小さなピークがたくさんありましたが、道標通りに歩いていくと、知らないうちに巻いているピークもありました。主だったところはピークを経由しているはずです。
全長で約15kmですが、子の権現~吾野駅の間は、車道歩きが2~3kmあります。駅から駅へのハイキングは、前後の車道歩きが長いのがネックですね。
西武秩父線、正丸駅からスタート!
池袋から準急飯能行きに乗車して終点の飯能で乗り換え。西武秩父線の普通列車で正丸駅に到着したのは、7時52分でした。
正丸駅でトイレを済ませ、支度をして登山開始です。
正丸駅の横には売店がありますが、朝早かったせいか、まだ空いていませんでした。自販機があるので飲み物は手に入ります。バイクで来て休憩している方が多かったですね。
同じ電車から降りた登山客は15名前後といったところでしょうか。車内にはまだ大勢のハイキング・登山の格好をした乗客がいたので、武甲山にでも行くのでしょうか。
8時10分、正丸駅の横にある急な階段を下って、登山開始です。線路をくぐって、しばらくは車道歩きが続きます。
アスファルトの車道ですが、車はほとんど通りませんでした。車道の横には小川が流れていて、日陰では涼しいくらいです。川のせせらぎを聞きながら、車道を登っていきます。
正丸駅から25分ほど歩くと、伊豆ヶ岳への登山道の入口があります。「伊豆ヶ岳を超えるみち」はここを入っていくようですが、今回は正丸峠経由で伊豆ヶ岳へ登りたいので、この入口はスルーします。
少し先へ進むと、すぐに車道が行き止まりとなり、その先に登山道の入口がありました。ここからいよいよ登山道での登山開始です。
正丸峠へは少々荒れた沢沿いの道を登る
登山道に入ると、すぐに沢沿いの道になります。この苔むした感じがなかなか素敵です。
昨日は本格的な雨だったためか、登山道も濡れています。ぬかるんでいるところはそれほどありませんでしたが、岩や土が湿っているので滑らないように注意して登っていきます。
途中には小さなお社がありました。高い杉の木々に囲まれて鬱蒼としているので、なかなか雰囲気があります。
ここから先は、沢を渡るところが何か所かあります。このような丸太がかけられていますが、濡れていますし、苔もびっしりなので、滑らないように慎重に渡ります。
途中、登山道が消えてしまったかと思いきや、どうやら沢の上を歩けということらしく、岩の上を慎重に進んでいきます。大雨のあとは、このルートはやめておいたほうがよいかもしれません。
橋が傾いてしまっているところもありました。橋が倒れそうで怖かったので、橋の横を通りました。
昨年の台風の影響なのか、全体的にやや荒れていました。それほど危険を感じるところはなかったですが、増水していると歩きにくそうです。
沢から離れ、急な階段を登り終えると、奥村茶屋さんの裏手に出ます。表にまわってみると、そこが正丸峠でした。
最後の急な階段で汗をかきましたし、せっかくなので、休憩がてら、アイスコーヒー(400円)をいただきました。
正丸峠へは車道も通じていて、ツーリングのメッカになっているようです。休憩している間にも、バイクで訪れる方が多くいました。
正丸峠からの眺めはなかなかです。梅雨の時期なので少し霞んでいましたが、低い山々の向こうに埼玉の街並みが望めます。地図を見ると、川越~所沢のあたりのようです。右側の反射して光っているのは西武ドームでしょうか。
快適な尾根道と「男坂と女坂の中間にあるみち」を経由して伊豆ヶ岳山頂へ
正丸峠から先は、先ほどの沢沿いの鬱蒼とした道とは異なり、快適な登山道が続きます。尾根の左右で木の種類が違うのが面白いですね。
20分ほどで次のピーク「小高山」に到着。あまり広いスペースはないですが、木々の間から近くの山を眺められるので、小休止するにはよさそうなところです。
小高山からは北西側が開けています。右奥に見える鉄塔のある山は二子山雌岳でしょうか。
10分ほど歩くと次のピーク「五輪山」です。広場のようなところにベンチがいくつかあり、ここも休憩にはよさそうです。ただし、眺望はありません。
五輪山からすぐのところに、男坂と女坂の分岐があります。ロープの向こうが男坂。鎖場が続く伊豆ヶ岳の名物?ですが、安全第一の初心者ハイカーな私はスルー。女坂へ向かいます。
ですが、女坂も途中で崩落のため通行止め。「男坂と女坂の中間にあるみち」という、ちゃんと名前を付けてあげたい道を行きます。
男坂ほどではないのでしょうけれど、この道もかなりの急登。息が上がらないように、ゆっくりと、一歩一歩登っていきます。
急登を登り切り、岩と苔と木々が一体化したような岩場を登ると、伊豆ヶ岳の山頂です。
伊豆ヶ岳山頂の手前の小さな広場からは、東側の眺望があります。先ほど、正丸峠から眺めたのと同じ方向で、埼玉の街並みを見渡すことができます。かなり霞んではいましたが……。
伊豆ヶ岳の山頂からは眺望が全くないので、ここで景色を眺めてから山頂へ向かいましょう。
標高851メートルの伊豆ヶ岳山頂に到着です。山頂直下の急登を除けば、意外とあっさり登れた感じです。
木々に囲まれて、山頂からはほとんど眺望はありません。
晴れた日に伊豆まで見渡せることから名づけられたという「伊豆ヶ岳」ですが、山頂にあった看板によると、アイヌ語説、柚ヶ岳説、湯津ヶ岳説など、いろいろ説があるそうです。山の名前の起源もなかなか面白いですね。
伊豆ヶ岳の次のピーク「古御岳」でランチ!
伊豆ヶ岳の山頂はスペースも狭く、岩がゴツゴツとしているので、ランチ休憩はパスして、次のピークへ向かいます。
伊豆ヶ岳の山頂直下からはしばらく急な下り坂が続きます。前日の雨のせいか、土が湿っていて、とても滑りやすかったので、慎重に下りました。
急な下り坂を下ったあと、短い急登を登り返すと、次のピーク「古御岳」に到着です。それほど広いスペースはないですが、東屋やベンチがあるので、ここでランチにします。
こんな感じで眺望はありませんが、緑に囲まれ、風も適度に通り抜けるため、とても爽やかでした。
ベンチを一つ確保して、持参したカップヌードルとインスタントコーヒーのランチをいただきました。山で食べるカップヌードルのおいしいことよ。
30分ほど休憩して出発! 道標を見ると、正丸駅から5.2km歩いてきましたが、吾野駅まではまだ9km以上あるようです。先は長い!
小ピークを越えながらの尾根道縦走、天目指峠へ
次の目的地は「子の権現」です。古御岳の標高が830メートル、子の権現が約630メートルなので、基本的には下り基調ですが、その手前の「天目指峠」が約490メートルなので、最後は登り返しとなります。
古御岳から急な下り坂を下り終え、再び少し登り返すと、20分ほどで次のピーク「高畑山」に到着。ここも小さな広場になっていて、ベンチがたくさんあるので、休憩やお昼を楽しんでいる人たちがたくさんいました。
先ほどランチ休憩をとったばかりなので、水分補給だけして、すぐに出発します。
高畑山から少し行くと、木々が伐採されて開けた場所に出ました。樹林帯が続き、あまり眺望のないルートですが、ここだけは開けています。
その開けたところには、猫型の鉄塔がありました。西武秩父線の車内からも目立つのですが、よく見ると電線が通っていないですね。これから通すのか、もう用済みなのか……
この開けた場所からは、西側の山々を望むことができました。奥多摩~秩父の山並みでしょうか。それほど高い山はないのですが、幾重にも山並みが連なっていて、山深い地域であることがわかります。
快適な尾根道のハイキングが続きます。緑がとてもきれいで癒されます。天目指峠までは、途中の小さなピークの前後以外は、緩やかな道ばかりで歩きやすいです。
登山道を見失うようなことはないルートですが、わかりにくいところには赤いリボンがありますので、それを目指していけば大丈夫です。
12時過ぎに「天目指峠」に到着しました。「あまめざすとうげ」と読みます。「天を目指す」なんて、なかなかロマンチックな名前ですが、「アマメ」=豆柿(山に自生する小さな柿)、「指す」=焼畑のことで、焼き畑が盛んな峠のことだそうです。
天目指峠へは車道が通じていて、車道の横には大きめの東屋がありました。
子の権現への登り返し、キツイ急登の連続!
天目指峠から子の権現までは約1.5km。これまで8km歩いてきているので、残り1.5kmなんてあっという間かな、と思っていると、このあとえらい目にあいます(笑)
車道を渡った反対側の登山口を入ると、いきなりの急登! 木の根っこの中を登っていきます。
最初の急登を登り切ったところにベンチがあったので休憩。水分と糖分を補給します。
少し下ったあと、今度は大きな岩が目立つ急登。こんな急登→少し下る、というようなアップダウンが4~5回続きます。一つ一つは短いのですが、ここまでかなり歩いてきて疲れがたまっているので、結構体力を削られます。
この鳥居のところまでくればあと一息!
車道に出ると、見晴らしの良いところがありました。有名な?手のオブジェもバッチリ。
ようやく子の権現に到着! 子の権現、正式名称は「大鱗山雲洞院天龍寺」という立派なお寺なのですが、伊豆ヶ岳の方から歩いてくると裏側に出るのですね。脇にある通路を通って、表側へ回ります。
境内に入ると、立派な茅葺屋根の本坊が目の前に! 子の権現は足腰守護で有名だそうです。せっかくですので、足腰守護のお守りと登山のお守りを買いました。
足腰守護のお寺らしく、履物が多く祀られています。本堂の横にある「鉄の大わらじ」と「めおと下駄」です。
このあとは吾野駅まで下るだけですが、最後まで歩ききれるよう、本堂でお参りしてきました。
子の権現の山門近くからは、奥多摩方面の山を見渡すことができました。奥にかすかに見えるのは大岳山でしょうか。
仁王像が立っています。独特の色使い。本来はこちらから参拝するのでしょうけれど……
山門をくぐって坂道を下っていきます。
参道と鳥居を抜けると、立派な杉の木が立っていました。埼玉県の天然記念物に指定されている「二本杉」です。樹齢800年だとか。
吾野駅までは4.5kmの下り坂!
子の権現から、今日のコースのゴールとなる吾野駅まで約4.5km。駐車場を過ぎ、少し車道を歩くと、下山口の入口がありました。車道をそのまま行くと西吾野駅へ着くようです。
緩やかな登山道をジグザグに下っていきます。歩きにくいところは特にないですが、やはり昨日の雨のせいで少し湿っているため、滑りやすくなっていました。
30分ほど下ると車道に出ます。あとは吾野駅までほぼ車道を歩いていきます。
途中、うどんで有名な「浅見茶屋」がありますが、今日は残念ながらおやすみでした。
この時点で吾野駅まであと2km。次の電車まであと25分。一本逃すと30分後になってしまうため、頑張って速足で歩きます。
高麗川のところで国道299号線に出ますが、高麗川の手前に遊歩道がありました。「吾野駅」への道標もあったので、こちらを選択。国道沿いよりも距離が少し短いようです。
西武秩父線の線路脇の崖の上を通っていきます。なかなかの見晴らし。
電車の時刻5分前に吾野駅に到着!
正丸駅から吾野駅まで、約15kmのハイキングでした。所要時間は休憩込みで約6時間半。最後はちょっと駆け足になりましたが、天目指峠から子の権現の登り返し以外は、全体的に歩きやすく、それでいて歩きごたえのある尾根道でした。
横瀬駅近くの「武甲温泉」で汗を流して乾杯!
ハイキングのあとは汗を流して帰りたい! ということで、駅から歩いて行ける温泉がある横瀬駅まで移動します。
吾野駅から横瀬駅までは約20分。先ほどまで歩いてきた伊豆ヶ岳から子の権現までの山々を眺めながらの旅です。15時ちょっと前、横瀬駅に到着です。
横瀬駅近くにある「武甲温泉」までは約1km。結構疲れたし、足も痛くなってきたなと思っていると、駅前に送迎バスがいるではないですか! 迷うまもなく送迎バスに吸い込まれ、5分後には武甲温泉に到着です。
「武甲温泉」は宿泊もできる温泉施設です。日帰り入浴は平日700円、土休日900円。100円でバスタオルがレンタルできるので、今日はかさばるバスタオルはザックに入れてきませんでした。
券売機で入浴券とバスタオルのレンタル券を購入してフロントへ。バスタオルを受け取って、温泉に入ってきました。
県間の不要不急の移動自粛が緩和されて初めての週末でしたが、かなり空いていました。普段は土日ともなれば秩父への観光帰りで立ち寄る人が多いそうですが、今日は地元の方が中心のようでした。
喫茶コーナーで生ビール(中)+フランクセット(800円)を、お食事処で秩父名物「みそポテト」を購入して乾杯!
フランクフルトは普通ですが、「みそポテト」はおいしいです。ジャガイモを揚げて味噌だれをつけるだけなんですが、ビールのつまみにも合いました。
空いている大広間でのんびり。このあと、家族連れが増えてきましたが、それでもまだ空いているテーブルがいくつもありました。
1時間半ほどくつろいで、17時の送迎バスで横瀬駅へ戻りました。
横瀬駅の後ろには、秩父のシンボル、武甲山がどーんと構えています。武甲山も登ってみたい山の一つですね。
帰りは西武自慢の特急「ラビュー」に乗車! この特徴的なデザインはとても存在感があります。車内はゆりかごのようなシートで、さんざん歩いて疲れたあとなので、ゆったりとくつろいで帰れる列車はありがたいです。
池袋まで1時間20分ほど。比較的空いている車内でのんびりできました。
伊豆ヶ岳~子の権現のルートは樹林帯の爽やかなハイキングにおすすめ!
ということで、正丸駅から吾野駅へ、正丸峠、伊豆ヶ岳、子の権現を経由する低山ながら歩きごたえのある縦走ルートを歩いてきました。
2週間前に陣馬山から高尾山まで、奥高尾を縦走してきましたが、これに比べると距離は若干短いものの、アップダウンは今回のほうが多め。特に、天目指峠~子の権現の間は小さなピークが連続するうえに、巻き道もないので、結構体力が必要です。
眺望があるところはそれほど多くないですが、ピーク直前直後の急坂以外が比較的歩きやすいため、樹林帯の新緑ハイキングにピッタリです。
駅~登山口の車道歩きがそれなりにありますが、バスの時間を気にしなくてよいのはありがたいです。西武秩父線の電車も、30分に1本あるので、駅に到着したあと、それほど待たされることもないでしょう。
今回の登山装備
- 長袖Tシャツ(ワークマン/Field Core)
- ポケッタブルパーカー(ユニクロ)
- トレッキングパンツ(モンベル)
- スキー用靴下
- トレッキングシューズ(AKU)
- ザック(グレゴリー ZULU30)
- レインウェア上下
- トレッキングポール(シナノ)
- 膝サポーター(ザムスト EK-3)
- アルパイン サーモボトル 0.75L(モンベル)
- 500mlペットボトル3本(2本、DAKARA1本)
今回、ワークマンで購入した「肌がさらさら ZERO DRY(ゼロドライ) -5℃ 長袖ハーフジップ」を着てみました。1,500円と格安のシャツですが、多少厚みがあるものの、化繊素材で涼しく、汗をかいてもべとつくこともなく、とても快適でした。この値段でこの性能なら十分お買い得だと思います。
今回のコースでは、正丸峠から子の権現まで水場や茶屋がないため、500mlのペットボトル3本と、サーモボトルに熱湯(カップラーメン、コーヒー用)を入れて持っていきました。前回の奥高尾縦走がとても暑かったためですが、今回はそこまで気温が上がらず、尾根道は風が吹き抜けて涼しかったです。水が1本余りましたが、このあたりの調整はなかなか難しいですね。
以上、「【奥武蔵】 正丸駅~伊豆ヶ岳~子の権現~吾野駅ミニ縦走! 深緑の樹林帯を歩く尾根道ハイキング!」でした。低山ながら歩きごたえのあるルートで、この時期ならではの深緑の爽やかな緑の中を歩くことができました。
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